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今年のフジロックは何がスゴイ? DAY3 26日(日)見どころ総ざらい

2015.07.09 Thu

 10年以上、毎年Akimama編集部の多くが野外ロックフェス「フジロック」へと通っている。いよいよ開催まで2週間に迫り、今年はどんな音楽との出会いがあるのだろうか?1日目2日目につづき、今回は最終日である「3日目」の見どころを一挙ご紹介!

DAY 3
7.26 Sunday
レジェンドから新進気鋭まで、
時代を超えた音の優者たち

 3日目のメンバーを目にして、やはり今年の物語の主軸がUKロック、とりわけ90年代以降であることを再認識する。

例えばノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズとライドというトリを固める布陣。すでに発表後なので敢えて触れるが、ライドのアンディ・ベルがノエル・ギャラガーのフジ出演を自身のツイッターで発表前にリークしてしまうということがあった。ファンにとっては、これは単なるネタバレというよりも、古巣ライドで出演するアンディとノエルの元オアシスのホットラインから、90年代栄華を極めたクリエイション・レコードの2大主役アーティストが20年の時を経て同じイベントに登場するという胸が熱くなる要素が大きい。

英モダン・ロック界随一のソングライターであり、7000万枚以上の世界トータル・セールスを誇る英国民的ロックバンド『オアシス』で、ほぼすべての主要楽曲の作詞作曲を手掛けてきたノエル・ギャラガーによるソロ・プロジェクト
 そして間違いなく今年のUKロックの重大事件のひとつがライドの再結成である。シューゲイザーのパイオニアといえばマイ・ブラッディ・ヴァレンタインが筆頭に挙げられるが、轟音+良曲という観点でライドを推すファンも少なくない。18年を経てマーク・ガードナーとアンディ・ベルが再びライドの楽曲に向き合った姿が日本でも目撃できるのだ。

轟音ギター・サウンドとドリーミーなヴォーカルは「ドラッグの手を一切借りずに創るエクスタシー」と言われ、ロックシーンの歴史に刻まれたひとコマとなったバンド「RIDE」。解散以来19年ぶりとなる本格的な再結成を果たす
 新世代で必見なのはFKAツイッグス。俳優ロバート・パティンソンのフィアンセというセレブ的な話題性で、ゴシップ界隈での露出も増えている「次世代のビョーク」という表現はやや語弊はあるが、ファッションアイコンとしての存在感、独創的なヴォーカルスタイル、多彩な影響下から生み出されたサウンドなど新しい時代を見せてくれる存在として大ブレイク中だ。
 ゲスな言い方だが「今、見ておいた方がいい」筆頭と言えるだろう。

ジャマイカとスペインの血を引くシンガー・ソングライター「FKAツイッグス」。“次世代のビョーク”とも言える、今もっとも注目されているアーティスト
 UK勢が勢いのあるなかでアメリカ勢も注目したい。共に久々の来日となるライアン・アダムスとジェニー・ルイスという現世を代表するソングライターが名を連ねている。ライアンといえば2005年のヘブンでの豪雨と落雷のなかでの荒れた伝説のステージっぷりが未だに語り草だ。ここ5年以上もメニエール病などでライヴ・パフォーマンスなどもままならない状況からの復帰。昨年のセルフタイトルのアルバムから6月に発表するライブアルバムと着実にシーンの中心へと戻りつつある過程でのパフォーマンスということで注目度は高い。

 そのライアンが昨年プロデュースしたジェニー・ルイスも、00年代の成功から、一時期シーンを遠ざかり復活を果たしたソングライターのひとり。在籍していたバンド、ライロ・カイリーの解散や父親との死別などで立ち止まり、ソロとしては6年ものブランクを経て昨年リリースした『THE VOYAGER』に人生の紆余曲折を前向きに反映させることで、浮上のきっかけをつかんだ。両雄ともに00年代を代表するアメリカン・ソングライター、長いキャリアの浮き沈みを経た大物ふたりの日本でのパフォーマンスに期待だ。

 やはり「フジロックらしさ」という意味では、ウィルコ・ジョンソンのフジロックのステージ復帰があげられる。末期の膵臓がんから奇跡的なカムバックを果たしたウィルコ。昨年の日本ツアーでの力強い演奏、その後大手術に挑んだ彼の帰還。ロックンロールに魅せられた不屈の男の凱旋を祝いたいところだ。

「不屈のロックンロールの魂」という言葉を捧げる意味で、やはりシーナ & ロケッツの2年振りの出演にも触れなければならない。2月にシーナを病で失ったシナロケだが、彼女のスピリットを伝え続け、今後も日本を代表するロックンロール・バンドとしての活動を継続して行く。

(左上から右)甘い声に隠された鋭い棘。 女優であり、ライロ・カイリーのシンガーでもある「ジェニー・ルイス」/永遠のギターヒーロー、Mr. マシンガン・ギターこと「ウィルコ・ジョンソン」。末期の膵臓がんから不死鳥の如く奇跡のカムバックを果たす/「ライアン・アダムス」は、現代アメリカを代表するシンガー・ソングライター。大御所ウィリー・ネルソンからあのノエル・ギャラガーまでを魅了する/今年結成37年を迎え、常に時代の中で革新的な存在であり、その活動のブレのなさにおいても日本のロックシーンで抜群の信頼感、存在感を誇る「シーナ&ロケッツ」
 ほか、「新鮮」な日本人アーティストがそろった。椎名林檎、[Alexandros]、女王蜂と、フジロックの新しい一歩を象徴するようなバンドがラインナップされている。
 ざっと3日間のラインナップを見てきたが、例年以上に音とともにアクツのストーリー性や、出演に至る物語があるフェスとなりそうだ。オーディエンスにとっても苗場でしか体感できないそれぞれの物語が待っていると思う。19回目、大台へのカウントダウンとなる今年のフジロックを楽しんで欲しいと思う。

※アーティスト名のリンクから、音源をお聴きいただけます。
(Text by 音楽ライターHideki Hayasaka @ Festival Echo

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