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【速報】ついに自分でアウトラインを削り出すスキーが登場!
2016.02.03 Wed
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
写真を見ても、なんじゃこりゃ? ですよね。実はこれ、スキー板なんです。
ここ数年、スノーボーダーの間では「ブランクス」と呼ばれる半完成品のボードを購入し、自分で好きな形にカットして夢のアウトラインを持った世界に二つとないボードを創りあげるカルチャーが定着しつつあります。
スノーボード用のブランクスは真四角な板にバインディング取り付け穴をセットしたもの。滑走面も芯材も、製品のスノーボードと同様の構造を採用しています。ですから、アウトラインさえカットしてしまえばスノーボードが完成するというものです。
このブランクスが、ついにスキーにも登場します。去る1月29日、北海道のスキー&スノーボードブランド「FIELD EARTH(フィールドアース)」のFacebookに投稿されたのが、このスキー用ブランクス。とうとうスキーにもブランクスが!というわけで、FIELD EARTH代表の本村勝伯(もとむらかつのり)さんにお話を伺ってきました。
■スキー用ブランクスが生まれた経緯を教えてください。
「決してスノーボードカルチャーの後追いということではないんです。
スキーは今まで、決められた乗り方で決められたものをいかに乗りこなすか、という文化の中にあったように思います。基礎スキーなどはその典型です。けれどそれ以外の、たとえば山で深雪を滑るといった楽しみ方をする人たちも増えてきました。
FIELD EARTHはスキーもスノーボードも新しい形を求め、その中でもっとも理にかなったものを作ってきました。その甲斐あって、ユーザーさんを見ているとみなさん楽しそうに滑ってくれています。けれど、アウトラインと呼ばれるスキーの形そのものが、滑走性に大きく関わってくる深雪では、スキーの形はもっと自由で良いんじゃないだろうか。ユーザーさんも最終的には自分で好きな形に仕上げて滑る、ということはやってみたいだろうな、とは感じていたんです。けれどそういう製品はスノーボードにはあっても、スキーにはなかった。じゃあ作ろう、ということです」
■ブランクスから削り出したスキーにはエッジがありませんが。
「エッジがないからパウダー専用、ということではありません。滑っていただければ分かりますが、メタルエッジがなくてもじゅうぶんに圧雪を滑ることはできます。
また、ブランクスから削り出したスキーにはエッジとサイドウォールがありませんから、そのぶん板自体のフレックスをじゃまするものがありません。曲がり方はとてもしなやかで、今まで味わったことのない乗り味になりますよ。
中には普段滑っている環境から考えて、やはりメタルエッジが欲しいという方も出てくるかもしれません。そう思って、後付けのメタルエッジも今後の開発の視野に入れています」
■スキー用ブランクスを開発するに当たって、いちばん苦労なさったことは?
「やはり細長いスキー形状にしたときに、しっかりした乗り味を出すことです。スノーボードと違って幅の細いスキーは、ブランクスから削り出したときにフレックスが柔らかくなってしまいがちなんです。しかもお話したように、サイドウォールやエッジというフレックスをサポートする部材がありません。大変だったのは、しなやかさを保ったまま腰のあるフレックスを出すことでしょうか。
解決策は芯材でした。ウッドにバンブーを上手く組み合わせることで、いいフレックスを出せたと思います。ブランクスだから柔らかくても仕方ない、と妥協するのはイヤだったんです。きちんと削り出してもらえば、夢のスキーが実現する。そういうものにしたいと思って作りました」
■スキー用ブランクスのゴールはどこにありますか?
「自由な発想を形にして遊んで欲しいと思います。スキーヤーもアウトラインで楽しんでもらえるようになればいいですね。新しい発想で新しい形を作って、誰も思いつかなかったような滑りを実現する。そうして、ものを作る楽しさと滑る喜びを味わって欲しいと思っています」
FIELD EARTHのスキー用ブランクスは来季、2016-2017シーズンのラインナップに乗る予定。それに先んじて、この春には僅かながら先行販売も予定されています。全国のパウダーなスキーヤーたちは見逃し厳禁! 発売時期や価格などは以下FIELD EARTH ホームページやFacebookを通じてアナウンスされる予定です。お楽しみに!!
FIELD EARTH
http://www.field-earth.com
https://www.facebook.com/fieldearthdesign