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高尾の山でまったりハンモック。いつでも、どこにでも持ち出せるコンパクトなカモック「ルー ダブル」
2024.03.15 Fri
訪れたのはある晴れた日の朝。友人であり、Akimamaのライターとしても関わってくれている壽榮松(すえまつ)さんと、高尾にある小山へ来ていた。ここは高尾駅から10分ほどでアクセスできる好立地で、中腹にはハンモックにちょうどよい樹間の広場がある。ハンモックのテストをしようと思ったはいいものの、適地が見つけられず悩んでいたところ、壽榮松さんから「いい場所があるよ」と案内してもらった。
この日にテストしたハンモックはアメリカのハンモックブランド「カモック(KAMMOK)」の「ルー ダブル」。その名からわかるとおり、2人での使用が可能なコンパクトハンモックだ。
収納サイズは直径10.9×高さ16.5㎝。片手で収まる大きさ。
同じルーにはシングルも存在していて、大きさが全長と幅がそれぞれ約50㎝ちがっている。重量は約1.5倍の差があるが、ダブルで485gと500㎖のペットボトルほどの重量しかないため、それほど気にはならないだろう。
僕はファミリーでの使用を考えているためダブル一択。ソロでの使用ならシングルもいいかもしれないが、今回使ってみての感想は「ソロでもダブルがいいんじゃない!?」であった。
ということで、実際に使用しているシーンの画像をおりまぜながらルー ダブルの紹介をしていこう。
まず最適な樹間の距離は3.6mから4.5mほど。もちろん、これ以上や以下でも張ることはできるのだが、あまりにも狭いとハンモックの湾曲が大きくなり寝にくくなってしまうし、広いとテンションが高く、包まれるようなハンモックのよさが感じられなくなってしまう。人の歩幅は平均で70㎝ほどと言われているので、だいたい5歩から7歩くらいだとちょうどいいかもしれない。
歩数で距離を測る歩測が不安な人は、細引きを使ったガイドロープをつくるといいだろう。たとえば、ハンモックが張れる限界の距離と同じ長さの細引きに、3.6mと4.5mの位置に固結びで印を付ける。これを使えば歩測せずともハンモックが張れる樹間か調べることができる。
景色がよく、ほどよい樹間の木を見つけたらハンモック用のストラップを巻いていく。専用のストラップのよいところは、木を痛めないように幅が広くつくられている点と、樹間によって微調整できるようループがいくつも付けられている点。登山用品のスリングなんかでも代用できるが、専用品のほうが使い勝手が格段にいいだろう。KAMMOKでは「パイソン10」というストラップが出ていて、僕はそれを使用している。
ストラップを巻くのは1.8mほどの高さ。設置する高さが低すぎると、ハンモックに乗ったときにお尻が地面についてしまったり、つかないようにしたとしても張りが強く快適ではなくなってしまう。
両方の木にストラップを巻いたらハンモックを設置する。慣れないうちはここでいちばん行ったり来たりしてしまうかもしれない。いくつもループがついているので、最適な位置を見つけ出すのがなかなかむずかしい。
パイソン10には20箇所のループがついていて、こまかくハンモックの位置の調整ができる。
ベストな張り方ができたら、あとはくつろぐのみ。ハンモックは寝転がるものと思われがちだが、じつはイスのように使うのにも適している。上述した「ソロでもダブルにしたほうがいい」というのは、イスのように座ったとき、大きいサイズだとあぐらをかくこともでき、包み込まれるような感覚でゆったりと座ることができる。
寝転がりたいときは、体全体をまっすぐに入れてしまうよりも、斜めに寝転ぶのがオススメ。まっすぐ入ってしまうと、出るのが大変だったり、屈曲で腰がいたくなってきてしまったりするからだ。足を出した状態で斜めに寝転べば靴をはいたままでもよく、楽でいい。
幅があるルー ダブルのほうが斜めに寝転びやすい。
生地は独自のリップストップナイロンを使用している。リップストップナイロンは山岳テントにも使われている生地なので、その丈夫さは折り紙付き。ルー ダブルの耐荷重は226㎏。二人用なので、とうぜん二人分の体重を支えられるようになっている。カラビナやスリング(紐)は、なんとクライミングと同程度である23kN(2,345㎏)の力まで耐えられる。パイソンも同様の強度を持っているため、一般的な使用にはなんら問題はない。生地は薄く、スリングも細いので、最初は壊れないか恐る恐る使用してしまうが、慣れてくれば気にならなくなってくる。化繊独特のシャカシャカ感がなくなめらかで、綿のものにくらべ、肌に触れていても気持ちがいい。
高尾の町と自然が一望できる。
テレワークが一般的になりつつある昨今、気分転換がむずかしくなってきている気がする。近所にハンモック適地が必要ではあるが、お昼休憩のときにサッと家を飛び出し、自然や街並みを眺めながら一息いれるのはどうだろう。ルー ダブル程度の大きさなら、ハンモックとボトルに入れたコーヒー片手に出かけるのも苦ではない。むしろ、PCも持ってハンモックで仕事するのもアリではないだろうか。
この日は休日。息子を連れ、ハンモックに揺られながら友人とアルコールを一杯。共通の山の話をしつつも、どこを見るでもなくぼーっと風景を眺めていた。息子もハンモックとこの場所が気に入ったのか、高尾駅に入ってくる電車を眺めながら楽しそうにしている。揺れること、包まれること、ハンモックにはイスでは得られない安らぎがあると思う。いままでは休みのたびに登山へ出かけていたが、こんな一日も悪くないかもしれない。
壽榮松さんはタカオネの元マネージャー。今回、壽榮松さんの子どもも連れてきてもらう予定だったが、風邪をひいてしまったようで不参加に。