- カルチャー
もしもにつよい私になる! 鎌倉からアウトドアと防災をテーマにしたプロジェクト〈もしかま〉がスタート
2023.02.11 Sat
滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負
2月5日から12日までの8日間にわたり、神奈川県の鎌倉市で始まったイベント[もしかま2023]。これは、鎌倉に店舗や事業所のある、ザ・ノースフェイス/ヘリーハンセン鎌倉店、パタゴニア日本支社、UPI(アンプラージュ・インターナショナル)、鎌倉天幕(ニューテック・ジャパン)などのアウトドア事業者の協力のもと、鎌倉のアウトドアコミュニティが主体となり、ローカルラジオ放送局の鎌倉FMの主催による「地域防災とアウトドア」をテーマにしたプロジェクトです。
メイン会場となる鎌倉メトロポリタンホテル1FにあるMUJICOMの会場には、「もしかま」展と題した防災に役立つアウトドアグッズの展示と鎌倉FMの公開収録ブースがある。ここでは期間中さまざまなゲストがトークショーを展開。休日にはファミリーを対象にしたワークショップも
鎌倉は三方を山々に囲まれ、海が近く、ひとたび地震や集中豪雨などが起これば、土砂崩れや津波を想定しなくてはなりません。近年は、気候変動による自然災害は苛烈さを増し、日ごろから自然災害に備えておくことはとても重要です。そこでアウトドアを趣味とする市民ユーザーが多く住む鎌倉から「もしもにつよいわたしになる」を合言葉に、各町内会や自治会などの地域コミュニティも一緒に、アウトドアを通して楽しみながら実践、学べる機会を提供。いざというときにタフで頼れる防災に強い「かまくら」を県外の人にも、アピールしていくイベントです。いざというときに、私たちアウトドアズマンは必然的に、となりに住む、おじいさん、おばあさんの手を取り、小さな子どもを抱えたママや子どもたちのリーダーになるべき存在でもあり、家にたくさんあるアウトドアグッズやウェアが、緊急時にとても役に立つことを知っています。不便さを知恵と道具と技術で楽しむアウトドアは、いざという時に役に立つヒントやスキルに満ちています。
第2会場でもある北鎌倉にある浄智寺では、火を使ったワークショップや、お寺の水を使ったフィールドワークを開催
また災害時に重要となるのは、被災地域に根ざした正確なリアルタイム情報です。スマホやSNSなどの発達により、さまざまな情報が誰にでも、どこからでも発信できるようになった反面、現場で有用な情報がわかりにくくなったことも確かです。デジタルデバイスを使えない高齢者や障碍者などの存在、通信障害など、情報を入手することができない人との情報格差も生まれています。
浄智寺の書院では基調講演のほか、津波からどう避難するか?をテーマにした「津波ひなんすごろく」など、親子で楽しんで学べるワークショップも開催。
そこで重要になってくるのがコミュニティFMの存在です。東日本大震災以降、災害時の重要な情報源として大きな役割を果たしたコミュニティFMは、停電時でもラジオさえあれば、避難場所の案内から被災者の安否確認、食料・飲料水の供給状況など、リアルタイムな災害・防災情報を聞くことができ、災害に強いメディアとして全国各地に放送局が増えています。
鎌倉のフィールドに、ひとたび目をやれば燃料になる小枝や湧水など、自然の恵みがたくさん。それを活かしたヨッチ藤原さん十八番のDIYのワークショップ
鎌倉は日本の3大自然災害に見舞われた経験のある都市でもあります。防災はイベントだけで終わらせてしまってはいけません。いかに普段の生活から、災害に対する覚悟と備えをしておくか。アウトドアを通して、災害に強いまちづくり、環境づくり、人づくりを鎌倉から継続的に発信していく「もしかま」プロジェクトはまだ始まったばかりです。
キックオフパーティに集まった近隣に住むアウトドアコミュニティの面々と、市内にあるアウトドア事業者、地域の自治会や行政、議員との交流会。顔の見える関係を作るのもこのプロジェクトの一つ。
近い将来「南海トラフ巨大地震」「富士山噴火」「首都直下地震」が必ず発生します。南海トラフ巨大地震は、2011年に起きた東日本大震災の10倍の被害をもたらし、日本人の半数6000万人が被災すると言われています。「正しい知識を持ち、自分の命は自分で守る」ことが、これからの未来を生き抜くうえで、ますます重要なテーマになってくるのです。