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A kimama 用具インプレッション!!ーー使える注目のテントたち 02-1[ニーモ/オビ2P]
2013.11.05 Tue
宮川 哲 編集者
お待たせしました!
「アウトドアカルチャーのニュースサイト」がテーマの『A kimama』がアキママらしくあるために、編集部プロデュースの用具インプレッション企画のはじまりです!! 最初にクローズアップしたい用具は「使える注目のテントたち」。
以前の予告記事でもご紹介したように、編集部のテント好き3人が順番にお好みのテントを、同じチェック項目のもとに紹介していくというものです。
一番手はT.Miyakawaが選んだ[ニーモ]の[オビ2P]というモデルです。
では、まずはCheck項目その1の「テントのスペック」から……と言いたいところですが、その前にニーモ誕生の物語から。
ニーモといえば、2000年の初めころ彗星のごとく現われたアウトドアブランドです。ニーモの正式名称は「ニーモイクイップメント社」。英語で書けば、“NEMO Equipment, Inc”となります。“Equipment”とあるので、ギアを扱う会社だとは分かるのですが、じゃぁ、“NEMO”ってなんだ? ってことですよね。
その名前の由来は、ニーモが生まれた地名にありました。“NEMO”とは、“New England Mountain”の略称です。そう、ニューイングランドといえば、アメリカ北東部にある6州のこと。歴史的にみれば、独立戦争の発端となった地でもありますが、NEMOは2002年の春、ここに産声をあげています。
創業者の名は、カム・ブレンシンガー。創業当時はまだ、芸術大学に通う学生でした。彼の通った大学“RISD”(Rhode Island School of Design)は、アメリカでも有数の芸術とデザインの学び舎でした。この学校があったのが、ニューイングランド地方だったのです。
デザインの専門家でもあった彼は「既存のマーケットには存在しない革新的なテント」を発表することで、アウトドアシーンに新風を吹き込もうとしていました。
そして生まれたのが、エア・サポーテッド・テクノロジーを使ったテントです。つまり、金属のポールを使う代わりに、空気=エアでテントを立ち上げるという斬新な考えを採用したものでした。
そのニーモの商品が最初に発表されたのは、2004年のこと。ソルクレイトシティで開催されたOR(アウトドアリテーラーショー)でのことでした。テントの斬新さとその性能のよさは注目を集め、ORでの“Best of Show”を受賞しています。
翌2005年には、今度はヨーロッパ最大のスポーツ/アウトドア見本市“ISPO”に出展。こちらでもニーモは注目を集め、結果的には“Brand New Award”を受賞しています。
こんな経緯もあって、ニーモの名は、アウトドアの世界に瞬く間に広がっていきました。以後、彼らはエア・サポーテッド・テクノロジー以外のテントも数多く研究しています。ニーモのスタッフたちは、プロトタイプをつくっては厳しいフィールドテストを繰り返し、製品の完成度を上げていきました。
そして2006年、いよいよ製品としてのテントの出荷が始まりました。「満を持して」世に出たテントといってもいいでしょう。以降、ニーモのテントは「ホンモノ」のギアとしての地位を確立し、いつしか世界中のアウトドアシーンに溶け込むようになっていきました。
デザインの斬新さや性能のよさ、真新しさも相まって、もちろん人気は急上昇。一時期は、商品の供給が追いつかないようなこともあったようです。
それは日本のシーンを見てもよくわかります。いまでは、麓のキャンプ場でも山の稜線でも、ニーモの鮮やかなグリーンのテントを見つけることは、けっしてむずかしいことではありません。気がついたときには、ベーシックな山岳テントのひとつとして、メジャーなテントたちの仲間入りを果たしていました。
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と、話がながーくなってしまったので、実際のインプレッションは次項に続きます……あしからず。次回、インプレッションするのはニーモ注目のポールタイプのテント[オビ2P]です!!
【text by T.Miyakawa】
“NEMO”のロゴにもいくつかの秘密が隠されています。ひとつは、左側にある“N”のロゴ文字。紋章のような“N”のマークは、ニーモでは“シールド(楯)”と呼ばれています。シールドから連想されるのは、仕事気質の中世の職人たち。彼らは楯をつくるときには、楯が使われる状況を想像し、完璧なものをつくるために何年もの歳月を費やして仕事に掛かりました。ニーモでは、妥協のない仕事をするため、製品造りにその精神を取り入れています。また、右にある赤い部分の文字にも秘密があります。“E”は、川を表わし、“M”は山を、そして“O”は池のイメージをデザインしたものです。ロゴに込められた想い。これもニーモの開発チームが製品に吹き込んだメッセージなのです。