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【短期集中企画】MERRELL アークティック・グリップ インプレッション 〜その1 北信豪雪ライフ 編〜
2017.01.20 Fri
濡れた氷の上でも滑りにくいと評判の「アークティック・グリップ」。この特殊なソールを採用したMERRELLの新作ウィンターシューズ「MOAB FST ICE+ THERMO(モアブ FST アイスプラス サーモ)」と「AURORA 6 ICE+ WATERPROOF(オーロラ 6 アイスプラス ウォータープルーフ)」をアウトドアライターが、日常生活からフィールドまで徹底して履きこんできました。そのインプレッションをお届けする短期集中連載。まずは長野県の豪雪エリアから、森山伸也さんの雪国リアルライフレポートです。
【ARCTIC GRIP IMPRESSION 1】
——豪雪ライターがインプレッション——
最新スノーシューズのテクノロジーをおばあちゃんのゴム長にみた!
ちわっす、アウトドアライターの森山伸也です。長野県最北部の山村に引っ越して5回目の冬がやってきました。ここは日本屈指の豪雪地。最寄りの森宮野原駅では、かつて積雪7m85cmを記録したことも!
こんなところに人って住めるんですね! 人間ってすごい。雪もすごい。夏にかけてゆっくり溶け、大地を潤し、美しい森を育て、おいしい山菜や農作物を育てるんですから
こんな豪雪地に住んでいる僕が考えるサイコーのスノーシューズ。その条件は4つあります。
《その1》防水仕様である
家の前の道路は雪をとかす沢水が川のように流れています。なので防水メンブレンが内蔵されたモデル、あるいは長靴のようなゴム製の履き物でなければなりません。融雪水は雪国生活者にとってありがたい存在。だが冷え込んだ朝は氷となって牙をむく
《その2》内側がふかふかと温かい
これはいわずもがなですね。ライナーにインサレーションを装備した保温力の高いシューズが望ましいです。毎朝、こんなふうに雪かきに追われるのですから。向かいにひとりで住むおばあちゃん、キシちゃんが雪をかく。雪に閉じ込められる村人にとってじつにいい運動だ。残念ながらこれは一昨年の写真。去年と今年は雪が少ない! 生活者としては嬉しいが、スキーヤーとしては文句大アリだ
《その3》ミドルカットか、ショートカットであるべき
これは意外に思われるかもしれませんが、背の低い靴がベストです。雪国での移動はほぼほぼ車です。足首が自由でないとアクセルやブレーキを上手に踏むことができません。雪道は繊細なペダリングが必要なのです。だから靴はミドルカットかショートカットに限る。車の運転さえなければ固い長靴が雪国の最強ブーツなのですが。気を抜くと、こんなチグハグな足元になってしまうのです。車のアクセル、ブレーキペダルを踏む右足だけトレランシューズ。雪国のあるある風景だ
《その4》氷でも滑らないソール
ソールはあらゆる雪面でも滑らないことが重要です。これぞシューズブランドが総力をあげて開発するスノーブーツにおける最重要機能であります。キシちゃんの足元。ゴム長にワラヒモを巻いている。これなら氷のうえでも、雪のうえでも滑らないという。身近な天然素材を使った先人の智恵と工夫である
この4つの機能を満たしたシューズって案外少ないものです。しかーし、ようやくこの冬、かなりいい線いっている満足度の高いスノーシューズに出会いました。MERRELL(メレル)/MOAB FST ICE+ THERMO(モアブ FST アイス サーモ)です。
MOAB FST ICE+ THERMO ¥24,000+税
http://www.merrell.jp/product/shoes/men/MOABFSTICETHERMO.html
防水メンブレンが内蔵され、足を入れるとふわっふわで温かく、ミドルカットモデル。コイツの最大の特徴は滑らないソールにあります。つるっつるの氷の上でも滑りません。これをそのままスタッドレスタイヤにしたら売れるんじゃないか!?というくらい。そのヒミツは、ソールの青いブロックにあるようです。
安心を生み出すアークティック・グリップを採用したアウトソール
そもそもソールが滑る最大の要因は、氷面に張った水です。スタッドレスタイヤなんかもその水をタイヤの溝へ吸い上げて、氷との接点を広げることでグリップ効果を高めています。
このヴィブラム社製のアークティック・グリップは、メレルいわく「水の膜を突き破ることで氷上でのグリップを可能にしている」のだとか。
ぼくのイメージでは、水を押しのけ、あるいは吸いあげて、氷との接地面を確保している感じ。具体例をあげると、ソールがフェルト製の沢登りシューズありますよね。あの感じです。実際、手のひらで触ってみるとザワッと起毛しています。この細かいゴム繊維が、氷上の水を押しのけて、あるいは吸い上げて、氷面をがっちり掴んでいるのです。
「柔らかい素材で氷をグリップ」おお、この原理はキシちゃんのワラヒモ長靴と同じではないか!
先人の知恵は一回りして最先端テクノロジーに通じた。円環の繋がりを見た思い
文・写真/森山伸也
北信濃の山村に暮らすアウトドアライター。春は山菜、夏はイワナ、秋はキノコ、冬はテレマークスキーと、山にどっぷり浸かった里山生活を送る38歳。著書に『北緯66.6° 北欧ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)
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