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日本人のソールフード“おにぎり”。定番の具材から新たなコンビで365種類。一挙にまとめた『ONIGIRI』に注目
2020.01.17 Fri
久保田亜矢 フォトジャーナリスト、編集者
少し前の話になるが、1年間、毎日使うことができる《365日おにぎりレシピ》が出版された。しかも、これが縁でフランス派遣団「チームONIGIRIにいがた」が結成され、フランス・パリでおにぎりづくりのワークショップが開催されている。著者の佐藤智香子さんに話を聞いてみた。
炊いたご飯に好きな具材を入れて丸めるだけ! というシンプルな日本のソウルフード、おにぎり。最近は、コンビニに行けば簡単に手に入るおにぎりだが、地域性を感じるものも多い。ただ365種類となると、そのアイディアもさまざま。定番のレシピから、意外性のある具のコンビネーションまで、いろんなおにぎりがこの一冊に詰まっている。
この《365日おにぎりレシピ》は新潟の出版社で生まれた。
「米どころ、新潟から米のよさを発信したい、そのためには食の流行を受けたおにぎりがいちばん」という、当時、『新潟Komachi』編集長を務めていた間瀬博文さんのアイディアから、新潟出身の料理研究家の佐藤智香子さんに依頼し、実現した。
「これまでに、年間何百というレシピを、いろいろな媒体を通して考案してきましたが、私自身米どころ新潟で生まれ育ち、身近にあった『米』、なかでも誰しもが小さな頃から食べているおにぎりをテーマにレシピを考えるというのは、それはまだやっていなかった事で、ある意味新鮮でした。最初は、定番は梅干し・鮭・たらこ・ツナ。季節のものなら枝豆やレンコンと、すぐ浮かんだので、365個であればなんとかいけるかなと思っていました。しかし200個を超えたあたりから、食材の組み合わせや、白ご飯には間違いなくあうけれど、汁気のあるものはどうしたらいいか……など、より深いおにぎりの世界に向き合いました、笑。」
と、佐藤さんは話す。ほぼ100%の日本人が一度以上は口にしているだろうし、サイズ、形、そして具材にも好みがあり、ひとつふたつの思い出を語ることのできるおにぎりだが、自分で握ったという人が意外に少ないかもしれない。
そこで今回、何百個とおにぎりを握った佐藤さんからこんなアドバイスをいただいた。
「握りたての、まだほんのりあたたかいおにぎりは、もちろんおいしいのですが、おにぎりは基本、冷めた状態で食べるもの。空気を含むように3、4回握ることで、口に入れたとき、米がほどけるようなふわっとしたおにぎりが完成します。また、“つける塩の加減がむずかしい“とよく聞かれますが、私は指を濡らして、塩を入れた器に人差し指を入れ、第一関節についてきた塩がひとつのおにぎりの塩分としてちょうどいい量だとお伝えしています」
軽い山歩きのお弁当に、あるいはキャンプやBBQのときに、おにぎりが添えてあるのは意外に嬉しいもの。中の具材にも意外性があったりすると、それだけで場が盛り上がることもしばしば。仲間と近場の山へ登りに行ったとき、握ったおにぎりが出てくると、「おっ!」と周囲の株が上がるかもしれない。
この《365日おにぎりレシピ》を参考にしながら、定番な具材だけでなく、自分らしいおにぎりレシピを見つけてみてはどうだろう。
▪︎『365日おにぎりレシピ』『ONIGIRI』
左が日本語版の『365日おにぎりレシピ』。右が英語版の『ONIGIRI』(ともにニューズ・ライン)。なんと英訳版も出版されている。ONIGIRIはもうすでに世界の共通語に! ※後日談。じつはこの英語版、その後、増刷も決まり、快進撃を続けている。日本国内だけでなく、アメリカ、シンガポール、バンコク、シドニー、クアラルンプールなどでも販売。また、グルマンインターナショナル(世界料理本大賞)のお米部門とCorporate部門にもノミネートされている。ONIGIRIは、まさに世界へ羽ばたいている!!