- 道具
マウンテンハードウェア「Super/DS Stretchdown Hooded Jacket」。“動く”ためにつくられたクライマーのためのダウン
2019.09.02 Mon
河津慶祐 アウトドアライター、編集者
【写真=Chica Suzuki】
山に登っていると先輩山ヤに「ダウンウェアは濡れると保温性が激減するから行動中は着ないほうがいい」と言われてきた人は少なくないはず。一昔前のダウンは保水しやすく、濡れるとロフト(かさ)が減り保温しなくなるのだ。その点、最近は「撥水ダウン」という撥水処理を施し水を弾く羽毛を使い、濡れに強くなったアイテムが多数発売されている。
そう。撥水ダウンを使ったダウンウェアは最近定番になりつつあり、珍しくはないのだ。
そんな中、さらにそこから一工夫、いや二工夫も三工夫もされている最新のダウンウェアがある。クライミング向けアイテムに定評のある「マウンテンハードウェア」から発売されている「Super/DS」シリーズだ。
このシリーズは、独自に10年もの開発期間をかけてうまれた “Super/DS構造” を使用している。生地を織る段階で表地と裏地を織り合わせるという特殊な袋織のこの構造は、縫い目がなくなることで、ダウンの抜けや軽量化、コールドスポットの軽減も実現している。
ウェアの表面を見ると、縫っていないのがわかる。ダウン製品ではよくある、縫い目から羽毛が抜けることもなくなる。
さらに「クライマーのための」とうたっているだけあってストレッチ性がすごい! ストレスなく伸縮し、クライミングのムーブさえ妨げない。岩にすれても破れにくい高い引き裂き強度も持ち合わせている。
フリークライミングでは、早朝の寒い時の一本目だったり、夕方に着用したまま登攀した。クラックでかなり体を伸ばすムーブでも、着ていないかと思うほど柔軟でしなやかだった。
Super/DS Stretchdown Hooded Jacket
カラー:Icelandic、Black、Dark Zinc、Dark Army、Dark Brick
平均重量:478g(Mサイズ)
着丈:71㎝(Mサイズ)
ボディ:デュラブルストレッチウーブン
ライニング:2-WAYストレッチシングルレイヤー I-チューブ
インシュレーション:RDS認証700フィルダウン / フッ素フリー
カラー:Black、Light Zinc、Mystic Purple、Divine
平均重量:427g(Mサイズ)
着丈:66㎝(Mサイズ)
ボディ:デュラブルストレッチウーブン
ライニング:2-WAYストレッチシングルレイヤー I-チューブ
インシュレーション:RDS認証700フィルダウン / フッ素フリー
「スーパーDSストレッチダウンフーデッドジャケット」は2018年12月から販売している(カラーは若干違うが)。でも「何度も山道具屋行ってるけど見たことない」という人がほとんどだろう。実はマウンテンハードウェア直営店のみでの限定販売だったのだ。この限定でレアなダウンジャケットが2019年9月(予定)、ついに一般販売を開始する! いちど着たら病みつきになる絶妙なノビノビ感、軽さ、肌触りをぜひ試してみてほしい。
Super/DS Climb Jacket【MEN'Sのみ】
サイズ:S、M、L
カラー:Rusted、Dark Storm、Darkest Dawn
平均重量:461g(Mサイズ)
着丈:76㎝(Mサイズ)
ボディ:デュラブルストレッチウーブン
ライニング:2-WAYストレッチシングルレイヤー I-チューブ
インシュレーション:Q SHIELD RDS認証700フィルダウン / フッ素フリー、化繊インサレーション
Super/DS Climb Hoody【WOMEN'Sのみ】
サイズ:XS、S、M
カラー:Dark Storm、Dark Bolt、Dark Umber
平均重量:408g(Mサイズ)
着丈:67㎝(Mサイズ)
ボディ:デュラブルストレッチウーブン
ライニング:2-WAYストレッチシングルレイヤー I-チューブ
インシュレーション:Q SHIELD RDS認証700フィルダウン / フッ素フリー、化繊インサレーション
「スーパーDSクライムジャケット」と「スーパーDSクライムフーディ」も同じく2019年9月(予定)からの販売だが、こちらは完全に新作のアイテムだ。よりクライマー向けにつくられており、汗のかきやすい腰と、わきを化繊のインサレーションにしたハイブリッドタイプとなる。「スーパーDSクライムジャケット」で特徴的なのは、長い裾。ハーネスをつけてどんなに体を動かしても、裾がハーネスから出るのを防いでくれる。
Darkest Dawnは、ダウンと化繊インサレーションのパーツで色が変わるツートンカラー。(右)グローブをしたまま手を入れやすいよう、袖口もストレッチする。
冬の間ずっと使ってきたのだが、厳冬期の西穂高山頂まで歩いた時に大活躍だった。まだ日が出ない暗いうちから歩き始めたため、この「スーパーDSストレッチダウンフーデッドジャケット」を着たまま登り始めたのだが、汗抜けがよく、着続けてもぜんぜん苦にならなかったのだ。そのまま山頂まで到達し、西穂山荘にあるテントまでずっと着っぱなしで過ごしてしまった。
さすがに、雪のない時期にこれを着たまま行動するのは無理があると思う。だが積雪期の登山、さらに言えば、積雪期のアルパインクライミングではこれほど便利に使えるダウンジャケットは他にはないのではないだろうか。
【写真=Chica Suzuki】