- 料理
香りで料理をアップグレード! ニンニクとトゥルシーを手軽に楽しめる「POWDER 8」
2020.12.14 Mon
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
調味成分を含まないスパイス
2020年はアウトドア用スパイスのブームが巻き起こった年でした。おもに肉料理を対象に、かけるだけでおいしくなるスパイスが大流行。折からのアウトドアブームとも相まって、さまざまなスパイス調味料が登場しました。
そうしたなかにありながらも流行をまったく気にすることなく、オリジナルスタイルを貫いているスパイスがあります。
「POWDER 8(パウダー エイト)」は北海道産のニンニクとトゥルシーだけをブレンドしたスパイスパウダー。作っているのは「マルハチいけだ農園」というハーブ農家さんと、「パウワウファーム」というニンニク農家さんです。
まず最初に試したいのは、こうしたスキレット系料理。焼き物との相性は抜群のうえ、トゥルシーのおかげで食後感もサッパリ。サンドイッチやチーズ、ハムにかけてもおいしいほか、トマトやカブ、ボイルしたブロッコリーにもよく合う。
「僕らは農家なので、自分たちが栽培できるものを原料にして製品づくりをしたいっていう気持ちはつねにあるんですよ」
お話をうかがったのはマルハチいけだ農園の池田昌史(いけだまさし)さんです。
「うちのハーブもパウワウのニンニクも、自然栽培で農薬も肥料も一切使わない方法で育てるんですけど。やっぱり、自分たちが育てるものは健康っていうか、自然体であってほしいなと思ってます」
作物を育てるのではなく、作物が育ってしまう健康な環境をつくることで、いいものを作りたい。根幹にあるのは自分たちが手がける作物への愛情です。
収穫したトゥルシーを抱える池田さん。農場があるのは北海道の栗山町。11年前に札幌から移住して新規就農。いまはハーブを中心に手掛けている。
こうしたこだわりの原料を使いながら、POWDER 8には塩などの調味料が含まれていません。
「ニンニクもトゥルシーも香りを楽しんで欲しいんです。できあがった料理にかけたら、香りが豊かになってもっとおいしくなってくれたらいいなと思ってます。調味料が入ってると、できあがった料理の味が変わっちゃうじゃないですか。たくさんかけても塩っぱくならずに、香りだけを加えることができるようにしたかったんです」
それと、と池田さんは付け加えます。
「自分たちが農家で、塩は作れない、ってのもありますけどね(笑)」
それほどまでに、原料に対するこだわりは強いということなのです。
トゥルシーって何?
さて、ここで多くの方は思われるでしょう。ニンニクはわかるけど、トゥルシーってなに? と。
トゥルシーとはヒンディー語で、「比べるものがない至高のもの」を表わします。英語でホーリーバジル(聖なるバジル)とも呼ばれるシソ科の植物は、スパイシーな香りのなかにミントのような清涼感を含んでおり、インド料理だけでなくタイ料理にも使われています。古来より血行を促進して体調を整える効果が期待されるなど、健康維持に大きな作用があるとして珍重されてきました。
左/マルハチいけだ農園の圃場(ほじょう)。夏場は紫色のトゥルシーの花が一面に咲き誇る。 右/収穫したトゥルシー。株ごと陰干しにして乾燥させてから、葉を収穫する。
「日本でトゥルシーって言ったらハーブティーにするのが一般的だと思うんですよ。だけどとにかく香りがすばらしくて、匂いを嗅いでるだけでめっちゃお腹すくんですよ。で、このトゥルシーとパウワウのニンクを混ぜたらすごくおいしいんじゃないかって。配合もいろいろ何回も試して、1年以上かかってこのバランスにたどり着きました」
とのこと。その過程では、さまざまな料理にこのスパイスをふりかけて食べてみたそうです。そのなかでいちばんのオススメを聞いてみると、即答でした。
「卵かけご飯ですね。ふつうに卵かけご飯をつくって、これをパパっとかけてもらうと、トゥルシーの香りとニンニクのコクがものすごく引き立ちます。あと、外でカップ麺とか食べるときにちょっとかけてもらうと、劇的に香りが豊かになっておいしいです」
ちなみに、AkimamaでもこのPOWDER 8を試してみましたが、いちばん驚いたのはスープカレー。家で作ったスープカレーが、POWDER 8を振りかけるだけで専門店の味に激変。このアップグレードぶりには驚きを通り越した喜びしかありませんでした。さすがインドで重宝されているハーブだけに、インド系スパイス料理との相性は抜群です。そのほか、関西風うどんをアジアンスタイルの麺に変え、味噌汁に絶妙のコクを加え、豚バラ肉の塩焼きから胃もたれ成分を吹き飛ばして旨味だけを残すことも体験しています。ひとことで言って万能。これまでにない食体験が食卓に訪れます。
左/自然栽培で育てられた、パウワウファームのニンニク。スパイスのコクと深みのある香りはこのつややかなニンニクから。 右/いいアイデアはいつも、圃場での雑談からうまれる。
そしてこのPOWDER 8という名前にも、池田さんたちの想いが込められています。というのもパウダーエイトとは新雪で、ふたりのスキーヤーがラインを交錯させながら滑ること。パウダーの雪面に残ったシュプールが8の字の連続に見えることから名付けられたものです。しかもパッケージにも白い山が描かれるなど、商品全体にそこはかとなくスキーテイストが漂います。
「僕自身スキー全般が大好きで、冬の農閑期は夕張のマウントレースイっていうスキー場でパトロールやってるんですよ。もちろんパウダーエイトはスキーヤーとして、子どもの頃からの憧れなんでそれありきなんですけど、なにかしらでスキーに関係するような雰囲気を出せたら自分のモチベーションも上がるなと思って。
あと、うちがマルハチいけだ農園でなにかと『ハチ』を使うことが多いのと、ニンニク作ってるのも『パウワウ』だし。両方の名前を足して、なににかけてもおいしくなるスパイスパウダーってことを考えてたら、この名前に落ち着いたんですよね」
左/池田さんの冬の仕事はスキー場のパトロール。「毎日滑れるのが、最高に嬉しいんです」 右/釣り、キャンプ、バイクなど、池田さんはさまざまなアウトドアアクティビティを楽しんでいる。その外遊び好きな空気感が、POWDER 8からも漂ってくる。
その情熱が幸いして、今やPOWDER 8は北海道内のスキーヤー、スノーボーダーの間で徐々に広がりを見せています。
「キャンプやちょっとした裏山散策にも持ち出せるようなパッケージにしましたが、アウトドア用っていう意識はないです。家庭でも食卓に置いておいてもらって、なにかのときにササッとかけて楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています」
塩を含まないことで料理の味を変えることなく、素材の香りをぞんぶんに楽しむ。新しいタイプのスパイスを、ぜひとも試していただきたいと思っています。
商品は全国のアウトドア用品店やスキーショップなどで取り扱い中。下記の公式サイトからも通信販売可能です。商品についての詳細なども、下記サイトへ。
■POWDER 8 GARLIC&TULSI
原材料 乾燥ニンニク(自然栽培)
乾燥ホーリーバジル(自然栽培)
内容量 18g
価格 1,296円(8%消費税込)
POWDER 8
https://www.powder8.jp