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自分のトラックを反芻する愉しみ♪ プロトレックスマートをバックカントリーで使ってみた。
2018.02.28 Wed
渡辺信吾 アウトドア系野良ライター
幾つになっても、目新しいガジェットには心惹かれる。それがアウトドア用に特化されたものならなおさらだ。
そんな私が、カシオのプロトレックスマートWSD-F20を手に入れたのは半年ほど前。日常的に着用して、各種アプリからの通知や音声検索などスマートウォッチとしての機能を楽しんでいたのだが、恥ずかしながらアウトドアアクティビティには活用していなかった。せっかくの機能を使わないのはもったいない! と思い立ち、先日バックカントリーツアーに行く機会があったので実際に使ってみることにした。
いざ使ってみるとなると、どんな機能が使えるのか気になった。改めてプロトレックのウェブサイトや、使用している人のレビューを確認して事前準備しておく。
WSD-F20には、電波の届かないエリアでもオフラインで地図が確認でき、GPSでログが取れるということなので、事前に今回に行くエリアの地図をMapBoxからダウンロードしておいた。それ以外の機能も事前に下調べして、ツアーに臨む。
スマートウォッチらしく、サードパーティ製のアプリとの連動などもできるようだが、デフォルト装備の行動データの表示&記録アプリ「ACTIVITY」を活用してみることにした。トレッキング、サイクリング、フィッシング、パドルスポーツ、スノーという5つのアクティビティが用意されており、行動中のデータをリアルタイム表示したり、GPSの行動ログも取れるらしい。今回はスノーを使う。とはいえ、いきなりバックカントリーで使うのは不安だったので、前日にゲレンデで使ってみることにした。
この日のゲレンデは、ハードパックのグルーミングバーン。コース内を高速クルージングすることにした。WSD-F20はウエアの外に装着して、腕まくりしなくても目視できるようにしておいた。
アクティビティからスノーを選択し起動、「GO」ボタンを押して計測スタート。数本滑って確認するとこんな画面。
滑走距離や滑走時間、トップスピードなども表示される。これは面白い。今まで自分がどれくらいのスピードで滑っているかなど知る由もなかったから新鮮だ。写真は残っていないが、この日の最高速度は55km/hを記録。ちなみに、バッテリーの消耗を抑えるために機内モードにして、Wi-FiやBluetooth通信をオフにした。GPS機能のみで地図表示や行動ログが取れるので問題ない。朝8時から午後4時まで使って、バッテリー残量は55%だったので省電力性もまずまずだ。
さて、バックカントリツアー当日。この日はHIGH FIVE Mountain Worksの1DAYツアーに参加。
入山届けを提出して、ゴンドラでゲレンデトップまで移動し、そこからスノーシューで1時間ほどハイクアップして最初の滑り出し地点に到着。
ハイクしながら雪の状態を確認すると、ここ数日まとまった新雪が積もっていないようで、南向きの斜面はサンクラストのカリッカリ、陽の当たらない北向き斜面は柔らかそうだとわかる。
WSD-F20をコンパス表示にして斜面の向きを確認。そして計測のスタートボタンをオンにして滑走開始。西から東に向かって伸びる沢筋の右岸側が北斜面だ。案の定北斜面はクラストしていないシルキーなパウダー。降ったばかりではないので程よく締まり、踏みごたえもあって気持ちいい。
画像提供:HIGH FIVE Mountain Works
最高の1本を堪能したあと、1時間ほど登り返し休憩。WSD-F20をチェックするとリアルタイムデータではトップスピードは29km/h。ゲレンデをカッ飛んでいる時とは明らかにスピードが違うのがわかる。休憩後、別の沢筋ラインを攻めて、下山ラインへと向かった。
正直なところ、その後WSD-F20の機能のことは気にしていなかった。ルートはガイドが案内してくれるので地図や方角を確認する必要もなかった。それに恥ずかしい話、下山ルートの途中で木に衝突して腕を負傷してしまった。幸い、滑り降りられるくらいの怪我だったので、下山することに集中していた。下山後、アクティビティ記録をオフにして、WSD-F20を外した。
下山後に病院で診察したら、手首の骨にヒビが入っていた。ちょうどWSD-F20ごと木に衝突したことになるのだが、時計自体はかすり傷が少しついただけで、正常に稼働している。図らずも耐久性までテストしてしまった。さすが、アメリカ国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810G)をクリアした信頼のミルスペック!
今回、現地での活用することより楽しみにしていたのが、行動ログの確認だ。行動ログはKMLという形式のログデータが保存され、それをGoogleドライブにアップロードすることで、スマホやPCで共有し、GoogleEarthやGoogleMapに表示できるのだ。
WSD-F20側では、「ロケーションメモリー」>「行動履歴」とスワイプで画面を表示し、対象日付をタッチするとその日の行動ルートが地図上に表示される。それがこの画面。
スマートフォン側からAndroid Wareアプリを起動し、「ウェアラブルで画面ショットを撮る」というメニューでこのような画面画像を保存できる。
やはりスマートウォッチの盤面だけでは視認性が低いので、スマホでGoogleEarth表示したものがこちら。ちなみGoogleEarth側の機能だが、表示は2D、3Dと切り替えられて、3Dにすると斜度感もわかるから面白い。
さらにPCでGoogle Mapのマイマップに読み込んだものがこちら。
「この斜面気持ちよかったなぁ~」とか「この沢、もうちょっとこっち側攻められたなぁ」とか「あ、ここで木に衝突したんだ」とか後からその日の滑りを反芻できるのも楽しい。ログを肴に一杯呑めるってもんだ。
できればリアルタイム表示されていた、距離や最高速度なんかも履歴表示できると面白いのだが、それは別の方法で随時スクショするしかないようだ。今後はぜひ行動データも自動履歴されるよう改善してほしい。
慣れてくるともっとうまく活用できそうなWSD-F20の各機能。まだまだ活用しきれていないので、また山に持って行っていろいろ試してみたい。おっと、その前に怪我を治さないと……。
PRO TREK Smart WSD-F20-RG
¥51,000+税
GPS搭載:GLONASS、みちびき対応
OS:Android Wear 2.0
ディス プレイ:1.32インチ 2層構造 320×300 ピクセル
タッチパネル:静電容量式タッチパネル
防水性能:5気圧
耐環境性能:MIL-STD-810G (米国防総省が制定した米軍の物資調達規格)
センサー:圧力(気圧/高度)センサー、 加速度センサー、 ジャイロセンサー、 方位(磁気)センサー
バッテリー:リチウムイオン電池
充電方式:マグネット圧着式充電端子
充電時間:常温で約2時間
電池寿命 :通常使用(カラー表示)→ 約1日
時計のみ(タイムピースモード):約1ヶ月以上
本体サイズ:約 61.7 × 57.7 × 15.3 mm
質量:約 92 g (バンド含む)