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暖をとりながら澄んだ冬空を眺める幸せなひと時に…。かさばらず扱いやすいコンパクトな薪ストーブ2点
2017.12.12 Tue
猪俣慎吾 フォトグラファー、キャンプコーディネーター
火を扱うことが楽しみな季節になってきた。
冬のキャンプに薪ストーブは必須だと考えている。
自分も薪ストーブを持っているが、車の中にたくさんの道具をテトリスのように積む際に意外と場所を取る薪ストーブは悩みの種だった。その収納と使い勝手の問題を解決してくれそうな薪ストーブを2つ紹介したい。
まず、Qualz(クオルツ)のステンレスウッドストーブ。見た瞬間にその大きさに驚いた。日頃から薪ストーブを使う自分にとって、小ささは燃焼効率の悪さを生むと思っている。
組み立てを終えて見てみると、そうこれは薪ストーブといっても、事実上ロケットストーブだ。であるならこの大きさでも燃焼効率は良い。早速薪を用意するのだが、焚き口が狭い。キャンプ場にある薪だとそのままでは入らないかもしれない。自分は薪を斧で小さく割るのもキャンプの醍醐味だと考えているのであまり気にはならないのだけれど。
焚き口は可変式であるので少し太めの薪を投入可能。熾火の状態なら少し太めでも燃焼するだろう。
本体後部には灰が捨てられるトレイもあるので、燃焼中に灰が溜まったら捨てることも可能だ。これは個人的にうれしい設計。
鍋などは同時に2つまで調理が可能。耐荷重は鍋2つの合計重量が20kgまでとのことだが、よほどの大鍋などで調理をしなければほぼ問題はないと思う。調理中は本体の転倒などは注意したいところだ。ちなみに左右のサイドテーブルは各1kgまで。
火力に関しては通常燃焼時で煙突上部は強火、本体上部は中火と考えればいいと思う。サイドテーブルは保温ができそうだが耐荷重的に鍋を置くのは危ないので、ホウロウ製のカップや皿などが最適ではないだろうか。
ステンレスウッドストーブはソロや2~3名のキャンプに使えるアイテムだ。
ソロで冬の空の下で暖をとりながらコーヒーもなかなか風情があって良いと思う。
続いてtent-Mark DESIGNS(テンマクデザイン)のマキコンⅡ。
大きさは思っているほど大きくはなく、長方形に角ばっているので収納性も良さそうだ。組み立ても要領を覚えれば1分で終わるくらい容易な点も良い。こちらも見たとおりロケットストーブ型の薪ストーブだ。立ち姿がワンコみたいでかわいい。
焚き口が広く結構大きい薪も割らずに入れられ、写真のように補助が付いているのでそのまま上から薪を入れても燃やすことができる。
マキコンは防災用にもなり、非常時には廃材などで暖をとる設計もされている。
試しに堅木の建材をそのまま突っ込んでみたが、熾火の状態なら問題なく燃焼した。このストーブなら薪を割ったりするのが苦手な人でも暖をとることができるのではないだろうか。コンパクト設計でいざとなったら防災用にもなるのは素晴らしい設計思想だと思う。
通常燃焼をしていると煙突部から燃焼音が聞こえ、高温の上昇気流が出ているのがひと目でわかる。すぐにお湯を沸かしたいなら煙突部にケトルをセットすればOKだ。
耐荷重は、煙突上が10kgまで、上蓋の部分は5㎏までで、同時に使うときは合計で13㎏までのようだ。
このくらいのサイズだと周りに4~5人でも煮炊きをしながら暖をとれるが、もしも大きな鍋などが必要な場合は、トライポッドなどで鍋を吊るしながらの調理をしよう。暖をとっていて鍋をひっくり返してしまったら大惨事だ。
今回、これら薪ストーブを2つ使ってみたが、最後の片付けも灰を捨てるだけで割と簡単に終わってしまったのも素直に良いと思った。
薪ストーブを片付けるのはキャンプ撤収時の重労働のひとつであり、その点が緩和されるだけで負担がかなり軽減される。キャンプをしていて薪ストーブは何かと大変だろうと敬遠していたキャンパーには是非お勧めしたい商品だ。
これから本格的な冬のシーズンが到来するが、こんなコンパクトな薪ストーブを持ってデイキャンプから始めてみてはどうだろうか。
薪ストーブで暖をとりながら青く澄んだ冬空を眺めるのは、けっこう気持ちいいものですよ。
ステンレスウッドストーブ
参考価格:16,800円+税
材質:18%クロム、8%ニッケル
サイズ(約):
使用時 幅30cm×奥行き40.5cm×高さ36.5cm(天板付 燃焼口開放時)
収納時 幅26cm×17cm×高さ20cm
重量(約):4.8kg(収納バック含む)
マキコンⅡ
参考価格:11,800円+税
材質:ステンレス
サイズ(約):
使用時 長さ56cm×31cm×50cm
収納時 長さ45cm×16cm×15cm
重量(約):4.7kg
【ギアレビュー取材協力:WILD-1】