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【BMFF レビュー】「リール ロック セブン ラ デュラデュラ(Reel Rock7 LaDura Dura)」
2013.09.02 Mon
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
9月7日から始まる、2013年「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル(BMFF)」のジャパンツアーで上映される作品を、Akimamaスタッフがレビュー。クライミングってこんなに情熱的でエモーショナルなスポーツだったの!?
■「リール ロック セブン ラ デュラデュラ(Reel Rock7 LaDura Dura)」(28分 アメリカ)
監督:Josh Lowell (ジョシュ・ロウウェル)
制作:Josh Lowell, Peter Mortimer, Alex Lowther, Nick Rosen (ジョシュ・ロウウェル/ピーター・モーティマー/ニック・ローゼン/アレックス・ローザ―)
【あらすじ】
スペインのオリアナに「La Dura Dura(ラ デュラデュラ)」と呼ばれるクライミングポイントがある。世界で最も難しいとされるその岩壁を、二人のクライマーが征服しようとしている。一人はクライミング界のヒーロー、クリス・シャーマ。スペインのカタルーニャにプール付きの豪邸をかまえ、犬と美人クライマーであるガールフレンドと暮らす。もう一人はアダム・オンドラ。チェコから両親の運転するバンに乗ってやってきた18歳の少年はクライミングの天才だ。世界中のコンペティションで優秀な成績を残しつつある。だがまだ学生の彼は、休みの間しか登れない。
熟練のクリスと、若きアダム。二人のクライマーが世界で最も難しいルートを作り上げるために費やした、4週間の記録。果たして挑戦は成し遂げられるのか?
Reel Rock7 LaDura Dura Trailer
【見どころ】
Duraは困難、という意味。ポイントには名前が付けられるが、ここの名はただ「困難」を繰り返すだけ。それ以上の感想がうまれない場所なのだ。
おそらくいちばん驚くのは、クライミングがここまで感情を爆発させるスポーツだということ。アダムは最初、ジッと息を飲み込んで岩に向かう。ところがある瞬間から、岩場には彼の絶叫がこだまする。痛みに耐えているかのような叫びと、情熱を抑えきれないような咆吼。今までに見たクライミングのシーンとは違う、ラフな情景が繰り広げられる。
何もかもを手にして誰もが憧れるクリス。まだ何も手にしていないアダム。ライフスタイルだけでなく、体つき、登り方、考え方は全く違う。けれど見ているものは同じだ。すこしずつイメージのつながっていくセクション。すこしずつわかってくる岩のこなしかた。ルートはやがてのばされていき、いくつかの難所を越えていく。
そうして迎えた最終日。学校に戻らなくてはならないアダムにとって、この日が最後だ。今まで、すべてがうまくいっていた天才は、始めてプレッシャーに押しつぶされそうになる。その若手に、クリスはリレーのバトンを渡そうとする。
リアルなクライミングシーンや二人の心の交流だけでなく、まだ何者でもないアダムの行き場所を持たない情熱などにも心を揺さぶられる。
「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル・イン・ジャパン・2013」
チケットの入手方法や各作品の上映スケジュールなど、詳しくはこちらへ
Banff Mountain Film Festival in Japan 2012公式ウェブサイト
これだけでもやばい!
「バンフ・マウンテン・フィルムフェスティバル・トレイラー」もチェックしてみて!
Banff Mountain Film Festival World Tour 2013 - Official Trailer