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オレンジ色のニクイ奴、シリオ41Aは、日本の登山者が、日本の山を登るために作られた靴なのだ
2017.08.21 Mon
滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負
期せずして、今年の自分の流行色が、オレンジと黒というツートンカラーであることに気がついた。携帯電話からランニングシューズ、レインウェアやヘッドランプなど、ジャイアンツカラーとも呼ばれるこの配色が好きだというわけではないのだが、よく見てみると今年新たに購入した自分の身の回りの持ち物の多くが、なんと黒とオレンジ色だったのだ。
そんななか、またまた「オレンジ色のニクイ奴」がまたひとつアイテムに加わった。「シリオ41A」、軽量だがなかなかタフでハードに使えるトレッキングシューズだ。
これまで、アキママでも何回か、シリオのトレッキングシューズを紹介しているので、もう十分シリオのトレッキングシューズのコンセプトはお分かりいただいていると思う。なので、今回はこの41Aのどの辺がニクイ奴なのかを、詳しく解説したい。
左上:付属のインソールは、厚み、形状ともにかなりいい。フットベッドはへたってきたら、すぐに新しいものに変える。右上:足首まわりのアンクルパッドが、後方にカットされているのでかなりアクティブな動きも可能だ。左下:濡れた木の根や赤土など滑りやすい場所でもグリップ力が強い。右下:濡れた岩やぬめりのある沢床の石でもかなりフリクション性能が高い
まず、特筆されるべきポイントは、足入れの良さからのホールド感である。最初に足を入れたとき、つま先部分のゆとりに、気持ちサイズが大きかったかなとも感じたが、ヒールカウンターがすっぽりとかかとを包み込み、フットベッドがちょうど足裏にフィットして、登り下りの際でも足が靴の中で泳ぐことがない。
ビブラム、マサイソールは広いコンタクトエリアで岩場やガレ場などで高いグリップ力を発揮する。360度方向のマルチダイレクションスパイクとヒールブレーキングブロックパターンで歩行時の安定性を確保
また、ソールパターンのせいなのか、素材のせいなのか、ソールのフリクションがとてもいいように思えた。何度か沢を渡渉したとき、濡れてヌメったような岩に足を置いてもそれはとても信頼するに十分なグリップ力を感じた。とくに乾いた花崗岩との相性がとてもいいので岩場や鎖場の多いルートでもきっと安心感が高いだろう。後ろ足首のアンクルパッドが斜めに短くカットされているので足首の可動域は広く、見た目よりもかなり軽量なので、北穂の東稜や剣の源治郎尾根などの、バリエーションルートなどにも使えるにちがいない。
さらには、ゴアテックスライナーと高強度ポリアミデナイロンを使ったアッパーは防水性に優れ、耐久性もかなりある。そういう意味でも非常にコストパフォーマンスに優れた一足と言えるだろう。
今回は谷川岳と瑞牆山で、この靴を実際に履いて登ってみた。谷川岳では河原歩きからブナの森、そしてまだ雪が残る稜線まで。瑞牆山では、苔むした林床の道から、花崗岩の砂礫、岩場、ぬかるんだ道など、さまざまなシチュエーションを歩くことができた。
まさに、長期縦走からクライミング、そして、多雨多湿な日本のあらゆる登山シーンのなかで使える、日本の登山者のためのトレッキングシューズと言ってもいいだろう。惜しむらくは、シューレースが靴の割に長く、また径が細いので、靴とのバランスが合っていないようにも感じるので、気になる人はカスタムメイドをしてもいいだろう。
41A/シリオ
●本体価格¥28,500+税
●サイズ:22.5〜29cm(0.5cm刻み)
●ワイズ:3E
●重量:約590g(片足26cm)
【ギアレビュー取材協力:シリオ】