- カルチャー
東京ドームに響き渡った「HOLD」に自分も包まれて。
2016.05.08 Sun
野外選曲家・河合桂馬の実戦主義選曲録 其の二
Dabin feat. Daniela Andrade「HOLD」
いわゆるクラブイベントだけではなく、さまざまなイベントでDJをやらせてもらっているのですが、自分がDJをする時の選曲は、プレイする環境、状況によって大きく変わります。野外なのか屋内なのか。屋内であればその大きさはどうか。どんな時間帯なのか。どんなお客さんが来ているのか。バンドのライブの次なのか、DJの次なのか、はたまた一番手なのか。プレイ時間はどれぐらいなのか…とまあ大まかにはこんなことを選曲の判断基準としています。
規模の大きいクラブを「大箱」、小さいクラブを「小箱」なんて呼んだりしますが、自分が今までにDJをした一番の大箱は「東京ドーム」です。クラブじゃないですが(笑)。どんなイベントだったかというと、「世界らん展 日本大賞2016」という、お花の展覧会でした。いつもお世話になっているフラワーアーティストのMassa Nakagawaさんにお声掛けいただき、このイベントのメインステージでおこなわれたMassaさんのフラワーデモンストレーションのステージDJを担当したのです。Massaさんがチャンスをくださったこんな大舞台、失敗するわけにはいきません。イベント前日までに状況を確認しました。
《場所》東京ドーム
《イベント規模》会期中トータル約15万人
《プレイ時間》13:10~13:40
《フロア構成》ステージ前ベンチ、スタンドに着席スタイル
《メイン客層》お花好きな40代からうえは70代!?の男女(シラフ)
《開始状況》司会者のかたがMassaさんと自分の紹介をし、ステージ呼び込み後、まずは河合桂馬が登場し、観客席に一礼、曲を流してMassaさん登場。
確認すればするほどどんどん緊張していった訳ですが、いよいよ本番当日。
司会者のかたの呼び込み後、河合桂馬(シラフ)は観客席に一礼。
1曲目をかける。
思っていたタイミングよりなかなかMassaさんが登場しない(笑)!!
河合桂馬(ガクブル)は緊張によりDJミキサーを凝視。
ためてためてMassaさん登場。
2曲目をつなぐころにようやく観客席を見る余裕ができました。Massaさんのフラワーデモンストレーションが完成していく過程に合わせて、音数が少ない曲から徐々に壮大な曲にもっていこうと思い、5曲目にかけた「Hold(Dabin feat. Daniela Andrade」が東京ドームの広大な空間に響き渡るのを聞きながら、「DJ続けてきてよかったなぁ」と、感慨深い気持ちに浸りました。
実はこの時初めて、自分がDJをするイベントに母を呼びました。大学の学費を払うはずの奨学金を勝手に使って、どうしても欲しかったターンテーブルを買った2002年のあの日から14年。
実家の押入れの上段をDJブースとして練習していると、「うるさいからやめなさい!」と何度も注意をしていた母も、少しはDJという仕事を理解してくれたようです。
文=河合桂馬 http://keimakawai.com