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【海外】コロラドのスキー場で雪崩救助犬として活躍するヘンリー。11年目の冬を過ごす彼の喜びとは
2018.02.21 Wed
コロラド州のVail(ヴェイル)は一大スキーリゾート。ベースエリアには高級ホテルが立ち並び、まさにリゾート然としていますが、山は完全ナチュラル指向。滑りがいのある斜度と深い新雪を求めて、全米はもちろん世界中からハードコアな滑り手たちが集う場所です。
それだけにVailでのパトロール任務は多岐にわたります。万一の際の雪崩救助も大きな仕事の1つ。もちろん雪崩に埋まった人が電波を発信して自分の位置を知らせるビーコン(最近ではアバランチトランシーバーとも呼ばれます)を装着していれば、捜索と救助にかかる時間は大幅に短縮できます。が、現実的に見ればスキーリゾートで、全ての滑走者がビーコンを装着しているわけではありません。
そこでビーコン非装着の埋没者を少しでも早く見つけ出すために、北米では早くから雪崩救助犬の導入が検討されてきました。
深い雪の中でわずかなにおいをたよりに埋没者の位置を見定める。それは犬にとっても容易なことではありません。なにしろ、雪崩の現場で埋没者の匂いを嗅ぎ分けることは、あたりを動き回る救助者たちの濃い匂いの中から、雪の中に埋まった人の僅かな匂いを選び取るという非常にセンシティブな作業になるからです。
そのためにはどんな訓練をすればいいのか。犬と共にハンドラーと呼ばれる犬の教育者たちも、まったくの手探りの中で人命救助の可能性を探り続け、今日に至っています。
動画はそうした訓練を11年も経て、Vailのパトロールメンバーとして活躍するヘンリーのひとり語りです。ヘンリーにとって、雪崩救助犬として成長していくことは自身の才能を活かし、一生で一回の大きな冒険に挑むようなものだったとされています。
もちろん雪崩救助犬としての堂々たる姿や訓練の様子も興味深いものですが、ヘンリーの落ち着いた愛らしい表情が特別の魅力を放っています。
雪崩救助という任務にあたる時、必要だったのはその研ぎ澄まされた嗅覚であることは間違いありません。けれど、雪崩救助犬は鼻のきく動物を利用しようとしたのではなく、信頼できる友人に、その得意技を活かした手助けを乞うところから始まっています。ヘンリーの表情は、そのことを強く感じさせるものです。
スキーリゾートが制作した動画ではありますが、そこに描かれているのは愛情です。来場者の安全を守る愛情、そのために情熱を燃やし続ける人たちへの愛情、そして仲間として現場に立ってくれるヘンリーへの愛情。
できれば静かな場所で、ヘッドフォンで、音楽と共にこの世界に没入してください。5分後にはすっかり心が洗われて、遠くの雪山を眺めてしまうことでしょう。例によって字幕オン、自動翻訳→日本語でどうぞ。
(アイキャッチなど、画像は上記サイトから引用)