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山の仕事人、縦走パックを背負う。「ドイター/エアコンタクト65+10」その1
2015.10.21 Wed
大きな荷物を背負って山を歩くカメラマン。
彼らのバックパックに収められているのは、
個人装備と、扱いの繊細な撮影機材。
ひと一倍重いパックを背負って
山を歩くエキスパートに聞きました。
「縦走用パックはどんな基準で選んでますか?」
違いのわかる仕事人、唐松岳に登る
話をうかがったのは、学生時代は沢登りとクライミング、ラフティングに没頭していたというアウトドアカメラマンの亀田正人さん。約5000kmにも及ぶ「メコン川全流降下」の記録をアウトドア雑誌に持ち込んだことがカメラマンになったきっかけだとか。そんなエクストリーム系カメラマンが今回登るのは、紅葉真っ盛りの唐松岳。
「どーも、亀田です。アウトドア誌では、岩壁や激流での撮影をメインに行なっていますが、危なくない仕事もしています。料理の撮影やポートレートの撮影も、大歓迎ですよ!」
この日の唐松岳山麓の天候は、晴れときどき曇り。麓と入山口を結ぶゴンドラを降りると上部の駅は深いガスの中。駅前で身支度を整えて八方尾根へ向かいます。この旅で、亀田さんが背負っているのは、ドイターの大型パック・エアコンタクト65+10。
ところで亀田さん、大型パックはどんな基準で選んでいるんですか?
「沢登りを長くやっていたせいか、ストラップが長かったり、便利な小物入れが付いたものより、シンプルな構造のものが好きですね。パックの余計な付加物は行動中にひっかかったり、用途が限られているんですよ」「あとは丈夫さ。パックは軽ければ軽いほどいいですが、軽さを得るために強度が損なわれたり、背負いづらくなっているものはダメ。布地には一定以上の強度とそれを支えるフレームには剛性が必要だと思います」
「機材をきちんと装備できることも大切です。パックによっては、三脚は中に収めてしまうのですが、サイドに3本のストラップと、大型のポケットのあるエアコンタクト65+10は三脚をしっかりと保持できます」
「夏場は背面の涼しさやパッド類の汗抜けのよさも気になります。構造や素材によって背面の快適さは大きく変わりますから。背負っている状態でも背面に空間ができるモデルは断然涼しい」
「好みによりますが、ユーザーに工夫の余地があるものが好き。トップリッドのDリングや、フロントパネルのデイジーチェーンのようにユーザーが自分の用途にあわせて拡張できる機能は嬉しいですよね」
高度をあげていくうちに、ガスはいつの間にか霧雨に。ひょいとパックを木道に下ろした亀田さんが、パックの底部から取り出したのはレインカバー。
「レインカバー内蔵モデルのよいところは、パックのサイズにフィットすること。入れ忘れもないので、そそっかしい人にもおすすめです。本体価格にレインカバー代も含まれていると考えると割安感もありますよね」
八方池周辺は紅葉の真っ盛り。カメラを出して盛んにシャッターを切る亀田さん。
「いやー、きれいだね! 夏山と冬山に挟まれて、秋の山はほんの一瞬だよね」
冷え込みの具合で、黄色にも赤にも染まるミネカエデ。亀田正人撮影
「雲が切れてきたから、この辺りで少し光を待ちたい」と亀田さん。八方池から下の樺、上の樺にかけて念入りに撮影しながら歩いていく。
湧き上がる雲と八方尾根。雲間から光が射すのを待つ
扇の雪渓。亀田正人撮影
天狗の頭の岩壁。亀田正人撮影
唐松岳の魅力は、森林や池、稜線などモチーフが多彩なこと。唐松岳そのものに加えて、歩きながら望む白馬三山や、頂上からは立山や劔も目の前。入山口から山頂までの4時間足らずの行程に、コンパクトに登山の魅力が詰まっている。
「やっぱりいいな、山は!」と言っていそうな亀田さん。パックを背負ったまま尾根を右に左に動き回り、雲の動きに合わせて撮影していく。
この日のテン場は唐松岳山荘の直下。夕方になってガスが下がると姿を現したのは剱岳と立山。「登っても見ても、いい山だよね」。
立山の山影が闇に沈むまでシャッターを切り続ける
亀田さんの唐松岳撮影行は、「その2」に続きます!
ドイター/エアコンタクト65+10
¥29,000+税
縦走や遠征、長期旅行などハードな使用を想定したデザイン。強靭な布地と内蔵するXフレームが内容物をしっかりと保持しつつ、身体にしなやかに追従。「重い荷物を軽く背負う」ことができる。背面パッドに適度な硬さを持たせた通気性の高いフォームを使用し、清涼感も高い。重量:2710g、容量65+10ℓ