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日本の登山スタイルに自由な風を吹き込むビィビィサックの可能性

2015.01.28 Wed

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

 日本のオートルートとも呼ばれる、北アルプス、剱・立山から槍・穂までの縦走路は、世界にも誇れるすばらしいルートのひとつだと思います。通常の無雪期のコースタイムなら、剱沢を出発してから上高地に至るまでは早くても5泊6日ほどかかるのが普通。しかも、テント泊ならば装備や食料なども増えるため、なかなかこのルートをいっきに歩き通すのは容易ではないでしょう。

 しかし、昨今、日本でもその概念やスタイルが浸透してきた、ウルトラライトというスタイルを取り入れることにより、このルートのハードルはぐっと下がり、荷が軽くなった分、一日に歩ける距離も延び、3泊4日ほどで歩き通すことも可能になるにちがいありません。

 日本の登山ルート、とくに北アルプスなどでは、各地点に山小屋が整備されているので、ウルトラライトというスタイルへの不安や不測の事態など心配は無用です。どうしようもならなくなったら、無理せず小屋を利用すればよいのです。

 ウルトラライトと聞くと、ついつい軽量化原理主義のように思えてしまいますが、そんなに難しく考えることはありません。そもそも、ウルトラライトは、できるだけ少ない負担で長期間、長い距離を歩くためのスタイルなのですから、ぐうたらで、自由でかまいません。その第一歩としておすすめしたいのが、ビィビィサックを使ってみることです。

 ビィビィサックとは、人ひとりが寝ることのできる簡易シェルターのことで、防水、または撥水加工された生地や保温効果の高い素材で寝袋をおおうように作られています。ビィビィサックがあれば好きなところで、ゴロ寝ができ、撤収も設営も必要ありません。雨が心配な日本であれば、防水効果の高いビィビィサックを選ぶか、小型のタープを併用することで雨もバッチリ防ぐことができます。

 そこで今回アキママがおすすめするのが、プレゼントの商品にもなっているMSRのE-BIVYです。これは重量がわずか250グラム。ペットボトル飲料の半分の重さです。表側の素材は軽量で耐久性のあるシルナイロン製です。下面には耐水性と耐久性を兼ね備えるデュラシールド・ポリウレタンコーティング処理を施しています。ファスナーもない、シンプルな構造なのではじめはこの袋に潜り込んで、寝ることにいささか抵抗感があるかもしれませんが、一度、大地をベッドに星空を見ながら寝てしまえば、こんなに自由なスタイルがあったのかと、その気持ちよさに驚くはず。

 今年はぜひ一度、ビィビィサックをザックに入れて、山でゴロ寝をしてみてください。きっとこれまでの登山観が変わるだけでなく、今まで見ていた見ていた世界が変わることでしょう。

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滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

本サイト『Akimama』の配信をはじめ、野外イベントの運営制作を行なう「キャンプよろず相談所」を主宰する株式会社ヨンロクニ代表。学生時代より長年にわたり、国内外で登山活動を展開し、その後、専門出版社である山と溪谷社に入社。『山と溪谷』『Outdoor』『Rock & Snow』などの雑誌や書籍編集に携わった後、独立し、現在に至る。日本山岳会会員。コンサベーション・アライアンス・ジャパン事務局長。

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