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明日9日はランチの前に日食タイム!! 約4年ぶり、日本全国で日食天文ショー
2016.03.08 Tue
都築泰久(ビクセン企画部) ビクセン
天体望遠鏡国内シェア60%以上を誇るビクセンの広報担当/都築泰久さんから、明日の「日食」についての最新情報&上手に日食を見るコツを教えてもらいました。9日はランチの前に日食タイムですよ、みなさん!!
2016年3月9日(水曜日)は、日本全国で日食を見ることができます。今回は太陽の一部が隠される、部分日食です。地域によって多少異なりますが、もっとも太陽が欠けるのは午前11時前後です。東京の場合、10時12分から欠け始め、もっとも欠けるのが11時08分、12時05分に日食は終了します。
平日の午前中なのでお勤めの方は観察しにくい時間帯かもしれませんが、貴重な機会なので、ちょっと仕事の手を休めて、オフィスの窓から、あるいは外に出て、宇宙スケールのイベントに参加してみてはいかがでしょうか?
国内で日食が観測されるのは4年ぶりのこと。前回は、2012年の金環日食でしたが、今回は太陽の一部のみが欠ける部分日食に。東京での「欠け」のピークは、11時8分です
日食は年に2~4回ほど、地球上のどこかで起こりますが、観察できる地域は限定されます。海がほとんどを占める地球上では、多くの日食は海上でおこり、地上で観察できる場合は少ないです。とくに人が住んでいる場所から見えるチャンスは稀で、貴重な天文現象となっています。
日食のなかでも、皆既日食となる地域は狭いので、毎回、観察するためのツアーが企画されます。皆既日食は、一度見ると虜になると言われるほどにすばらしい絶景で、皆既日食があればどこへでも出かけていく人たちを作り出しています。その方たちは、「日食ハンター」と呼ばれていて、アフリカで、南極で、イースター島で……と世界のさまざまな場所で皆既日食がおこるたびに、そこへ出かけています。
今回の日食の場合も、日本は部分日食ですが、インドネシア周辺では皆既日食を見ることができます。なので今回も世界では多くの日食観察ツアーが企画されていて、すでに多くの「日食ハンター」がインドネシアへ向かっていることでしょう。
日食の仕組みは、太陽と月と地球が一直線に並び、月が太陽を隠してしまうためです。日食を写真で見ると、単に丸いものの一部が欠けたようにしか感じないかもしれませんが、実際には、地球から約1億5000万km離れた太陽と、約38万km離れた月が、ちょうど地球と一直線上に並ぶという、極めて壮大なスケールでの出来事なのです。
宇宙空間で、太陽を中心に地球と月がそれぞれに動いていることを肌で感じられる瞬間が日食です。そんなスケールを感じながら日食を見ると、だいぶ気分もちがってくるのではないでしょうか? 今回、日本では皆既日食とまではなりませんが、この宇宙スケールの天文イベントを部分日食として体感できます。
日食は太陽を見る天文現象ですが、絶対に裸眼で見てはいけません。太陽光には紫外線など有害な光線が含まれていて、1秒以下の直視でも目にダメージを与えます。
車の運転をしているとき、あるいは建物から外で出た瞬間など、日常生活でもよく太陽を直視していると思うかもしれませんが、人間はその場合、本能的に瞬時に視線を太陽から外して目を守っています。しかし、日食を観察しようと我慢して太陽を直視してしまうと、目に深刻なダメージを与える危険があります。
日食時、多くの人が太陽を直接見た結果、視力の低下などの事故がこれまでにも起こっています。こうしたことから、「日食網膜症」という病名も存在しているのです。
太陽の光は直視は禁物。必ず、専用の日食グラスを使用して観察を。ビクセンでは高品位遮光プレート「ソーラープロテック」を使った日食グラスの販売も行なっています
安全に日食を見るには、必ず上にあるような太陽観察専用の「日食グラス」を使ってください。一般のサングラスなどは太陽に向けて使う目的ではつくられていないので、遮光性能がまったくちがいますからNGです。昔、ガラスをろうそくであぶってススをつけて観察をしたという方もいるかもしれませんが、これもNG。視界は暗くはなりますが、目に有害な紫外線などを適切にカットしません。
余談ですが、最近のろうそくは質が良く、ガラスをあぶっても昔のようにススは付かないらしいですよ。
■日食情報
■日食アプリ「Solar Book」
ビクセンが開発した「Solar Book」というスマートフォンのアプリでは、現在位置での日食の様子を知ることができます。無料でダウンロードできるので、ぜひ試してみてくださいね