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GAKU-MC インタビュー Vol.1 キャンプという楽しい不便
2015.06.03 Wed
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
ラッパーとしてテビューし、
シンガーソングライターとして数々のフェスに出演しているGAKU-MCさん。
キャンプ好きとしても知られているGAKUさんによる、野外ライフのすすめ。
–––– 最初のキャンプ体験を教えてください。
GAKU 母がガールスカウトのリーダーみたいなことをやってて、子どもの頃に行った記憶があります。家族で行ったのが、最初のキャンプですね。自分から進んで行くようになったのは、大学くらいかな。EAST END × YURIになって、ちょっと余裕ができた頃に、キャンプ道具をフルセット買って。車に積んで、時間があれば行っていたという時期もありました。
–––– 自分で行くようになったきっかけは?
GAKU アウトドア好きが、「男らしい!」って思っていた時期があって。車も四輪駆動に乗っていて。冬にはスノーボード、夏には山、みたいな。なぜそうなっていたのか、理由や原因は今ではよくおぼえていないんだけど、アウトドアで過ごすことがすごく好きでした。キャンプ場だけではなく、河原でもテントを張っていましたよ。
–––– 仲間を集めて行っていた?
GAKU バンド仲間とか友人とか。大人数で行ってましたね。軽いノリだったんでしょうね。車にガサッとキャンプ道具を積んで。キャンプ道具を買うという喜びもあったんですよね。
–––– 収集癖があったのですね。
GAKU 男ってそうなりがちですよね。家のなかの家具を、アウトドア用品にしていた時期もあって。たためるし、軽いし、便利だし。ひとりで住んでいたときだから20代後半くらいかな。コールマンのピクニックテーブルを家でも使っていて。
–––– それを外でも使っていたのですか。
GAKU そうなんです。みんなでバーベキューするときには、家にあるものを持っていく。「これ、いいだろう」って自慢して。アウトドアのアイテムを家のなかでもうまく使っている自分が好きみたいな。男ってそういうの、あるじゃないですか(笑)。
–––– 野外フェスに出るようになって、出演ミュージシャンにも関わらず、ホテルではなくテント泊を楽しんでいらっしゃるとか。
GAKU せっかく野外フェスにいるのだったら、野外を満喫しようぜ!って。野外ってやっぱり昼の顔と夜の顔が違うじゃないですか。昼も好きだけど、夜の顔、夜の香りが好きなんですよね。それを味わうのも野外フェスでキャンプする理由のひとつです。
–––– 自分でもアウトドア料理はなさるのですか。
GAKU 全然ダメなんです。人に任せっきり。できる人に憧れちゃいますよ。
–––– テントで寝ることの楽しさって、なんだと思います?
GAKU ホテル泊に比べたら、絶対に不便じゃないですか。じゃあその便利なものがいいんだっけ?っていう。便利なものを便利だと思えるためにも、いろんな不便は経験していたほうがいいと思うんです。知ると便利もより楽しくなるし、不便も楽しくなる。楽しい不便は率先してやるべきだ、と人として思います(笑)。
–––– 確かにテント泊は楽しい不便ですよね。
GAKU どう考えても、楽しい不便ですよね。だけど、そこに大きな魅力がある。昔の人は普通にそれをやっていて、僕らはどんどん便利なものも不便なものも知らないまま育っていく。自分の親父も、その祖先も、もしかしたら同じように不便を味わっていたのかもしれない。外で過ごすっていう部分ではね。そう思うと、ちょっとロマンがあるじゃないですか。
–––– キャンプでの火の光も味わい深いですよね。
GAKU そもそも火起こしをしようと思っても、道具がなかったら、とてもじゃないけどできないじゃないですか。それをトライする。ちょっと大げさかもしれないですけど、やっぱり人間のロマンみたいなことを感じます。そんなことを想像できるアウトドアって、やっぱり素敵だなって思います。
–––– テントひとつとってみても、アウトドア用品は変わっていないようで進化しています。
GAKU 歴史に裏付けされた無駄のないデザインと機能性の混合。やっぱりさすがだなと思います。僕が使っているテントは数年前のものですから、アップグレードされているんでしょうね。
–––– 今年はキャンプでこんなことをしたい、というものはありますか。
GAKU 焚火を囲んで、ほろ酔いになりながら、音楽仲間と曲を作りたいですね。普段できないような、青臭い歌ができるような気がします(笑)。そういうのがやりたいなぁ。
GAKU-MC
1970年、東京出身。1990年EASTENDを結成。
94年にEASTEND×YURI名義でリリースした「DA.YO.NE」が大ヒットを記録、翌95年NHK紅白歌合戦出場。99年からソロ活動を開始。アコースティックギターを弾きながらラップする独自のスタンスで活動を続け、2011年にレーベル「Rap+Entertainmet」を設立。2012年には音楽イベント「アカリトライブ」を立ち上げて日本の復興活動に尽力する他、音楽とフットボールで人と人を繋げる融合団体「MIFA(Music Interact Football for All)」を設立。2014年4月、ベストアルバム『THE BEST “GRADATION”』をリリース。
(写真/片岡一史)