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毎週火曜はフェスナイト!! Akimama読者におすすめの旅先、ブラジル・サルバドール
2014.08.27 Wed
宮川 哲 編集者
200年間以上ブラジルの首都として栄えたサルバドールは、アフロブラジリアン文化の原点。
かつて奴隷として連れてこられたアフリカ人たちが逆境のパワーで、ポルトガル人の築いた街につちかった文化は、極めてエネルギッシュ!
奴隷たちが踊りに見せかけて練習を積んだ格闘技のカポエイラなんかはその代表的なもので、路上でパフォーマンスが繰り広げられています。
サルバドールはマイケルジャクソン“They Don't Care About Us”のPV撮影に使われた街ですので、まずはそのPVからぜひチェックを(YouTubeはコチラ)。
マイケルと共演したアフロパーカッションバンドは「オロドゥン」という人気グループ。
しかしサルバドールには、来日演奏したこともある「チンバラーダ」ほか、いくつものアフロパーカッションバンドがあります。PVを見ればこのパーカッション、生で聴きたくなりませんか? この街を歩いてみたくなりませんか?
ならば、サルバドールへ!!
おすすめは火曜日の夜。街中がフェス状態になるのです。
夕食をゆっくり食べて、お酒を少し楽しんだ夜10時ごろ、太鼓の音が響いてきたら、音のする方に歩きましょう。決まった時間もルートもないのですが、パーカッションバンドが街を練り歩きます。
私は「オロドゥン」のような有名バンドには会えませんでしたが、それでも独特のリズムに身を委ねて堪能。バンドのなかには少年たちの姿もあって、年長者が年下に教える姿もほほえましいのです。
火曜の夜はパーカッションバンドの行進だけでなく、いろいろな場所でミニ野外ライブが開催。
レストランやバーでも演奏があって、店の外にも聞こえてきます。気に入った音楽があれば足を止め、また少し歩くと違う音楽が聞こえてくるというステキな夜。
そしてもうひとつ、私のおすすめは火曜の夕方6時から開かれるホザーリオ・ドス・プレトス教会のミサ。
同教会はかつての黒人奴隷たちがなけなしのお金を寄付し合い、みずから建築したブラジル初の黒人のための教会。彼らの苦労が浸み込んでいるような独特の雰囲気があります。
「信者じゃないのにミサに参加していいのだろうか」と躊躇する気持ちがありましたが、牧師からの第一声は「みんな、今日はどこからー?」。
参列者も次々に「サンパウロ!」「フランス!」と手を挙げます。「じゃあ隣の人とハグしましょう!」というところからミサはスタート。地元信者と旅行者の割合は半々のようです。
「ミサってこういうのなの?」と驚きました。
そもそもミサは司式者とミサ参列者が式文等を歌い合って進めるものらしいのですが、それにしてもこの教会のノリはすごかったです。ステップを踏み、両手を挙げて踊りながらの大合唱でした。
教会音楽について無知ではありますが、演奏にはこの地方の民族楽器が使われていて、リズムもアレンジされているのではないかと思います。このミサにはすっかり呑まれました。
最後は参列させていただいた感謝の気持ちで少し献金を。
パーカッションも野外ライブもミサも、力強さと共にゆるい感じがするのもサルバドール。
彼らにとって音楽は身近で当たり前のものだから気負いがないということでしょうか。ゆるさもまた心地いい火曜の夜です。
(文・写真/小宮華寿子)
Akimamaブラジル特派員
小宮華寿子
ブラジル在住のフリーランスライター。Akimamaのメンバーとは昔からの浅からぬ縁で、ブラジルからホットな話題を伝えてくれる心強い味方に。リオデジャネイロ州のレゼンデという街に暮らす、育ち盛りの男児2人、女児1人の母。ブラジルのいまをAkimama目線でレポートしてくれます! web版『地球の歩き方』でも活躍中。詳しくはコチラ。