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ヘリーハンセン、ノローナの故郷。ノルウェー人はなにを着る?

2016.11.11 Fri

小宮華寿子 ライター、編集者

日本からいちばん近いヨーロッパは、じつは北欧。北極圏航路を使って、地球のてっぺん側を回って行くようですよ。遠いようでも行く気になれば、なんと最短3泊5日でも楽しめる!! という話も……。北欧にもいろいろとありますが、Akimamaではノルウェーに注目。ということで「Akimama×NORWAY」の小特集、4回連続で紹介します。第1回目は、アウトドアウェア目線から「ノルウェー人はなにを着る?」

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 夏はフィヨルド、冬はオーロラをめざし、自然好きな旅人が世界中からやってくるノルウェー。北欧のなかでも大自然の多彩さは随一です。国土は日本とほぼ同じ大きさで、その約8割が山と森と川と湖。しかも、国の北側半分は北極圏に位置するという、きびしくも美しい冬のある国です。
10月のノルウェー南部でも、標高の高い場所ではこの雪景色。しかもノルウェー国鉄からの車窓風景。歩かずしてこんな景色に出会えちゃいます
 わたしも10年ほど前に冬のノルウェー北極圏でオーロラ鑑賞や犬ぞりを体験したことがあるのですが、今回訪れたのは人口の大半が集まる初めての南部。ノルウェーの古都ベルゲンから入り、公共の交通機関を乗り継いで首都オスロをめざす旅。

 フィヨルドをフェリーで進み、山岳鉄道で山を越えます。途中駅では乗り降りする地元民たちがいるわけですが、最初はその出で立ちから「登山かな?」なんて思いながら眺めていました。

 うーむ。それにしても多い。第2の都市であるベルゲンでもほとんどの人がアウトドアウェアを着ていました。そうです、アウトドアウェア=日常着。ノルウェー人にとってはそんな感じみたいです。
ベルゲンの小学生たち。アウトドアウェアを着ることは幼いころからの習慣かも 

 ですからみなさんもノルウェーに行くなら、どうぞアウトドアウェアで。地元民にとけこめます。

 もちろんそれだけではなく最適です。冷え込む屋外から屋内に入ると、汗ばむほど暖房がきいていることもありますから、脱ぎ着が楽なレイヤードスタイルが便利。屋内では半袖Tシャツ1枚のノルウェー人も多く見かけます。言い換えれば女子はババシャツ要注意(脱げなくて失敗した経験あり)です。

 外に出たときに汗が冷えると寒くなるので、アンダーウェアは吸湿速乾性のものだとなおよし。ちなみに、よっぽどの高級レストランでもない限り、アウトドアウェアにバックパック姿でも浮くことはありませんよ。

ノルウェー3大ブランドが人気

 ノルウェー人の多くが好んで着ているアウトドアウェアはノルウェー生まれの3大ブランド、Helly Hansen(ヘリーハンセン)、NORRØNA(ノローナ)、Bergans(ベルガンス)。

 日本では販売店も多く、タウンユースもしやすいデザインのヘリーハンセンはよく知られている存在。創業者が船乗りだったこともありマリンスポーツのイメージが強いヘリーハンセンに対し、「ザ・山」って感じなのがノローナとベルガンスです。

 ビビッドカラーにすっきりと洗練されたシルエットのノローナは、日本でも最近は大人気なのでファンの方も多いでしょう。いっぽう、ベルガンスはテントブランドだと思われている方もいるかもしれませんね。

 ベルガンスにはトレッキングウェアやスキーウェアなど豊富なアパレルラインもあるのですが、日本の正規代理店がテントをメインで扱っていることもあり、ベルガンスのウェアなどは輸入通販サイト等での購入になってしまうことも多々。日本でベルガンスを着ている人はレアですから、人とちがうものを探している人にはおすすめです。
オスロにあるノローナのフラッグシップストアは1Fがトレッキング、2Fがスノースポーツの売り場に。どれも発色が美しい。ノローナのロゴマークはヴァイキングで、店内にはロゴの変遷を含めたブランド史も紹介されています
「ベルガンスに比べてノローナの方が、よりエキスパート好みかな」とノルウェーでネイチャーガイドをしている女性が話していましたが、ノルウェー人のなかではそんな感覚のちがいがあるのかもしれません。いずれにしてもヘリーハンセンを含めた3ブランドとも、機能性・耐久性ともに太鼓判。ノルウェーの過酷な自然のなかで証明され続けているわけですから。

 ちなみにノルウェー人、アウトドアウェア以外のいわゆるふつうの服に関しては、ノルウェーブランドはダサい、輸入ものの方がオシャレと思っているそうなんです。それが、ことアウトドアウェアに関しては一転。自国ブランドに満足しているから自国ブランドを選ぶのだそう。ノルウェー人の誇りがそこにあるようで、アウトドアウェアに身を包んだ人々にますます目を奪われる道中でした。

オスロではフラッグシップストアめぐりを

 オスロまで旅を進めると、さすがに首都だけあってビジネスマンの姿が多く、アウトドアウェア人口は半減しました。それでもコート代わりにアウトドアジャケットを羽織っている男性は日本よりずっと多いです。依然ノルウェーブランド優勢。

 ほかに目を引いたのはきれいめコートに合わせてカンケンバッグを背負った女性たちの多さ。隣国スウェーデンのアウトドアブランド、FJALL RAVEN(フェールラーベン)のバックパックですね。日本でも数年前から流行していますが、さすが地元北欧。女性ばかりではありません。がっちりしたノルウェー人男性(ノルウェー人男性はみな鍛えるのが好き)がカンケンバッグを背負っている後ろ姿もかわいらしかったデス♡
(左)オスロ中央駅の目の前、超一等地に建つヘリーハンセンのフラッグシップストア。(左中)キュンとした後ろ姿。フェールラーベンのカンケンバッグを背負う男性。(右中)スキーグローブで有名なヘストラは隣国スウェーデンのブランド。(右)オスプレーのバックパックをふだん使いするノルウェー人女性
 お隣の国というだけあって、スウェーデンブランドは他にもHaglöfs(ホグロフス)やグローブのHESTRA(ヘストラ)をアウトドアショップ内や街行く人のなかに見つけました。

 バックパックに関してはアメリカのブランドであるOSPREY(オスプレー)が人気のよう。ノルウェー人の自国アウトドアブランド好きは間違いありませんが、いろいろ試してみたかったり流行があったりするのでしょうね。

 そうそう、オスロに来たらノルウェー3大アウトドアブランドのフラッグシップストアに立ち寄るのを忘れずに。ブランドイメージを肌で感じることができますよ。

ーオスロにあるフラッグシップストアー
ヘリーハンセン
[所在地]Karl Johans gate 3, 0154 Oslo
[Tel.] +47 22 42 57 04

ノローナ
[所在地]Akersgata 30, 0158 Oslo
[Tel.] + 47 488 98 600

ベルガンス
[所在地]Kronprinsesse Märthas plass 1, 0160 Oslo
[Tel.] +47 22 42 58 97

 

アウトドアで使いたいウール製品

 アウトドアウェア以外の注目はウール製品。ノルウェーには伝統と定評のあるウール製品が民芸品店などにたくさん並んでいます。

 ウールは水をはじく性質がありながら湿気を吸うので、汗をかいても湿った感じが少ないという優秀な自然素材。汚れがつきにくく、燃えにくい上、天然の抗菌・消臭作用まであります。保温性は言わずもがなでフェスやキャンプにも最適な素材なのです。

 ウールを固めたフェルト製のルームシューズなどはテントシューズにぴったり。天然素材の小物があるだけでテントの雰囲気がほっこりします。そして女子におすすめは、雪の結晶模様のウールハイソックス。
 
 山スカートやショートパンツに、スパッツと合わせて履いたらかわいいと思いません?
(左)日本でノルディック模様などと呼ばれる模様はマリウス柄といって、国旗の色(青、赤、白)で編むのが特徴。(左中)ニットキャップとお揃いで着けたい手首ウォーマー。Oleana(オレアナ)というノルウェー王室も愛用のセレブなニットブランドです。(右中)ノルウェー各地に店舗を構える手工芸品店Husfliden(フースフリーデン)のルームシューズ。冬のノルウェー家庭で必需品のあったかルームシューズはテントで活用したいアイテム。(右)ウールのハイソックスはノルウェーの民族衣装ブーナットの衣装に由来  
 

[取材・文・写真=小宮華寿子 取材協力=ノルウェー政府観光局

小宮華寿子 ライター、編集者

旅行・アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。育ち盛りの2男1女の肝っ玉かあさん。ひとりでも子連れでも世界を歩き、オーストラリアとブラジルを含む引っ越し歴はなんと16回。次はどこの国に暮らすか考え中。著書に『ブラジルの手しごと』(メイツ出版)がある。

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