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【毎日コフラン】ハンマーなんていらない。その手で大地にねじ込んでしまえ!! 宮川 哲のコフラン第1位は……ツイストアンカー
2019.06.25 Tue
宮川 哲 編集者
たかがアンカーなのに、この見た目の大仰さがいかにもコフラン。見方を変えれば、ハンマーがいならいのも魅力のひとつか。キャンプサイトで話題にもなりそうだし、仲間内でも競ってグイグイとやりたくもなるのかも。うん、なんとなく気になるこの存在感、たしかにコフランらしい。
ペグってのは、ハンマーで頭をガシガシと叩いてこその存在なのじゃないだろうか。ハンマーがないなら、そこらへんに転がっている石くれを使ったっていい。それもないなら、足裏でグイグイと踏みつけてでも。
余程の思い切りを持って、1本のペグを地中に半ば埋め込むこと。その行為はもはやテントを張るときの儀式みたいなもので、行為自体が「このテントは大丈夫」という心の余裕につながっているはずだ。
それでもテントが吹き飛ばされることはある。雪山で風に煽られた張り綱がビシッビシッと鋭い音を立ててみたり、低気圧の通り過ぎた離島でフライが引き千切られてしまったり、それでメッシュにかぶった潮水に目覚めさせられる始末だったり、迷走台風にしれやられたフェスの現場で幾多ものテントがペグをぶらさげたまま大地を転げ回っていたり。あぶないあぶない。
どんなときも、ペグを打ち込んだ自分に責任がある。そのペグを選んだ責任があるのだ!
それなのに、コイツの頭はハンマーでは叩けない。一発で首が捥げるはずだ。なんでハンガーフックの形状なんだ……って、ブツを手に突っ込んでみたけれど、考えてみれば当たり前だ。使い方が違うのだ。
コイツはペグじゃない。アンカーだ。しかもねじ込んで使うツイストアンカーだ。そうか、ペグじゃないんだ。じゃぁ、どうやって使うんだ!?
と、そのシチュエーションを思い浮かべてみる。命を削るようなハードな現場ではない。平和でのどかな雰囲気の漂う……そう、例えば、青い芝生の広がった野原でのキャンプシーン、イングリッシュガーデンのテーブルの上で日差しを遮る大型のタープ、海水浴客で賑わう砂浜にポコポコと立つサンシェードの数々。
そうだ。平和なシーンには、ハンマーなんて野暮なものはいならいのだ。安寧とした時間にゆったりと身を任せていればそれでいい。日除けのアンカーはただ、手でグイグイと大地にねじっていくだけ。大丈夫、その保持力は抜群にいい。なんたって全長は32cmもあるのだから。先っちょの捩り部分もひとつふたつと羽根が生え、土でも砂でもガッチリと掴み取ってくれる。大地に対する摩擦係数はかなり高い。
大丈夫、使い道さえ間違えなければ。
石ころの少ない地面、整備されたキャンプ場でも大いに役立つ。砂浜も雪原もOKだろう。でも、ひとつだけ。山に持って行っちゃだめ。こいつはペグじゃなくって、アンカーだから。
◼︎コフラン ツイストアンカー
価格:432円(税込) サイズ:T32×W8 重さ:62.4g 素材:アセタールプラスチック