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ダメなの?いいの? パタゴニアの新作「ウィメンズ・クアンダリー・ジョガーズ」をはいてみた

2024.06.18 Tue

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

 何本か“ダメパンツ”を持っています。

 ダメパンツとは、“人をダメにする愛すべきパンツ”を指して個人的にそう呼んでいるもの。

 たとえば「inga」という、今はなきクライミングウェアブランドのダブルガーゼのリラックスパンツ。肌触りが抜群によく、使いすぎで擦り切れてしまい補修を重ねていまも大事に穿いているほど。ベトナムの市場で売られていたレーヨン生地のゆるゆるパンツもそうです。夏にたまらない履き心地で、お土産として知人に配りましたが、「もう1枚欲しい」と大評判。また、仕事で以前借りた「STATIC」秋冬モデルの「フォージウールハイクパンツ」も無限に伸びるマシュマロのような肌触りで、ハイク用なのに最高にダメっぷりだったことを覚えています。

 書き切れないのでこのあたりで割愛。

 このようにダメパンツに目がない私ですが、所有しているどのパンツも共通して、ウエスト部分はゴムや紐で締め付けが皆無であり、お風呂上がり床に転がっても生地がまるで突っ張ることもなく、とことん弛緩できるダメっぷりを備えています。

 穿いているんだか穿いていないんだか分からないほどの穿き心地。夜や週末は盛大に緩みたい私にとって、ダメパンツは欠かせないウェアです。

 そんなMyダメパンツに最近新作が加わりました。

 それがこのパタゴニア「ウィメンズ・クアンダリー・ジョガーズ」。
 もともとロングセラーとなっている「クアンダリー・パンツ」というパンツがベースにあり、その裾をしぼってジョガーズにしたものがこの春に発売となりました。

 パッと見が細身のテーパード形状で、弛緩シルエット(造語)じゃないのでは?と思うのですが、新作展示会で試してみたところ「こりゃ相当ダメなやつだ!!!」とびっくり。
 なんといっても横になろうが、屈もうが脚を組もうが、突っ張る箇所がゼロ。使われている生地に伸縮性が効いていることはもちろんなんですが、ふくらはぎや太もも裏といった部分の立体裁断がじつによく効いているのでしょう。しかも生地表面が洗い立てのシーツのようなサラッとした肌触りで、滑りがいいことも突っ張り感をなくしているのだと思います。

 いや~これはかなりダメ!!✨
身長157cmでウィメンズSサイズ着用。

 しかも何がすごいって、これが普段着に留まらないこと。

 というか、アウトドアが本番のパンツということを言っておかないとパタゴニアに怒られてしまう。ダメダメと連発しましたが、カテゴリは「多機能ハイクパンツ」であり、ご近所低山はもちろん、夏は高山域のトレッキングなどまで対応できる正真正銘のいいフィールド用パンツなのです。
左上)リサイクルした漁網を使った平織りのストレッチ生地。写真のようによく伸縮し、体勢問わず動きが非常にラク。右上)ジョガータイプとして絞られた裾。左下)締め付け感のないしなやかなニット素材のウエストバンド。フィット調整は紐で行なう。繰り返し使うことでケバ立たないか、唯一ちょっと気になる点。右下)ポケットは全部で5つ。左右の大きなポケットはスマホも入るサイズ感

 今回のパンツは色がポップなのでパーティーパンツ(そんなカテゴリあるのか不明)のように見えるかもしれませんが、パタゴニアの名誉のために伝えておきますと、ナイロンを主体にポリウレタンを混紡した丈夫で速乾に優れる最新の生地を使っていて、野や山での耐久性は十二分。有機フッ素化合物を使わない「PFASフリー」の耐久性撥水加工も施されています。もちろん動くことを想定した設計なので、山だけでなく、日々のランニングや自転車、キャンプなど、 “多機能”を謳う通りまさにマルチなパンツに仕上がっています。

 個人的にもっとも使いたいとイメージするのは、シーカヤックツーリングで泊まるビーチキャンプです。海から上がって寝床を整え、浜で焚き火を囲んで飲み食いするとき、おそらくこのパンツの弛緩具合、そしてフィールドパンツとしての機能性がめちゃくちゃ活躍しそう。モンペのように、ジョガータイプの裾をまくり上げれば、足元の濡れを気にする必要もなさそうです。
こんなシチュエーションで……。ついでにキャプリーンもあればビーチキャンプは最強かも。

 ウィメンズ・クアンダリー・ジョガーズは、今回の掲載カラーも含め、全4色展開。願わくば、個人的には同じ形で、もう少し生地を薄めに、ポケットの数も減らした軽量薄手タイプもあるとよいなと思います。その方がよりソファーで……いや、多湿な日本の真夏のフィールドで緩みながら、ばっちりアウトドア活動もできそうです。

気になる人はぜひこちらから
パタゴニア/ウィメンズ・クアンダリー・ジョガーズ

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