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手のひらサイズのGPSロガー「GT-730FL-S」を半年間使ってみた

2016.01.10 Sun

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

 夏山歩きや冬山バックカントリーなど、自分の山行記録を残し、後日のルート検証を兼ねてGPSデータを残しています。

 今まではiPhoneを使っていましたがバッテリーの減りの早さや、気温が低すぎると勝手にシャットダウンしてしまうことなどからGPSロガーの導入を検討。まずは電池の持ちがいいもの、そして安いもの!ってことでネット徘徊をして「GT-730FL-S」を入手しました。2015年6月時点で4000円くらいでした。


この日は道北の里山を散歩。スプリットボードでも膝下まで埋まるほどの深い深い雪の中、地形図を見ながら林の中を進みます。自分たちが地図で見当をつけたルートと、実際にどう歩いたのかの違いは後ほどGPSデータで確認

 このGT-730FL-Sは、ただひたすらGPSデータを記録するだけ、という代物。本体に何かが表示されるわけではなく、記録したデータはPCに吸い上げて地図ソフトに表示させます。よって現場ではなく、帰宅後にルートを見ることしかできません。これがあれば現在位置が分かる、といったタイプのデバイスではないんです。ま、現在位置を知りたい場合はiPhoneを起動すればOKなので「GPSデータを残す」という目的にはバッチリです。なんせ重さは34g(実測)。ポケットに入れて滑っていても何らじゃまにはなりません。さらにGPSデータを受信するだけなので、冬場に使うアバランチビーコンとの電波干渉も避けられます。ここ、けっこう重要だったりします。

 難点はPCへのGPSデータの吸い上げ。なんせ「GT-730FL-S」自体に何も表示がないだけに、ちゃんとデータが吸い上げられているのか、そのデータにエラーはないのか、などはデータを展開してみなければ分かりません。その仕組みもわかりにくいし、何と言うか、暗中模索な状態と取り組む必要はあります。最初は近所を歩くなど、壊れてもいいデータで検証することをオススメします。


Macでのデータ吸い上げに使う「GPSBabelFE」の設定画面。なんじゃこりゃ、な感じですが、一つ一つを丁寧に設定していけば大丈夫。最初は迷いますが、ここで根気を詰めるのが、GT-730FL-Sの安さの代償と思ってがんばりました

 が、面倒なのは最初だけ。きちんと設定してしまえば、あとはオートマチック。ネットで検索するとさまざまなノウハウ、細かな手法、設定、気をつけるべき点などがどどんと出てきます。多くの方がさまざまなレポートを上げていらっしゃいますので、使用PCの環境に合わせてご検討ください。筆者の場合はMacなので「GPSBabelFE」を使ってデータを吸い上げ、「Google Earth」で表示させています。こうすると実際に登った山を立体的に表示し、その斜面上に歩いたルートが示されるという、誠にバーチャルな世界が繰り広げられて大変盛り上がれます。


データ吸い上げが成功してGoogleEarthで展開すればこの通り、通ったルートが立体地形の上に表示されます。GPSデータは緯度・経度と共に高さも記録していますから当然です。が、やはり立体地図にトラックが表示されるのは新鮮です。特に山登りの場合は格別!

 留意点としては記録される時間が実際の時間と9時間ほどずれていること。このあたり、実は環境次第でそうはならないよ、ってケースもありますが。すべて教えてくれる大変気の利いた装置ではなく、ひとつのことだけを実直に進める融通の利かないヤツです。したがって、時間の表示がズレていたとしても分かって使えば問題ない、くらい大らかな方にオススメです。稼働時間も北海道の厳冬期に10時間の行動をカバーして、まだバッテリー切れにはなりませんでした。12時間程度、という公称値は割とアテにして良さそうです。

環境によっては表示時刻に9時間ほどのズレが生じます。このあたりも、安さの代償。時刻に9を足すだけなので、暗算で済ませております

 DIYな要素もあって使いこなすにはちょっとコツも要りますが、それもまた楽しい。安くてシンプルなGPSロガーを探している。という方には超オススメですよ。

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