- カルチャー
でっかい景色を切ってつないで遊んでみた。
2014.10.29 Wed
旅先で出会った大きな景色。その感動を残そうと、カメラのズームを思いっきり広角にして撮ったのに、なんだかペローンとしていて面白くない。「こんな景色じゃなかったのに」と、しょんぼりしたことはないでしょうか。
そんなときは一度、パノラマ写真を試してみてはどうでしょう。デジカメで撮った複数枚の写真を合成して1枚の写真に仕上げる方法です。すでにずいぶん前からパノラマ合成機能やソフトが付属したデジカメは出ていますから、取り立てて新しいことではありません。でも、改めて試してみるとこれがなかなか面白い。しかも、単純に大きな景色をパノラマ合成するだけでなく、被写体を選んだり撮り方をひと工夫することで、思いがけない写真ができあがったりもするのです。
今回はデジカメの付属機能などではなく、Microsoft Image Composite Editor(以下 MS ICE)という無料の写真合成ソフトを使います。
使い方はいたって簡単。つなぎ合わせたい写真をドラッグ&ドロップしてやるだけ。あとはソフトがあれこれ考えながら勝手に合成してくれます。さらに、このソフトが優れているところは、横方向だけでなく、上下方向に分割した写真や、さらには碁盤目のように縦横分割して撮った写真なんかもつなぎ合わせてくれる。つまり山頂からのパノラマ写真みたいな「定番」はもちろん、、天地方向にデカい景色なんかもオッケーなわけです。個人的には、北アルプスの屏風の耳あたりから、涸沢や穂高、常念山脈なんかをぐるりと撮ってつないだ写真、見てみたいなぁ(ぜひ、どなたかチャレンジを)。
ただし、同じ撮影ポイントからカメラの向きだけを変えて撮るため、できた画像には独特の歪み——イメージとしては魚眼レンズに近いかも——が生じます。ま、それはそれとしてひとつの「味」として楽しみましょう。ちなみに歪みを軽減するには、あまり広角で撮らないこと。フィルムの時代からパノラマ写真は標準レンズ(35mm換算で50mmレンズ)が基本といわれています。また、三脚など使って各写真がきれいにつながるように撮るのもポイントです。
空気が澄んでくるこれからの季節、いろんな景色を切り取ってつなぎ合わせて、楽しんでみてはどうでしょうか。
(文・写真=長谷川哲/山登り、自転車旅などを得意とする北海道在住のフリーライター。著書に『北海道16の自転車の旅』(北海道新聞社)。また『北海道夏山ガイド』(同)の取材スタッフとして道内の山を歩いている)