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【フェスおじさんのALL TIME BEST】ニューポートで得られるフェスでの安心感と開放感。
2019.11.28 Thu
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
海、山、川、原野……。
それぞれのフィールドを遊ぶ達人たちに
長年連れ添った相棒を聞く新連載【ALL TIME BEST】
第四弾は、フェスおじさんこと
菊地 崇のお気に入りです!
左がフェスおじさん愛用2代目のヘンプモデルで2007年くらいのニューポート。右が2019年のフジロックとのコラボモデル。
アメリカでライブを体験したことで大きく変わったことがあった。「そこにある音楽に身体も精神も任せて、自由に楽しめばいい」。言葉にするとかんたんなことなのだけど、日本で楽しむ自由さとアメリカの楽しむ自由さとでは大きなギャップがあった。その意識を変容させてくれたライブが1995年のグレイトフル・デッド。デッドヘッズと呼ばれるファンたちの足元で目についたのが、ドイツのメーカーのビルケンシュトックのアリゾナというサンダルタイプだった。デッドヘッズたちは、裸足になって音に身を任せて踊る。裸足になるというアクションは、それだけで自由への階段を一歩あげてくれるような気がする。ライブ会場で裸足になるのにうってつけだったのが、ビルケンシュトックだったのだろう。
2015年のサマーキャンプフェスで。シカゴ近郊で開催されるこのキャンプインフェスには、moe.やアンフリーズマギーなど多くのジャムバンドが出演している。ほぼ1ヶ月後にシカゴのソルジャーフィールドで開催されたデッド結成50周年イベント「DEAD50」にリスペクトしたのか、この年のサマーキャンプにはデッドのトリビュートバンドも数多く出演した。
2000年代に入ってしばらくすると、アメリカでのフェスや野外劇場でのライブで、スポーツサンダルを履いているファンが増えていったように感じた。いつからかKEEN(キーン)のニューポートH2をよく見かけるようになった。
会場が広く、キャンプサイトやパーキングロットからステージが遠いアメリカのフェスでは、歩きやすいサンダルが求められていたのかもしれない。ニューポートH2にはつま先を守ってくれるというそれまでのサンダルとは一線を画すアイデアが込められていた。しかもサンダルだから裸足になりやすい。
このヘンプモデル、フリーペーパーLjの刺しゅうが入った非売品。アメリカの人気ジャムバンド、ストリングチーズインシデントのメンバーにヘンプモデルをプレゼントするという企画の一貫として、Ljモデルもつくってもらった。
日本でKEENの発売がスタートしたのは2005年。おそらくその次の年から、ニューポートコレクションのサンダルを履いている。今年の夏前にリリースされたフジロックコラボモデルが自分にとっての5代目になる。シューズやサンダルに限らず、これだけ同じ(ような)アイテムを継続して愛用しているのはほかにはないから、自分にとってのオールタイムベストにちがいない。もうひとつオールタイムベストに位置付けられるものは、Tシャツくらいなものだろう。
10年以上の時間を経て、歩きやすさの進化を続けているニューポート。根本にあるメッセージは変わっていない。
今年も、いろんなフェスでニューポートH2は自分の相棒になってくれた。フジロックのようなタフな状況も少なくなかった。風雨が強いなかでは足を守ってくれる安心感があり、一日中履き続けるフェスでは歩きやすい安定感もある。
なぜニューポートH2を履いているのか。いろんなシチュエーションに応えてくれる懐の深さという機能面はもちろんあるのだけど、ヒッピーやカウンターカルチャーからバトンタッチされてきた自由を求めるメッセージを、ニューポートH2から受け取っているからに他ならない。
11月23日〜24日に沖縄で開催された波の上フェスティバルでも、やっぱりニューポート。とくにあたたかい場所での野外フェスにか欠かせない。
《現行モデルのスペック》
KEEN/
NEWPORT H2
重量:402.6g
サイズ:25〜33㎝(メンズ。ウィメンズもあり)
素材:アッパー・速乾性に優れ、水や汚れに強いポリエステル素材
アウトソール・ノンマーキングラバーアウトソール
ミッドソール・圧縮成型EVAミッドソール
ライニング・速乾性ライニング
フットベッド・足裏の形状に合わせて立体成型されたEVAフットベッド
価格:13,000円+税