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地球を滑る旅 No.6 ギリシャ編「運に招かれた国で出会った、神に試される山々と世話好きの人たち」
2018.12.07 Fri
ついに6カ国目となった「地球を滑る旅」。プロスキーヤーの児玉 毅(こだまたけし)さんと、カメラマンのサトウケイさんがスキーとカメラを持って、およそスキーができるとは思えない場所をめざす、出たとこ勝負のドタバタ旅。これまで旅してきたのはレバノン、モロッコ、アイスランド、カシミール、ロシア。そして、今回は地中海の楽園・ギリシャへと向かいます。果たして神話の国でスキーなんてできるのか? 加えて、パウダーパラダイスの北海道に住みながら、世界の辺境の地で滑走を重ねる二人が求めているものとは?
ほぼスキーを口実に楽しんできた二人の旅はまだまだ続きますが、ひとまずAkimama特別編の集中連載は今回でひと段落。それでは最新のフォトブック「ギリシャ編」が生まれるきっかけとなった不幸な夏の夜から、お話を始めましょう。
今回滑りに行った国 地名:ギリシャ共和国 面積:約13万2000㎢(日本の約2/5) 人口:約1081万人(日本の約1/12) 通貨:ユーロ(1ユーロ≒128円) 公用語:ギリシャ語 |
ケガの功名!?
ある猛暑日の夜のこと。
札幌の倉庫街にあるフットサルコートで、俺は汗を流していた。サッカーもフットサルも初心者だったけど、息子二人のサッカー練習に付き合うようになってからサッカーにはまってしまい、それがエスカレートしてきたのだ。
もともとスポーツにおいては負けず嫌いの俺は、経験者ばかりのメンバーに混ざり、若い頃に鍛え上げた身体能力だけを頼りに、無駄に走り回っていた。
味方のパスが足元に来て、とっさに受けたトラップが、珍しくイメージ通りの場所に転がった。俺は、唯一自信がある瞬発力に任せて相手を一人かわし、右サイドを駆け上がった。
「フリーだ!」
角度はないけれど、キーパーと1対1。慣れないフットサルボールはシュートが難しいので、思い切り打たないと入らないだろう。シュート前のタッチが少し大きくなってしまった。俺は大きく一歩を踏み込んで、少し体制を崩しながらも、シュート体制に入った。そのとき......!
『バン!!!』
ふくらはぎのあたりで、何かが爆発したような強い衝撃を受け、俺はコートに転がった。誰かが後ろからディフェンスしたのだろう。社会人のお楽しみフットサルで、そりゃないよ!そう思って後ろを振り返った。
ギリシャといえば、青い海のアイランドリゾート。そもそもそんな国でスキーなんてできるのかよ? エーゲ海に浮かぶ離島、パロス島にて。
- アテネのアクロポリスにあるゼウス神殿。昔の人ってすげ〜な〜としみじみ。
- アテネ観光のハイライトといえば、ご存知パルテノン神殿。もっとも観光客が少ない時期なので、空いていて見やすいんだけど、その分、改修工事の最中でやや興醒め。
- 遥か昔、ここが大勢の人で賑わっていた光景を想像してみる。歴史のある国には、旅の楽しむエッセンスがいっぱい散らばっている。
- パルテノン神殿の高台からアテネの街を眺める。歴史と神話と人々とが、近い距離で共存している都市だと思った。
「ファール!......って、あれ?」
俺を蹴った人など誰もいなかったのだ。その時、珍しく脳ミソがフル回転して、自己診断を始めた。40代男性、フットサル、ふくらはぎで何かが弾けるような衝撃......。これって、運動会で頑張りすぎたお父さんがやってしまう、アレかもしれないぞ......。
しかし、信じたくない自分がいた。20年以上をプロスキーヤーとして生きてきた俺は、世間一般的に見ると、立派なアスリートだ。それが、社会人のお楽しみフットサルで、アキレス腱を負傷しただなんて......ダサくない?
こうして俺は、 "父ちゃん、ダッせ〜!" とドン引きする息子たちに送り出されて、アキレス腱縫合手術を受けたのだった。主治医の井上先生には、
「タケ、もう歳なんだから、治るの早くないんだぞ。無理するタイプだから、2月までスキー禁止だな!」
とお灸を据えられたのだった。
2月って......。地球を滑る旅、行けるのか?怪我をすると、無性にスキーがしたくなるのは、俺だけだろうか。過去に手術と入院を必要とする大怪我を3度経験したけれど、その度にスキーが大好きになった。
アキレス腱のオペを受け、リハビリに励みながら、俺の滑走意欲は妙に高まっていた。主治医になんと言われようが、地球を滑る旅に行くつもりだ。次はどこに行こうか。そんな妄想ばかりが膨らんでいく。
- もしかしたら、旅の中で一番緊張する瞬間は、出国時のチェックインかもしれない。かなり荷物を絞って持って行ったにもかかわらず、なんと10万円のオーバーチャージだった......。
- 今回はオイルマネー万歳のエディハド航空で、アブダビ経由アテネ行きの空の旅〜。
そんな時、毎日、アキレス腱とスキーのことしか考えていない俺が、ふと思った。そういえば、アキレス腱の「アキレス」って何が語源なんだっけ? アキレスとは、ギリシャ神話に登場する英雄、アキレウスから来ているという。
「ん? ギリシャ?」
そういえば、ギリシャで誰かがスキーをした話を聞いたことがなかっただろうか。かなり昔のことだけど、友人の女の子がギリシャを滑ったという話を聞いて、猛烈に嫉妬したのを思い出した。
旅の行き先が決まる時というのは、往々にして、どうでも良い些細なことがきっかけだったりするのだ。
神話の国で、巨大な光の塊を見る!
久々の左ハンドルに、いささか緊張しながら、ゆっくりと車を出発させた。ウィンカーと間違えて、何度もワイパーを動かしてしまったけど、その度に助手席のケイが
「雨降ってきた?」
と冗談を言ってフォローしてくれた。今までの俺たちだったら、真っ先にアテネのダウンタウンをめざしただろうけど、運転に慣れない状態でダウンタウンに向かうことが、いかに無謀なことなのかということに、最近ようやく気がついた。俺たちは、空港からまっすぐ山岳エリアをめざしてドライブを開始したのだった。
飛行機が着陸するときに景色を見渡した限り、雪山の「ゆ」の字も感じられなかったし、ドライブしていても、スキーの「す」の字も感じられない街並みだ。
「順調だね」
ケイがニヤリと笑って言った。『本当に雪なんてあるんだろうか?』という不安が大きければ大きいほど、実際に雪を目にした時の感動が大きいことを俺たちは経験的に知っているのだ。
退屈なハイウェイから下道に降りると、ヨーロッパらしい田園風景が広がってきた。アテネを出発して約3時間。『ようやくギリシャっぽい景色が現れた!』と思った場所が、俺たちが最初にベースにしようと思っている街、デルフィだった。
パルナッソススキー場のベースとなる街が、なんと世界遺産の街デルフィ。哲学の祖・ソクラテスも、ここで神託を受けたことがきっかけで、哲学の道を歩みだしたとか。
ネットで調べたところによると、デルフィはギリシャ最大のパワースポットなんだそうだ。イエス・キリストが生まれるよりもずっと昔、ここは『世界の中心』と呼ばれ、アポロン神殿の巫女による神託(神の御告げ)で国の命運を占ったんだとか。
「20歳になるまでに幽霊を見なかったら、一生見ることができない」
という都市伝説を信じている俺は、20歳までに幽霊を見れなかった自分を霊感ゼロと決めつけて生きてきたが、そんな俺でも、霊的な何かを感じるような場所がデルフィだった。
様々な歴史のある街からスキー場に向かうことに、妙にロマンを感じるのは俺だけだろうか。旅人ロマン満載の俺は、桜の花にそっくりなアーモンドの花のトンネルを抜け、街からつづらおれの道路を一気に高度を上げて行った。そのとき......!
突然視界に飛び込んできた巨大な光の塊に、俺もケイも唖然としてしまい、それが雪山だと認識するのに、数秒間を要した。
「うおおお!!!」
車内でかかっていた広瀬香美の「ゲレンデがとけるほど恋したい」の歌声を搔き消すどよめきが響き渡った。日本を経ってから数日間、雪景色から離れていただけに、視界を覆い尽くす雪の光はあまりにも鮮烈だった。
デルフィを出発して20分。圧倒的なボリューム感で聳え立つパルナッソス山が見えてきた。地中海性気候のギリシャは、冬が雨季にあたるので、標高約1,000m以上には結構雪が積もるのだ。
- スキーができる国とは思えない、温暖な気候。麓の町ではレモンやオレンンジがたわわに実っていた。
- デルフィの街は桜が満開だった......と思ったら、アーモンドの花だった。とにかく、2月後半だというのに、もう春めいてきていた。
雪質よりも斜度よりも、ワクワクさせてくれるもの
雪があった時点で、俺たちのミッションは99%成功のようなものだ。世界中のパウダーフリークが憧れるパウダースノーの聖地、北海道から、わざわざビーチリゾートのイメージしかないギリシャにスキーに訪れた理由は、当然雪質なんかじゃない。ここにしかない雪があり、ここにしかない地形があり、景色がある。そして、ギリシャのスキー場に根付いたスキー文化に触れるのも楽しみの一つだ。
スキー場に到着すると、プールに入る直前の小学生のように、バタバタと準備を済ませてリフトチケット売り場に向かった。地球を滑る旅としては、初めてのユーロ圏ということで、さぞかしリフトチケットがお高いんじゃないか、と心配していたけど、予想に反して一日券が約3,000円という安価だった。リフトチケットの料金は、その国の物価以上に、世界中からゲストが来るかどうかが反映されるのだ。要するに、このスキー場にわざわざ海外から滑りにくるような好き者など、ほぼいないと言うことだ。
パルナッソススキー場に到着。雪質と積雪量を日本と比べてはならない。俺たちはギリシャでしかできないスキーを体験しにきたのだ。
- リフト1日券が日本円にして約3,000円。日本のスキー場でも5,000円が当たり前の時代である。物価が高いイメージのヨーロッパの中では破格だ。
- スキー途上国のイメージだったけど、蓋を開けてみれば施設は立派で、お客もたくさんのスキー場だった。
- ビーチリゾートのごとく、リクライニングベッドで日向ぼっこをする人々。全然暖かくないんだけどね。さすがはギリシャ人だ。
- やけに盛り上がっているな〜と思って、よく見たら、雪上バレーボール大会かよ!? 雪遊びの仕方が何から何までビーチ風だ。
- 決して雪が多いとはいえないけれど、どのスキー場も個性的な地形を生かしたワイルドなスキー場だった。
- 初めて訪れたスキー場のゴンドラの中で、トレイルマップを見ながら、どこを滑るか作戦を立てる。このワクワク感は子供の頃から何ら変わらない。
- ワイルドなオフピステが広がるカラブリタスキー場に連日通うも、強風で軒並みリフトがクローズときたもんだ。こんな時バックカントリースキーヤーで良かったと思う。
- スキー場の山頂から裏のエリアを眺めると、美しいボウル地形が。バックカントリーを楽しむ人がほとんどいないので、一日中貸切のようなものだった。
ちなみに、俺が調べた限りで世界一リフトチケット(一日券)が高かったスキー場は、アメリカのコロラドにある高級スキーリゾートのベイルで、約2万円。俺は、20年前にベイルを訪れたことがあるが、その時はランチの価格を見ただけで震えてしまい、結局滑らずにスキー場を後にしたという暗黒の思い出になっている。やはり、貧乏人に優しいスキー場っていうのは、オープンに感じて心地よいものだ。
ゴンドラの中から、周囲のスロープやその奥に広がる山々を眺めている俺たちは、初めて飛行機に乗った子供よりも落ち着かない様子だっただろう。広々としたスロープには、初中級のスキーヤー・スノーボーダーで溢れ、中腹のレストハウスのテラスに並んだリクライニングチェアには、まるでビーチで寛ぐかのように日向ぼっこしている人々の姿が見えた。
やがて、このスキー場の象徴というのにぴったりなピラミッドのような山が左手に近づいてきた。俺とケイは、ゴンドラを降りると、スキー場全体が見渡せる場所まで、無言で移動して行った。
「おおお、やっぱり......!」
世界は、いつも驚かせてくれる。インターネットで情報を得て、何かを知ったつもりでいても、それは単なる情報に過ぎない。ここで目にしているリアルなスケール感。肌で感じる風や空気中の湿気、雪の匂い。そして目に見えない霊的な何か......。ここに立たなければ、1%だって、ここを感じることはできないのだ。
スキー場から見える「あんなところ、滑れるの?」という斜面に、シュプールを残す快感。パウダーの大斜面もいいけど、ピリリとスパイスの効いた滑降が、たまに欲しくなるのだ。
俺とケイが、『果たしてスキーなんてできるんだろうか?』と思っていたギリシャは、その懐にとんでもなく可能性いっぱいの雪山を隠し持っていた。
こうして、俺たちにとってのメインの目的であるスキー滑走の日々がスタートした。神々の国であるから、天気を司るゼウスの気まぐれに翻弄されながら、荒天の中で一瞬の隙をついて、あちこちのスロープにシュプールという生きた痕跡を刻んでいった。
その詳細をここで語りたいところだけれど、それは、俺たちが今年10月19日に発売したばかりの新作「GREECE」を読んでいただきたく!
もちろん、滑走だけではなく、遺跡や街や島での旅、食文化、アクシデントなど......、旅の様々なエッセンスが詰まった一冊です。
GREECE
“RIDE THE EARTH Photobook 06”
著者:Skier&Text: 児玉 毅/Photo: 佐藤 圭
210×270mm/120頁/定価 2,000円(税抜)
ISBN978-4-903707-86-0
発売日:2018/10/20
スキーを抱えて旅に出る。それが自然な生き方なのだ
「スキーと旅という自分が一番好きなことを、どこまでも追い求め続ける。」
そう言ったらカッコよく聞こえるけれど、実際は、いろんな人にお世話になり、家族に心配や迷惑をかけ、そのとき抱えている様々なことに折り合いをつけて旅立っているのが現状だ。
ギリシャらしい灰色の玄武岩が露出する斜面を果敢に攻める。ちょっと粘り雪だったけど、雪煙がギリギリ上がる雪質だった。ちなみに、雪煙が上がった方が、写真に躍動感が生まれる。
- 季節外れの大雪で、思いがけずギリシャらしくない(?)パウダーの大斜面に遭遇! はっきり言って、ここまでの好条件を全く期待していなかった(笑)
- 世界遺産や避暑地として有名な街も、冬場はスキーの街に衣替えする。スキーよりも、レンタルそりの充実ぶりに驚いた。
-
なめらかなスロープがあり、ベースには広大な平坦地があり、ツリーランが楽しめる森林もある。あとは雪があれば完璧だ!(苦笑)
- ギリシャっぽい?格好をして滑る! 今回はお土産屋さんでゲットした安っぽい格好で、古代を意識したターンをしてみました!(汗)
自分の夢しか見えておらず、世界の国と国をハシゴしていた風来坊も、44歳の今の歳になるまでに、結婚して2人の子供が生まれ、犬を飼い、両親も年老いた。それぞれの年代の生活があり、それぞれの年代のスキーとの関わり方があると思っている。スキーとは、単なるスポーツではなく、ライフスタイルだと思っているからこそ、泥臭い部分から生活感たっぷりの部分まで、すべてひっくるめて、自分という一人のスキーヤーを通して、表現したものを見てもらいたいと思っている。
そして、スキーヤーなら誰もが思い描きそうな天真爛漫な夢を、バカみたいに継続して生きたい。
次は、ジャングルから雪山をめざそうか、自転車でめざそうか、船でめざそうか......。
Life is a ski. Life is a journey!!
読んでくれてありがとう!
来年の旅もお楽しみに!
GREECE
“RIDE THE EARTH Photobook 06”
著者:Skier&Text: 児玉 毅/Photo: 佐藤 圭
210×270mm/120頁/定価 2,000円(税抜)
ISBN978-4-903707-86-0
発売日:2018/10/20
SNAP SHOTS
- ゲレ食の一例。海外のゲレ食はDELIスタイルが多い。そもそも料理の名前がわからないので、料理を見て頼めるDELIは助かる。
- 植物に乏しい岩山なのに、デルフィの近くだけは、森が生き生きと茂り、花々が咲き乱れていた。さすがギリシャ最大のパワースポットだけのことはある。
- なんでもないスキー場の光景に、ギリシャならではのスキー文化を感じる。スキー場に行けば、地元のスキーヤーに出会うことができるのが嬉しい。
- 日本人のプロスキーヤーは、世界のどこのスキー場に行っても、ちょっと浮いてしまう。カラブリタスキー場はまるで野外フェスのような盛り上がりを見せていた。
- 歴史的建造物と、おしゃれな街並みをイメージしていたら、アテネの街は落がきだらけ! アートという言い方もあるけれど、どこにでも描く情熱というか、執念には恐れ入った。
- 国のイメージにぴったりすぎる国旗といえば、ギリシャの国旗でしょう。
- 地球を滑る旅に欠かせないのが「酒」。ギリシャのビールは、その乾燥した気候にぴったりのドライでさっぱりしたビールが多い。
- 世界のどこに行っても見かける肉の串焼き。これが大衆ギリシャ料理のスタンダードだ。
- リカヴィトスの丘に登りながら、靄に霞んだアテネの街を見下ろす。日本とはまったく違った街並みに、旅人ゴコロがくすぐられっぱなしだった。
- スキーエリアに向けて、急な峠道を登っていくと、時折道路脇に歴史的な修道院が現れる。「お!」と反応するも、ケイが世界遺産に興味がないので素通り(笑)
- 旅の中盤に訪れたカルペニシにて。魅力的な雪山に囲まれた、美しい山岳リゾートだった。
- カルペニシの可愛らしい街並み。こんなに良いところなのに、「地球の歩き方」には、1ミリも掲載されていなかった。世の中的には、やはり山より海なのだろうか。
- 平均速度120キロの快適ドライブ!しかし、高速道路は料金所が多すぎて、小銭がいくらあっても足りない。
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アテネの中心地、シンタグマ広場にある無名戦士の墓。ユニークな格好をした兵隊さんに目が釘付けとなり、15分くらい飽きずに眺めていた。
- 何気ないホテルの朝食。「日本の朝飯に勝る朝飯はない」というのが俺の持論だが、海外に来た時は覚悟しているので問題ない。
- ざっくりした印象のギリシャのランチ。基本的に素材勝負で、味付けも調理方法もシンプルなのが特徴だ。
- 地中海沿岸といえばオリーブ畑でしょう。物珍しそうに見ていたら、年老いた農夫が歩み寄ってきて、オリーブがいっぱい成った枝をプレゼントしてくれた。
- 峠道から見下ろしたデルフィの街並み。山奥の斜面を削って作ったこの街が、かつて「世界の中心」と呼ばれていたなんて…。
- ギリシャ人の98%がギリシャ正教を信仰している。キリル文字や宗教など、ロシアと共通点が多い。
- 道路脇の斜面で遊んでいたら、たまたま通りかかったオーストラリア人の老夫婦に声をかけられた。ギリシャ旅行でスキーをしに来るとは、なかなかマニアック。
- アテネのアクロポリスの路地裏を散策。歴史の深さと落書きの派手さのミスマッチが、なんともいえない雰囲気を作り出していた。
- 白い家が建ち並ぶ路地の向こうにギリシャブルーの海が見える。まさにギリシャのイメージそのものの景色に、柄にもなく一般的な観光客のようにはしゃいでしまった。
- 地中海沿岸といえば猫? 街の至る所で猫がくつろぎ、ただでさえのんびりした国なのに、さらにのどかな空気感を添えてくれる。猫はケイが大好きな被写体でもあるのだ。
- まさに、地球を滑る旅の象徴的な写真。ビーチやジャングルや砂漠など、雪がないところからでも、遥かなる雪山をめざして旅をするのだ。
- 謎に賞味期限が長すぎるパンを発見。山に行った時、いつもふんわりした美味しいパンが食べれて、腐ることもないので、行動食として重宝した。多分添加物たっぷりだろうけど......。
- どこに行っても、何かの理由をつけて乾杯。行ったことのないスキーエリアに向かう前夜は、お酒が進むのだ。ギリシャ中部の町、アグリニオンにて。
- ギリシャ人は商売上手? 明るくフレンドリーでいて、押し付けがましくない。心地よい接客に、思わずたくさん買ってしまった。まぁ、良いものがいっぱい売っているというのが前提だけど。
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帰りの飛行機から、地中海に浮かぶ島々を見下ろしながら、ギリシャとお別れ。多分、もう滑りに来ることはないだろう。
(地球を滑る旅 No.6 ギリシャ特別編 完)
文と滑走=児玉 毅(こだまたけし・左)
プロスキーヤー/冒険家/フィールドライター
1974年 北海道札幌市出身。19歳の時、三浦雄一郎&スノードルフィンズの門戸を叩く。1999年(25歳)のアメリカスキー旅行を皮切りに、マッキンリー、グリーンランド、ヒマラヤなど世界の山と辺境の地を訪ね歩いてきた。Facebook:takeshi.kodama.735
写真=佐藤 圭(さとうけい・右)
フォトグラファー
1972年 北海道札幌市出身。写真好きが昂じ、勤めを辞して撮影の旅へ。以来、スキーやスノーボードの撮影を中心にアクティブなフィールドワークを重ねている。2009年からは北海道上富良野町に拠点を移し、バックパッカー式の宿「Orange House Hostel」も運営。
地球を滑る旅 Akimama特別編/そのほかの旅