- カルチャー
日本の教科書問題の闇に輝く、歴史的な一冊が刊行!
2013.09.17 Tue
滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負
学校で用いられるさまざまな教科書の記述や解釈、または取り上げる内容を巡って、これまでに数多くの議論や対立が起こっています。それは国内のみならず、周辺諸国との外交問題にも発展し、大きな問題となることもしばしばしです。そんななか、さらに議論を呼び起こしかねない、問題の火種ともいえそうな1冊がこのほど、教科書検定をスルリとすり抜けて、ふわっと刊行されました。教科は何に該当するのかわかりませんが、書名は「あたらしい野宿(上)」。
本書は、これからの社会をたくましく生き抜くため、10歳から身につけたい正しい野宿の仕方を、日本の野宿界の第一人者である、かとうちあきさんが、懇切丁寧に解説します。この教科書のなかで、話を中心的に進めていく主人公の「のじゅくん」が野宿に出会い、野宿を通して成長していくさまは、まさに現代社会をサバイバルしていかなければならない私たち、ひいては私たちの次の世代へのアンチテーゼでもあります。そして、主人公の「のじゅくん」を支える各界の野宿の指南役たちは、とかく生きにくいこの現代社会を逆手に取りながら、したたかに生き抜くスターでもあります。
アウトドアやキャンプの教科書は、多方面からさまざま刊行されていますが、野宿という教科書はこれまで刊行されておりませんでした。しかし、先の震災やこのところの異常気象による自然災害からの避難生活など、野宿をするというシチュエーションも、あながち人ごとではありません。下手なアウトドアマニュアルを読むよりも、いざ、野宿ということを真剣に想定しなければならない時代となっているのかもしれません。
近い将来、家庭科、いや体育の学習指導要領のひとつに野宿という技術や知識が加えられ、小さいうちから真剣に学ばなけれならない時代が来るかもしれません。