- カルチャー
【レポート】Stuben&KOKYU 出版記念トークイベント「雪国の人々と暮らしと」in 東川町
2016.12.11 Sun
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
「Stuben(ステューベン)」はカメラマンの渡辺洋一さんが声を上げてスタートした、スキーを軸とするスノーカルチャーマガジン。年一回の発刊で2016年10月にVol.2が発売となりました。
「KOKYU」はスノーサーフブランドGENTEMSTICKを主催しながら、patagoniaのグローバルアンバサダーとしても活動する玉井太朗さんの写真集。こちらも2016年10月に発表となりました。
今回、玉井さんはStuben 02に「山、川、海から見つめる北海道の自然環境」を寄稿。渡辺さんも玉井さんもニセコ在住。公私ともに交流のある二人は、それぞれに旅を重ねながら、世界中で人と自然との繋がりを見てきました。
その二人が、それぞれに関わったメディアに込められた想いや裏話をひもときながら、北海道の自然環境と雪国での生活について語る。それがトークイベント「雪国の人々と暮らしと」です。これまでにお二人の住むニセコで開催されましたが、2016年12月10日には写真の町・東川町でも開かれました。
会場となったのは「東川町文化芸術交流センター」。使われなくなった小学校をリノベーションした施設で、ここは元給食室。今では木材を美しく使った居心地のいいホールとなりました
- お二人のお話は過去の写真集や雑誌をベースに、かつてニセコはどんな様子だったのか、雪に触れあうスキーやスノーボードのカルチャーがどう変わってきたのかをたどります
- 玉井さん(左)と渡辺さん(右)。アラスカに滑りに行くなど、まだ誰も思いつかなかったような時代の旅の話から、当時の滑走具、そしてスキーのルーツまで。深い知識と経験に富んだトークに、詰めかけた80人あまりの人たちは静かに聞き入るばかりです
- 会場では「Stuben」はもちろん、「KOKYU」も購入可能。特に「Stuben 01」は買い逃した人も多かったようで、見つけて小躍りする人も。自分の町で好きな本を買うことができる機会は、雪国では本当にありがたいものです
- オレンジマンの愛称で知られるプロスノーボーダーの山内一志さん。他にも会場には滑り終わってそのまま来場した人や、プロの滑り手も多数。こうした山の活動と町との生活とが切れ目なくつながっている事も、雪国の暮らしの特徴です
トークショーの中でも興味深かったのは、渡辺洋一さんがヨーロッパで見てきた再生可能エネルギーを利用する小規模自治体の様子です。バイオマスを使った発熱所や、その熱を利用した地域暖房など、日本の雪国でも参考にできそうな例を紹介。こうした事から、雪とスキー、雪と暮らし、ものづくりと自然、旅と写真などを考え直すきっかけを探りました。
会場にはカフェコーナーも出展。雪国の暮らしと自然環境、といったテーマが、ビールやコーヒーを片手にしたリラックスしたムードの中で進められていくのも、とても印象的でした。
スキーやスノーボードが生活の中にある。そして、自然がすぐそばにあり、ものを作る気持ちがそこかしこに溢れている。そんな地域だからこそ、メディアを発信しながら雪と共に暮らすお二人の言葉が、ゆっくり静かに染みていくイベントでした。
プロスキーヤーの浅川 誠さんもスキーウェアのまま来場。玉井さんの写真集を買ってサインをしてもらい、それをStuben編集者の尾日向さんが笑って見守る。北海道の雪好きにはちょっとグッとくる、とてもいい風景でした
GENTEMSTICK
http://www.gentemstick.com
Stuben
http://stuben.upas.jp