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うつくしき川を独り占めできるかも!? 四国での清流の見つけ方
2022.08.18 Thu
大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー
清流といえば四万十川や仁淀川が有名な四国だが、ほかにもうつくしき流れは多い。首尾よく発見したら、人の少ない地域ゆえに自分だけの川面になることも。四国で清流に出会うためのポイントを紹介しよう。
穴場の清流へ連れて行けば、子どもたちに尊敬されるぞ。
清流でいられる条件とは?
四国の清流探しでまず押さえたいのがこれ。
●上流にダムがない、または源流に近い。
●泳いだり潜れるだけの水量がある。つまり、生活排水など汚れを薄めるだけの水量がある。目星はグーグルマップの航空写真で。
●上流に農業が盛んな盆地があると、川は濁りがち(例・四万十川支流の広見川)。
●香川県で清流をさがすのは徒労(山が深くないし年間平均降水量は1,082mmと少なめ)。
●扇状地の川はたいてい水が流れていない(伏流しがち)。
高知県で、上流にダムのない川はこんな感じ(仁淀川町の土居川)。
さらに、以下の例外を頭に入れておけば、高い確率で四国の清流を見つけられる。
■上流にダムはあるが、清流なときも
ダムからの放水が少なくて、しかも、ダムの下流できれいな支流がいくつか流れ込んでいれば、本流はかなり澄み渡ることも。
たとえば高知県大豊町~徳島県三好市の吉野川。その上流には巨大な早明浦ダムがある。しかし、春や秋などダムの放水が絞られる時期には、下の画像のような川に。
吉野川の穴内川合流~大田口あたり(高知県大豊町、10月)。
支流からの流入量はグーグルマップで推測しよう。ダムからの放水量はネットでチェックできることも(例・水資源機構池田総合管理所、国土交通省川の防災情報。
ダムのない支流の豊かな水(上画像)が本流を清流に。
■上流にダムはないが、濁る川もある
まず、別の水系にあるダムの貯水(濁っている)が、山々を貫くトンネル水路を経て、ダムのない川に放水されている場合。たいていは水力発電の放水で、放水の水路や発電所は国土地理院地図に記載されている。
また、上流での砂防工事も濁りの発生源に。工事の施工場所・状況は四国山地砂防事務所の『事業概要』でチェックできる。
この上八川川(高知県いの町)のように、「上流の発電放水口から濁る→他からの水の流入よって清流に戻る」もある。
■地点によっては透明な流れも出現
おもに本流でだが、「まあまあの清流」のなかにかなり澄んだ川面を見つけることがある。そのわけは川底から沸く伏流水。
たとえば、砂利の中州は川の水を地中でろ過するため、中州の下流側は要チェックだ。また、枯れ川になった支流が本流に合流する地点も有望。地中に潜った支流の水が、本流の川底から湧き出すのだ。
仁淀川の、とある中州の下流側の透明度。
仁淀川に勝賀瀬川が流れ込む地点(高知県いの町)では、伏流水が湧いている。4月中旬、ここでサツキマスが釣れた。
しかし、四国の真夏の清流には厄介なことも
上流へと遡ればどんどん清流に。そして、四国には安居渓谷(高知県仁淀川町)など、道路は狭いがアクセスしやすい上流・源流部は多い。
その多くは驚くべき清流だが、水遊びに適した時期、特にお盆ぐらいからは吸血昆虫テジロ(イヨシロオビアブ、体長約13mm)の王国でもある。濡れた肌は奴らの餌食。噛まれて血を吸われたら、しばらくは腫れて痛痒い。ご覚悟を。
仁淀川の本流に見つけた透明度抜群スポットにて。
(文・写真=大村嘉正)