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7月17日(土)、高尾山口駅前に高尾エリアを遊ぶ拠点となる施設「タカオネ」が開業する!
2021.07.15 Thu
河津慶祐 アウトドアライター、編集者
高尾山口駅の目の前に、オレンジ色をした目立つホテルが建っていたのはご存知だろうか。駅前の広場からトリックアート美術館のほうを眺めると、自然豊かな景色のなかでとくに目立ち、否が応でも目に入ってしまっていたアレだ。
そのホテルを京王電鉄が購入、リノベーションをし、今週末の7月17日(土)に「タカオネ」という宿泊施設としてグランドオープンすることになった。
高尾山の名前の由来は「高尾根」だという説がある。その「高尾根」という原点に想いを馳せつつ、未来に向かってどこまでも拡がっていく、新しい高尾山のきっかけになるようにと「タカオネ」と名付けたそう。
高尾山は “東京都民にとっての裏山” といっても過言ではないほど、都民にとっては親しみが深い。中央線沿線出身の筆者は記憶がおぼろげな幼稚園のころから「遠足といえば」という感じで幾度となく登ってきた。
新宿から約50分という好立地。そして、豊富な動植物や中腹まで伸びているケーブルカーやリフト、バリエーション豊かな登山道によって人気の高い観光地となっている。2007年にはミシュランガイドで3つ星を獲得し、2020年には東京初の日本遺産(*1)にも認定された。
(*1) 日本遺産とは、文化庁が認定する、地域活性化を目的とした日本の文化遺産保護制度のひとつ。
高尾山は3〜4時間あれば往復できるため、ほとんどが日帰りで、いままで宿泊施設は充実していなかった。しかし、タカオネは高尾山をエリアとして捉え、ここを拠点としての楽しみ方を提案し、複数日をかけて高尾山エリアがもつ豊富なアクティビティを楽しんでもらうことをめざしている。
タカオネ入り口のサイン。「ACTIVITY&STAY」の文字から “アクティビティを楽しんでほしい” という強い思いが伝わってくる。
タカオネがテーマとしているのは、場をつくるのではなく「方(カタ)づくり」だという。
そのうちのひとつが「泊まり方」。客室をただ寝るための場にするのではなく、高尾を楽しむ “作戦” を練るための空間としている。シンプルなつくりでムダな装飾品や道具は備えず、壁にかけられたテーブルやイスといった客室家具を使って、宿泊者が自由にレイアウトを変えることができる。
スタンダードルームの約2倍の広さを誇るスーペリア。7名の定員で2室。同タイプで2段ベッドの部屋は9室あり、9名まで入れる。全室共通の設備は冷蔵庫、電気ケトル、温水洗浄便座、ドライヤー、セーフティーボックス、タオル類など。
もうひとつは「過ごし方」。タカオネでは、施設内で過ごす時間もアクティビティのひとつとなるようにしている。たとえば焚火。すべての宿泊プランには薪が付属しており、中庭で自由に焚火を楽しめる(*2)。
(*2) 天候や空き状況によって利用できない場合もあり。別途、薪販売も行なっていて、宿泊者以外も焚火ができるそう。
NAKA-NIWAでは焚火ができる。うしろにあるのは手作りの薪棚。薪は地域のものを使うこだわりよう。
スイスアルプスで生まれたトレランシューズ「On」を無料レンタルしている。
タカオネ内にはこだわりのサインがそこかしこに。中段右のサインには本物の鳥の巣が使われている。鳥が出入りする姿が見てみたくなる。
そして3つ目は「楽しみ方」。川遊びやポタリング、マス釣りなどといった自然を楽しむもののほか、陶芸作家による陶芸体験や革細工作家による革小物づくりのようなワークショップ形式のアクティビティも用意している。
泊まる場、過ごす場、楽しむ場といった「場」の提供は、ゲストの行動が画一的になりやすい。タカオネでは、ゲスト自身で自分ならではの遊び「方」を模索してもらい、思い思いの高尾時間を過ごしてほしいと考えている。
チェックイン時に渡される「アクティビティマップ」。気になるアクティビティをチェックし計画をたてられる。
高尾を楽しむ拠点というだけあって、宿泊者以外も利用ができるようになっている。
まずは1階にあるカフェ&ダイニング「KITCHEN」。食材は八王子産のものを積極的に使用し、高尾ビールと共同開発したタカオネオリジナルビールを販売するというように、地産地消に力をいれている。
食事もアクティビティのひとつと捉えている点がおもしろい。メニューにはアヒージョやスモアセットといった焚火で調理する料理や、高尾の自然に囲まれながら食べれるようテイクアウトメニューもラインナップ。
高尾山を登ったあとに、タカオネで焚火をしながら食事をする。そんな休日もいいだろう。
宿泊者だけではなく一般利用もできるKITCHEN。手前の大型の机にはバイオエタノールの暖炉も設置されている。
ビジネス向けにはテレワークプラン(*3)も用意されている。1日1,500円払うだけで、無料Wi-Fiと電源、LOUNGEのドリンク飲み放題が利用できる。さらに、合間の時間で山へ遊びに行けるようにと、トレランシューズの無料レンタルと荷物の預かり、シャワー利用もサービスに入っているのがタカオネらしい。
(*3) テレワークプランは予約不要。
英字の「TAKAONE」をよく見ると、“ONE” がすこし小さくなっている。これは、タカオネを利用したグループが「ひとつのチームとなるように」という願いが込められている。
近隣にタカオネより高い建物はないため、ROOF TOPは抜群の眺望を誇る。天気の良い日にはここでテレワークをすると気持ちがよさそうだ。
昨今、コロナの影響もあり、自宅から1〜2時間圏内の旅行「マイクロツーリズム」が注目されている。タカオネは、都内やその近隣の在住者に、遠方の旅行ではなく、高尾という近場で移動時間と交通費を抑え、その分、思い出に残るアクティビティを充実させてはどうかと提案している。
高尾山山頂で楽しむ星空観察。暗いうちからハイクし、タカオネの裏山で日の出を望む。こんな体験は、日帰りでは体験できない、宿泊者だけの特権だ。
タカオネの1階に描かれているコンセプトアート。タカオネが訪れた人の “TURNING POINT” となるようにという想いが込められている。
ここ数年で高尾山口近辺には、タカオネをはじめ、「高尾ベース」や「TAKAO COFFEE」、「高尾599ミュージアム」などといった施設が続々と開業している。これから高尾山には新しいムーブメントが起きる予感がする。
《タカオネ》
▶︎住所:東京都八王子市高尾町2264
▶︎電話番号:03-6632-2163(受付時間 9:30~17:30)
▶︎階数:地上5階
▶︎座席数:KITCHEN・35席、NAKA-NIWA・10席、街のテラス・20席、LOUNGE・34席、HALL・80席
▶︎客室数:28室
▶︎宿泊者数:約172名
▶︎KITCHEN営業時間:モーニング 8:00〜11:00(ラストオーダー10:30)、ランチ 11:00〜15:00(ラストオーダー14:30)、ディナー 15:00〜20:00(ラストオーダー19:00)、テイクアウト 10:00〜17:00
▶︎STORE営業時間:8:00〜19:00
※7月17日(土)と18日(日)は営業時間が12:00〜となります。
宿泊費、食事メニューなど詳細はHPを参照。
https://takaone.jp/hotel/
タカオネと並行して、高尾の新しい楽しみ方を発掘・創造・実験・拡張するメディアサイト「タカオのカタヲ」も活動中。
https://takaone.jp
タカオのカタオ編集部とのコラボ記事もあり。
【アウトドア仕事対談】焚き火して、みかん食べて、語り合ったら、なぜか好きなことを仕事にしたくなる話