- 道具
信玄が愛した器が、アウトドア仕様になればいいのに。
2013.05.05 Sun
宮川 哲 編集者
疾きこと風の如く、徐かなること林の如し、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し……この弁当箱を陣中に、信玄が腹を満たしていたかどうかは定かではありませんが、先日、とある都内の串揚げ屋さんで「信玄弁当」なる、ステキに器に出会いました。
戦国のそのむかしからあった器なので、決して新しきモノではありませんが、お恥ずかしながら、このときが初めての出合いでした。
お店の大将曰く、武田信玄が戦のときに好んで使っていた弁当箱と伝えられているそうで、いわゆる「重ね箱」の一種だそうです。上段と下段はそれぞれ、ごはんと汁ものを入れる器となり、おかずを入れる中段のほか、中蓋はなんと「杯」の役目を果たしてくれます。つまり、一食+一杯つきの四段式弁当箱というわけです。
なんとも心をくすぐってくれるのは、やはり中蓋の存在ですよね。信玄も勝鬨を挙げたあと、陣中で一杯やっていたんでしょうか。山本勘助なんかを相手に、ちびりちびりと勝ちを味わっていたりして。ちょっと想像するだけでも楽しいものです。
と、なんとも機能的で美しい器だなと関心しつつ、信玄弁当に盛られたお蕎麦で腹も満たしてきたわけです。でも、これって、いまの時代のコッヘルのスタッキングと同じ考え方ですよね。しかも、基本が弁当箱なので、食べ物を入れて持ち運びもできる仕様になっています。そういう意味では、単純なスタッキングよりも一歩上の仕様ですよね。
汁ものが漏れないようにしっかりとパッキンを付けて、アウトドア仕様にすれば、人気がでるんじゃないかな、なんて勝手に考えたりしています。日帰り登山で山上ランチのときなんか、注目度高いでしょうね。
武田信玄由来の弁当箱、スタイリッシュな和の外見、機能性の高さなど「売り」のポイントはたくさんありそうです。どこかのアウトドアメーカーさん、こんなの作ってくれないかなぁ……。もう、すぐ買っちゃいそうです。