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札幌の冬フェスOTO TO TABI。音楽とアートとごはんとお酒と雑貨と冬のピクニックがテーマ!

2016.03.08 Tue

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

 北海道の3月は、まだ冬の真っ只中で春は遠い。「音楽とアートとごはんとお酒と雑貨と冬のピクニック」をテーマにしたOTO TO TABIは、今年で6回目の開催となる札幌の冬フェスだ。アイデアを出し合い、少しずつコンテンツを加え、多様なものが融合する場=フェスに成長している。オーガナイザーの星石二郎さんに、OTO TO TABIを続ける理由を聞いた。

—— OTO TO TABIは2011年にスタートしました。どんな思いで立ち上げたのでしょうか。
 初回は初期衝動的な部分が大きかったです。しかしさかのぼると、このようなイベントをやるくらい音楽が大好きになったのは、二十歳のときに銀杏BOYZに出会ったことがきっかけだったなと思います。それから徐々に、こういうことをやってみたいという思いが強くなっていきました。
 初回は分からないことだらけでしたが、企画書をつくり、出演交渉を直接行い、正直断られることもあるだろうと思っていたら、皆さんオファーを受けてくれて、初回から予想以上に豪華な出演者の方々に出演していただけました。日本全国でフェスは流行っていますが、もっとこう、なんていうか「祭り」のようなものをめざしたい気持ちがあります。
 OTO TO TABIの運営メンバーは、全員普通の社会人として仕事をしており、音楽業界や、イベント運営に関する仕事をしているスタッフはいません。ですがその分、様々な人たちに助けられて、開催することができています。専門的な相談に乗ってくれる方や、各種イベント・企画をやらせてくれたり、チケットを販売してくれるショップの方、告知などに協力して応援してくれる方、ステージの舞台監督さんなどは初回からお願いしているプロの方にご協力いただいていたり、当日は多くのボランティアスタッフにお手伝いしてもらっています。
OTO TO TABIのことを理解して応援してくれる心強い方がたくさんいて、ここまで続けてこられたんだなと思います。

—— 昨年は北海道のクリエイターによるマーケットなど、どんどんフェスとして広がりを持っているように感じています。6回目の開催となる今年の新たなテーマとは?
 OTO TO TABIはもともと、音楽以外にも様々な表現が融合する場にしていきたいと思っていました。それが、今年はいろいろなタイミングや縁が重なり、音楽以外の要素を拡大することができたと感じます。ホームページなどでも載せている「音楽とアートとごはんとお酒と雑貨と冬のピクニック」が、まさにテーマですね。
 音楽の面では、必ず毎回、東京などから来てもらうアーティストと地元北海道を拠点に活動するアーティストを混ぜるラインナップにしているのですが、それらのライブを楽しんでほしいですし、現代美術家として活動している祭太郎さんの魅力にも触れてほしいです。フェスごはんも北海道ならではのスープカレーやエゾシカ丼などのメニューや、本当においしいおすすめのお店の看板メニューを出品してもらうので、楽しんでいただけると思います。
 お酒についても、事前に「札幌オオドオリ大学」とともに日本酒と音楽にまつわる授業を開催したのですが、そこで生徒の皆さんと一緒に考えた「冬フェスでの日本酒の楽しみ方」をぜひ試してみてほしいですね。当日はおいしい日本酒を楽しめるというのはもちろんですが、授業ではすでに「日本酒を介して意気投合しちゃう」というお酒ならではの奇跡(?)も起きたようです(笑)。
 雑貨市場は以前からありましたが、インテリア雑貨&カフェの週末マーケットとして魅力的なイベントを打ち出しているLOPPIS、そして手作りのZINEなどを扱うNEVER MIND THE BOOKSに、それぞれミニバージョンで出店してもらえることになりました。
イベントを楽しむ要素がたくさんありますが、それぞれのファンの方に、いつもとは違う分野でも楽しんでもらえたらと思っています。

—— 今年から会場が札幌芸術の森に変わります。どんな会場なのでしょうか。
札幌中心部から南区の山あいのほうへ、車で40分ほどの場所にあります。広大な敷地の中には大きな美術館もあり、年間を通じて魅力的な企画展も多く開催されています。作品制作のための滞在施設や、レコーディングスタジオ、クラフト工房、陶芸の釜など、様々な芸術活動ができる場所です。野外彫刻なども多く、夏はアートマーケットなどのイベントもさかんで賑わいますが、冬は一転して、雪に覆われて、色や音が吸収されてひっそりとした場所になります。それも北海道の冬らしくて魅力を感じています。

—— 入場無料エリアも設けられています。入場無料エリアを作った理由を教えてください。
 これまで私たちは会場をたびたび変えてきましたが、できれば芸術の森でこれからも開催していけたら、と思っています。南区で行うのは初めてなのですが、近所の方や、たまたま芸術の森を訪れていた人にもOTO TO TABIに少しでも触れてもらえたら、と考え、入場無料エリアを作りました。冬のピクニックで公園にきたご家族連れに、昼食を屋台で買ってもらう等があるとうれしいですね。将来的には、芸術の森で主催するイベントとのコラボや、南区に根差すような活動に拡げていき、地域を巻き込んだ「祭」の要素を打ち出していけたらと構想しています。

—— はじめて参加する人のために、OTO TO TABIの楽しみ方を教えてください。
「こうしないといけない」というルールなどは最低限しか設けていません。楽しみ方は本当に人それぞれでいいというものだと思っていますが、せっかくなのでぜひ複数のコンテンツを楽しんでいただけたら、すごくうれしいです。

—— 参加するファンに、OTO TO TABIでどんなことを感じて欲しいと思っていますか。
 SNSなどで見ていると、自分たちでも言葉にできていないような「OTO TO TABIらしさ」みたいなのを感じてくださっているお客さんがかなり多く、それはとてもありがたいことだなって思っています。でも「思っていた以上に楽しかった!すてきだった!また行きたい!」って思ってもらえるように、がんばりたいです。

OTO TO TABI
開催日時:3月19日(土)11時〜21時
会場:札幌芸術の森アートホール
出演:青葉市子、Koji Nakamura、D.A.N.、DJみそしるとMCごはん、天才バンド、長岡亮介、ほか
http://otototabi.com

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