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老舗山専さかいやスポーツ 4月〜G.Wの売れまくりアイテム5選!
2016.05.23 Mon
東京・神田に店を構えて60年。
多様なブランド展開と取り扱い数に定評のある
「さかいやスポーツ」の高橋典孝さんに
4月〜G.Wに売れたものを教えていただきました!
先月はちょっと意外なものが売れたそうです。
■ザ・ノース・フェイス/クライムライトジャケット&パンツ
¥30,000+税/¥18,000+税
雨が多い日本の山向けの雨具としては、防水性、耐久性のバランスからするとやっぱりゴアテックスが優れているのはご存知のとおりです。
しかし、ゴアテックス素材とひと口にいっても“C-Knit”や“パックライト”“プロ”などさまざま。「どのゴアテックスがいいの?」って思っている人は以外と多いのではないでしょうか。
そんな疑問の答えはズバリ……ない!(笑)
ハイキングや縦走登山、トレイルランニング、ファストパッキング、ウルトラライト・ウルトラヘビーなどの登山スタイルごとに、それぞれに見合った特徴がある種類を選ぶのが一番です。
では、ある程度しっかりと荷物をもって山小屋泊やテント泊でクラシックルートを歩く一般的(?)な日本の登山に照準を絞った場合はどうでしょうか?
必要十分な防水性と透湿性、耐久性を重視したら……僕のおすすめは“マイクログリッドパッカー!!”
以前あったゴアテックスプロの雨具に使われていた、薄~い裏地の3層構造のやつ、そう、あれです!!
薄くて保水しづらく、着用した際のつっぱり感もなく、それでいて耐久性もある。そんなマイクログリッドパッカーテクノロジーを使った雨具が ザ・ノース・フェイスがつくるクライムライトジャケット&パンツ!
いよいよ定番化したTNFのゴアテックスレインジャケット&パンツですが、現在レイン系アウターを見回してみると、もしかしてこの商品しかマイクログリッドパッカーを使用していない!?
夏山シーズンが迫ってきたなかでとっても良く売れるようになってきました。お客様もよくご存知ですね。さすがです!
■ ファイントラック/カミナドーム1
¥55,000+税
■ アライテント/オニドーム2
¥43,000+税
左がカミナドーム1、右がオニドーム2
この春から登場したテントの中で、さかいやスポーツで大きく動いたのはファイントラックのカミナドームとアライテントのオニドーム!
「遊び手=作り手」を標榜するファイントラックから、ついに登場した通年対応山岳テントがカミナドーム。
日本の山岳向けオールシーズン対応テントは、アライテントのエアライズかモンベルのステラリッジの2トップが独走していましたが、ついにファイントラックが参入しました。
発売予告広告には、みなさんドキドキしたのではないでしょうか? その期待を反映する売れ行きです。
カミナドームをほとんどサイズが変わらない2型同士(本体+フライ+ポール)で比較すると、ステラリッジより110g軽くて、モンベルより270g軽い。
しかし価格は両者よりも高め。というか、結構、高い。
カミナドームはフライ15d(デニール)、本体7dと超極薄ナイロンを採用しています(エアライズは30d/20d、ステラリッジは30d/30d)。
もちろん耐久性が高い極薄生地は値が張りますし、それが価格に反映されているのも理解できます。だから軽量化を優先させる人は、少々お金を出してもカミナドームが良いのでしょう。
しかし、山で使うものは耐久性も大事! 価格が安くて耐久性があるものを選ぶなら、エアライズかステラリッジになるでしょう。とくにエアライズはフロアが厚い生地だから岩場でも安心です!
結局は軽さ、強さ、価格を天秤にかけて、使い方にあったものを選ぶのが一番、ということになりますが、比較対象できるモデルが増え得るのは、ユーザーには嬉しいですね。
そして、アライテントのオニドーム。
いや~これには参った! すばらしい発想!! ペグ打ちしなくても安定した前室ができるオニドーム。このしっかりした張り姿のなかに前室が隠れているなんて素敵です。
そのぶん居住スペースが狭いのですが、泥で汚れた荷物をどんな状況でも室内に入れることないのがとっても清潔。いかにも日本人らしい発想でいいですね。売れるのも納得のおすすめテントです。
■ ソロストーブ/ソロストーブ
¥8,000+税
独特の構造で、燃焼効率が非常によいネイチャーストーブ。初心者からベテランまで、簡単に扱うことができます。
テントサイトで小枝をあつめて火をつければ、ガンガン燃えてアウトドア心もガンガン燃える!
なぜここにきてネイチャーストーブが売れ出しているのかは「?」。謎なんです。
うちのお店は登山がメインなので、これまではあまりネイチャーストーブなどは動かないアイテムでした。登山者もクライマーもトレイルランナーも、カテゴリーなんて関係なくみんなアウトドアマン、アウトドアウーマンということなのでしょうか。
■ ザ・ノース・フェイス/クレストンミッドGTX
¥19,000+税
TNFの「テクニカルハイキング対応シューズ」! なんともそそる謳い文句のトレッキングシューズです。
でも、ちょっと待てよ? テクニカルハイキングってなに?
たぶんスピードハイキング、ファストパッキング的なことを言っているのでしょう。たしかに、ソールはグリップ力が高く安心のビブラムソール。足首までしっかりホールドしてくれるつくりなのに全体的にしなやかさがあります。
だから歩くスピードを速めても割りと楽そうです。それに加えて、ゴアテックス採用で濡れにも強い。そして重さは驚きの550g!(9インチ片足)
トレランシューズとしてはめちゃくちゃ重いけど、トレッキングシューズとしてはすごく軽い。たぶん25~35Lのバックパックに軽量装備を詰め込んで(食料込みで7~8kgくらいかな?)すばやく山泊を楽しむ人たちにはもってこいではないでしょうか。
ということは、ゆっくり日帰り登山をたのしむ人にももってこいだし、ちょっとしっかり荷物を持ったテント泊登山だって、体力自慢の人ならいけちゃうかも。
テクニカルハイキングって聞くとちょっとコアな感じがしちゃうけど、実際はすごくオールマイティーに使える万能トレッキングシューズ。それでいてお値段なんと¥19,000+税!! 安い!! 売れるのも納得です!
■ アクシーズクイン/トバリ
¥9,500+税
日本ブランド“アクシーズクイン”がつくる防水巻きスカート“トバリ”。アクシーズクインが日本風の名前の独創的なアイテムを発表してずいぶん経ちますが、ここにきて商品がよく動いています。時代がやっと追いついた、という印象です。
正直なところ、標高の高い山への登山では、風でめくられて使えませんが、1000m前後の山々へのトレッキング用のお守りとして、キャンプするときの防寒として、アウトドア料理の前掛けがわりに、スカートってほんとに便利です!
レインパンツと違って、股下がスースーするから歩いていても蒸れないし、防水素材の一枚の布だから、軽くて収納サイズも小さく、持ち運びも便利。
レインパンツを持って行くほどではないけれど、ちょっとだけ心配、なんてときに携行すれば、万が一の雨でもレインウェアを伝った雨水を膝下まで受け流してくれます。
スカートというと男性は身構えてしまいそうですが、着用してみると魚河岸の職人かガーデナーのよう。皆様、試着されると安心したご様子で購入されていきます。敬遠せずに男性にもどんどん使って欲しい商品です。
より丈の長い姉妹モデル「ツユハラヒ」も売れています。女性はもちろん男性もぜひ!
4月〜G.Wの総評
先月、「今年は雪が少なくて、冬の山を遊び損ねたみなさんが爆発する機運がプンプン」と書きましたが、G.W後半についにその大波がやってきました。それ以来、ひっきりなしに皆様においで頂いています。
この初夏の傾向としては、さかいやスポーツが山専にも関わらず、キャンプ系、アウトドア系のものも大きく動いていること。ソロストーブのところでも書きましたが、これまではうちのお店ではあまり動かなかった性質のアイテムも売れています。
かくいう私も今年からついにテンカラデビュー! 最近は釣りのことばかり考えています。山なら山、ハイキングならハイキング、釣りなら釣りと分かれていた遊び方が、業界全体でボーダレスになってきたのかもしれません。
そして、登山用品店にとっての5月といえば、山岳部の新入生が大挙して訪れる季節。今年も数十校の山岳部を迎え入れています。来月は「最近の山岳部に人気のアイテム」をお送りします!
「いや〜、やっぱりいいですよね、山!」