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アメリカ本土最高峰、マウント・ホイットニーの麓町で出会ったツウ好みなアウトドアショップ
2020.10.05 Mon
鈴木純平 ライター、編集者、同人作家
みなさんこんにちは。あつくてイヤだった夏が思いのほかあっという間に過ぎ去って、逆にあついのが恋しくすらなってきましたね。読書の秋、行楽の秋、アウトドアの秋! いますぐ外に飛び出したい!!
そんなこんなで2020年の秋、気をつければ問題ないのでしょうが、最近はお出かけもなにかと制限されちゃっていて、旅行はおろかアウトドアショップでの買い物すらごぶさたという人も多いかと思います。そんなフラストレーションが溜まっているみなさんに向けて、今回ぼくがお届けするのは、海外のアウトドアショップ情報。
あらかじめ申しあげておきますと、めちゃくちゃ遠いしど田舎だし、この情報をもとにこの店に訪れたい! って人は正直出てこないと思いますが、「へぇ、そんな場所があるんだ」程度にリアルなアメリカを感じていただければこれ幸いです。
余談ですが、最近バーチャル海外旅行やオンラインバスツアーなるサービスが出て来たというニュースを見かけまして、新しい取り組みをされているんだなぁと感心しております。なんでも、事前に送られてくるお弁当を、景色を見ながら楽しんだり、おみやげ屋さんでバーチャル買い物ができるサービスもあるそう。
ぼくが持ってる術はテキストと写真だけですが、四の五の言わずに初秋のカリフォルニアへレッツゴー!
カリフォルニアの旅路で立ち寄った小さな町
昨年、キャンパーバンを借りてカリフォルニアを旅していたときのこと。ヨセミテ国立公園からデスバレー国立公園に行くため、ぼくは国道396号線をひたすら南下していました。
カリフォルニア州の東部を縦貫するシエラネバダ山脈を右手に捉えつつ、イーグルスのホテル・カリフォルニアを脳内BGMとしながら荒野の道をドライブ。9月末だというのに日差しは真夏の様相。飲みものを買いがてらに立ち寄ったローン・パイン(Lone Pine)の街は、マウント・ホイットニー(Mount Whitney)に登る人たちも泊まるモーテルや、いくつかのレストランや雑貨屋が軒を連ねた古きよきアメリカの田舎町でした。
アメリカ全土での最高峰はアラスカ州にあるデナリ(マッキンリー)山の6,190mですが、アメリカ本土でいうとこのマウント・ホイットニーが4,418mで最高峰ということになります。ローン・パイン(Lone Pine)はマウント・ホイットニーの玄関口の街でもあり、メインストリートには、いくつかのアウトドアショップ兼おみやげ屋が軒を連ねていたのです。
▶︎High Sierra Outfitters
アメリカらしさを感じさせるネオン管と、塗装の剥げた看板が目を引く「ハイシエラ・アウトフィッターズ」。1994年創業ということでその歴史は26年。にしては雰囲気ありすぎません? 50年営業しててもおかしくない見た目です。
店の中に入ってみると、釣り具とキャンプやハイキングの小物がごちゃ混ぜに並んでいます。一流メーカーのものが並んでいるのではなく、わりとエントリー層が手を出しやすそうな、それでも最低限の役割をしっかり果たしてくれるクオリティの品々がありました。アメリカらしい飾らない商売をしていて好感が持てます。
マウント・ホイットニーがデカデカとプリントされたTシャツはきっと店のイチオシ。おみやげ屋らしいおみやげ屋がないこの土地において、こういう外連味のないローカルアイテムの存在が嬉しい。
店の中には店主やお客さんと思しき人たちが釣った、バカでかいゴールデントラウトの写真が飾られていて、なんとも和やかな雰囲気です。
Tシャツと並んで、刺繍のキャップもスーベニアの定番。日本の若者たちにとっては、ちょいダサいくらいがイケてるんですよね? おじさん的には使い込んで色あせて、クタクタになったのを被りたい。
結構ガッツリおみやげな棚。世界中どこへ行っても、ちょっとあざといような、わざとらしいくてカッコイイおみやげが幅を利かせているけれど、われわれが求めるのはこんな古臭いのなんですよね。ぼくは、何十年も変わってないでしょコレ、っていうキーホルダーやワッペンを購入。
気さくなご高齢の店主は釣りのスポットを熟知されているようで、通りすがりのぼくにだってオススメの川を教えてくれました。写真の許可をもらおうと話しかけたら、店を出るタイミングを失うほど長話がはじまって苦労しました。
映画に出てきそうな、味のある外観でありました。
High Sierra Outfitters
住所:130 S Main StLone Pine, CA 93545
▶︎Elevation Sierra Adventure
先のハイシエラ・アウトフィッターズの一軒挟んでお隣、中心街の角地に佇むこちらの「エレヴェーション・シエラ・アドベンチャー」は、この町でいちばん本格的なアウトドアショップ。クライミング、ハイキング、キャンピングのギアがひと通り揃っているので、国道396号を通過するならマストで立ち寄りたい一店です。アイゼンやスノーシューなどのレンタルもできるみたいですね。
アウトドアリサーチ、マウンテンハードウェア、マムート、MSR、ニーモなどクライミング、ハイキングを中心としたアメリカンブランドをラインナップ。大型店のようなすべてを網羅するような商品数はないですが、近隣エリアで想定されるアクティビティに合わせた商品がセレクトされています。
店内が光量不足ですこしブレ気味ですが、店内奥はこんな感じ。ラックや棚が所狭しと並んでいて、通路はアメリカ人ならすれちがうことがむずかしい状態です。近くにアラバマヒルズというクライミングで人気のエリアがあるため、クライミング・ボルダリングの装備がとくに充実していました。
マウント・ホイットニーのハイキング、デスバレーの冒険のおみやげにぴったりなTシャツ。オリジナルのロゴもいいし、アメリカの山の名前が書かれたのも捨てがたいですね。
Elevation Sierra Adventure
住所:150 S Main St, Lone Pine, CA 93545
http://www.wildebai.com/
▶︎Lone Pine Sporting Goods
最後に訪れた「ローン・パイン・スポーティンググッズ」はキャンプ小物と釣り具、おみやげに力を入れている感じでした。実用的でリーズナブルなコフランのキャンプ小物をはじめ、コールマンの火器やテント、そのほか有名じゃないアメリカの大衆向けブランドが並ぶ店内。日本人の感覚でいうと、なんとも華のないアウトドア屋だけど、この雑さがアメリカらしくて胸にこみ上げてくるものがありました。
ラインやルアー、仕掛け類はおそらくこの町いちばんの品揃え。タックルはエントリーモデルから、意外と上級者モデルまで販売されていました。海外でダイワやシマノの名を見かけるとちょっと誇らしいですね。
おみやげTシャツも充実。ローン・パインの土地名が入ったもの、フライフィッシング関係のデザイン、マウント・ホイットニーのシルエットをあしらったもの……。ずっと昔から変わらないであろう、ちょっと古臭い意匠が購買意欲を掻き立てます。
「ほー。いいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので」と孤独のグルメの井之頭五郎の気分になってしまった店内奥の一角。店としてのやる気を感じられない雑多な陳列で、テキトーに掛かっているマウント・ホイットニーのパーカーに一目惚れ。自分が洋服屋のバイヤーだったら買い付けちゃいますね(どんな服屋だよ)。
Lone Pine Sporting Goods
住所:220 S Main St, Lone Pine, CA 93545
おわりに
さて、2,000文字のローカル・アウトドアショップ旅行はいかがでしたか? 最近ではグーグルのストリートビューで店内が見られるところもありますが、今回紹介した3つのお店は2100年になってもストリートビューで見られることはないでしょう(失礼)。だって3店中2店はお店のウェブサイトすらないんですから……。
でもそれでいいと思うんです。旅は予定調和にないことを楽しむもの。またいい感じのお店に出逢ったら、またここでシェアしますね。