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お値段以上のサングラス「DANG SHADES(ダン・シェーディーズ)」の社長は27歳 〜クリス・ベレスフォード インタビュー 1/3〜
2013.04.24 Wed
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
スノーボードを震源地に、サーフ、スケートなど横乗りシーンで爆発的な人気を得るサングラスが、ついにストリートにも伝播しはじめた。買いやすい値段でポップなスタイルを楽しめる「DANG SHADES(ダン・シェーディーズ)」が、じわじわ来てる! 今回、AkimamaはそのDANG SHADESの社長が来日中という情報をキャッチ! この値段でこの品質とデザインを実現するなんて、もしやスーパービジネスマン? お値段以上のサングラスを作り出す人ってどんな人? ってわけで、早速インタビューしてきました。
■雪が降ってなければ、サングラスでじゅうぶん!
ースノーボーダーには、クリスはかなり知られた人なんだけどね。Akimamaの読者には、まだなじみが薄いかもしれないね。
「うん、きっとそうだよ。はじめまして。クリス・ベレスフォードです。出身はアメリカのマサチューセッツ州。サングラスと帽子が好きで、DANG SHADES(ダン・シェーディーズ)っていうブランドを始めたプロスノーボーダーだよ」
ーつまりDANG SHADESの社長?
「そうだね。DANG SHADESは自分の会社だよ」
ー今何歳?
「27歳」
ー会社を立ち上げたのはいつ?
「2007年頃かな。その頃から構想を練ってて、会社にした」
ーっていうとは、21歳の時に社長になったの?
「そのくらいかな。ここ何年かはものすごくバタバタしてて、何がいつのことだったかハッキリ覚えてないんだよ。手帳を見て確かめた方がいい?」
ーいや、ストーリーには影響ないからだいじょうぶだよ。ありがとう。ところで、サングラスが好きって言ってるし、クリスがライディングしてる映像見てるとゴーグルしてないことが多いんだけど。
「単純にサングラスで滑る方が好きなんだよね。ずっと思ってたんだけど、マサチューセッツみたいに雪が少ないエリアだと、スノーボードをする時ってたいていはサングラスで用は足りるんだよ。年に何日かの大雪の日にはゴーグルがないとヤバイけど。それでもまぁ、シーズン中に4〜5日かな。あとはサングラスでオッケー」
ーたとえばすごく雪の多い、ユタやコロラドの山に行くなら?
「もちろんゴーグルも持って行くよ(笑) パウダーの日には必需品だからね」
■本当に必要なものを
DANG SHADESのコンセプトっていうのは、低価格でカッコいい、だと理解してるんだけど。
「うん、それで間違ってないよ。自分たちの中では『本当に必要なものを作る(build and idea, exactory you want)』だけどね」
ーじゃあコンセプトに値段のことは含まれてない?
「正直に言って、作り手としては考えてない。僕が考えるサングラスの三大ポイントっていうのがあってね。顔にフィットして、かけ心地が良く、よく見える。これがひとつでも欠けてると作る意味がないからね。値段の前に、まず良いものであることが大前提。
だけど使い手としては違うよね。サングラスってデニムのポケットに入れたまま座っちゃったり、どこかに忘れてきたりしがちでしょ。200ドル(約2万円)もするのに、簡単になくしたり壊したりするんだよね。
そもそも200ドルは大金だよ。特にこどもたちにとってはね。スノーボードショップやアウトドアストアに行ってカッコいいサングラスを見つけてもなかなか買えない。両親に頼んでもおいそれと買ってもらえる値段じゃないでしょ。だから、もっと安かったらいいのに、って思ってたんだよ」
ーなるほどね。
「買いやすいっていうのは大切なことだと思う。こどもの頃はサングラスでも何でも、ほしいモノがあったらドーナツショップなんかでバイトして、おこずかいを貯めて、やっとの思いで買ってたよ。サングラス一つ買うのに一ヶ月もバイトしてた。そんなに長い時間をかけてやっと買ったものが、取り扱いに注意が必要で壊れやすいものだったって分かったときのショックったらないよ。サングラスの目的は大事にすることじゃなくて、使うことなのにね」
ークリスの言う『本当に必要なものを作る』ってのはいつ頃考えついたこと?
「2005年頃かな。オレゴン州のマウントフッド(Mt.Hood/北米で唯一、夏でもスキーやスノーボードが楽しめる山)で、スノーボードのサマーキャンプ(アメリカでは一般的な、夏休みに合わせて開催される児童合宿。私企業や公的団体などがおこなっており、1〜2週間の期間でスポーツを楽しみながら共同生活をおくる。長期の託児所的な側面もあるが、マウントフッドのサマーキャンプは夏の間に本格的なトレーニングができるとして、多くの大人やプロライダーも参加する)でディガー(スノーボード用のハーフパイプやジャンプ台を安全な形に保つ、ゲレンデの整備員)をやってたんだけど。毎日真夏の強い日差しの中、照り返しの強い雪の上で働いてて、そうだ自分がほしいのはナイスなサングラスだってところにたどり着いたわけ」
(つづく)
取材協力/スパッチオ・モリヤマスポーツ、ビジュアライズイメージ、DANG SHADES