- フェス
スノーモンキー・ビアライブ。冬のスキー場(志賀高原)で開催されるクラフトビールと音楽の祭典。
2016.03.12 Sat
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
志賀高原で開催されている「スノーモンキー・ビアライブ」。国内トップレベルのクラフトブルワリーとライブに定評のあるミュージシャンが集結する冬フェス。「冬のスキー場でビールと音楽という無謀な試み」を続けているオーガナイザーの佐藤栄吾さんに「なぜビールと音楽の冬フェスを開催するのか」を聞いた。
—— 「冬のスキー場でビールと音楽という無謀な試み」の『スノーモンキー・ビアライブ』。どんなきっかけでこのイベントを立ち上げたのですか。
もともとは、ブルワー同士の飲み会の席での会話がきっかけ。毎年、夏に、ぼくら志賀高原ビールのホップの収穫に遊びに来てくれたブルワーのみんなと、収穫後BBQをして飲んだりしていたんですが、それがすごく楽しいって、あるイベントの打ち上げの話題になったんです。箕面ビールの現社長、大下香緒里さんが「来年、うち、たこ焼き焼くわ」って話になり、たまたまそこにいた彼女の親友の ADOさんが「じゃあ、うち旦那連れてくわ」と。その「旦那」ってのが、今回も出演してくれるGEBOさん。「音楽とビール」「志賀ロックや!」なんてくだらない話をしていたんです。
全国で、ビールのイベントも増え始めていた時期で、それも大都市だけじゃなくて、富山のタナバタビアフェスタとかに刺激を受けていたんですが、さすがにビールだけのために、長野まで人を集める自信はないなあと。で、ふとあの夜の話を思い出して、みんなに「ビールと音楽」って話をしてみたら、地元の志賀高原観光協会さん、山ノ内町さんがすぐ協力してくれることになったんです。
忙しいブルワーにとっても、三月はまだ比較的時間のある季節。お客様に楽しんで欲しいのはもちろんなのですが、ブルワーたちにとっても、リラックスして楽しめる合宿的なイベントもいいなってことで、あまり深く考えずに、ゆるくビールでつながる感じで始まったというわけです。
—— 初開催まで、苦労も多かったと思います。今だからこそ言える苦労話を聞かせてください。
ずっと音楽は好きでしたが、そうはいっても完全に素人。もう、最初は「CDとか出している人たちが来てくれるんだ!」なんて興奮しながらも緊張していました。
ちゃんとした音を出して、アーティストのみなさんにご迷惑をかけない運営を出来るかかなり心配しました。結局、韻シストさん経由で、初回からずーっと音楽監督をしてくれているゴイチエンジニアリングの内川さんを紹介してもらい、なんとか形になりました。内川さんには、相当の負担をかけちゃって、初回が終わったあと、病院送りにしてしまったのは、本当に反省しています。
それと、お客さんが集まらなかったら、ビール会社ももちろんなんですが、アーティストのみなさんに申し訳ないと気が気じゃなかったです。それに、普通のライブとかと違って、お客さんは、みんなビール飲みながらガヤガヤしているわけで、それも心配でした。でもなんとか初回を終えた時に、参加のアーティストさんのほとんどが「最高だった」「また呼んで」って言ってくれたのは、本当にうれしかったです。
いまだに、プロのプロモーターとかが一切関与しない素人イベントなのですが、こうしたアーティストのみなさん経由でどんどん毎回のラインアップも豪華になってきていて、とにかくありがたいことです。
—— 開催初年度は、どのくらいのビールが揃ったのですか。そして今年はどのくらい増えたのですか。
最初は、15社で44銘柄。それが、昨年は17社で132銘柄。全国からビール好きがわざわざ足を運んでくれることもあって、各社とっておきの秘蔵のビールを持ち寄ってくれたり。このイベントのために、新作を持ってきてくれるブルワリーも毎年たくさんいて、本当にうれしいです。今年も、他では飲めない注目のビールも多数出品される予定です。去年2015年には、アメリカから PIZZA PORT という人気ブルワリーがゲストとして参加してくれたのですが、今年も同じくアメリカ東海岸から、OXBOWという大注目の新進気鋭のブルワリーが初上陸の貴重な樽を持って参加してくれます。
—— フェスとして、進化を遂げている部分とは?
やっぱり音楽が一番かもしれません。出演してもらったアーティストさんたちの協力もあって、年々豪華になってきています。2014年に、Niw! Records さんの協力で、『SNOW MONKEY BEER LIVE』 というコンピCDが発売になった時は、われながら驚きました。
今回も、毎度おなじみの Nabowa、韻シスト、GEBO & DJ NAO-Kといった顔ぶれはもちろん、ホテルニュートーキョー や toconoma、never young beachなどなど、僕ら自身が楽しみなラインアップです。去年に引き続きの出演のKeishi Tanakaさんが、fox capture planとのステージを披露してくれたり、おなじみ AFRAさんが、あのGOMAさんとの共演だったり。さらに A Hundred Birds が、なんと今回はホーンやストリングス、コーラスも含めた23名編成と、地元大阪以外では滅多に見られないステージになるなど、とにかく最初には予想もできなかった充実ぶりです。
—— 日曜を昼と夜に分け、土曜と計3回のパッケージですね。
アーティストのラインアップが違います。ひとつの部が各5時間。そこに、4つ以上のLIVEが予定されていて、ビールやフードも楽しめる。日曜は、その部を2回、予定しているということです。
—— 志賀高原総合会館98ホールとは、どういう会場なのですか。
もともとは長野オリンピックの時にできた会場です。室内ですが、ライブ会場内に、ビールやフードブースがあり、最高のクラフトビールを、それをつくっているブルワーたちと直接話しながら楽しめます。
—— オーガナイザーが目論んだ、今年の特徴を教えてください。
毎年一緒です。「音楽とビールをただただ楽しむ」です。
—— はじめて参加する人のために、『スノーモンキー・ビアライブ』の楽しみ方を教えてください。
自分の知らない音楽、自分の知らないビールと出会い気に入ってもらえる機会になればうれしいです。ビールを注いでいるのは、実際にそのビールをつくっている日本トップクラスのつくり手たちです。どんどん話しかけて、お気に入りをみつけていただければ。とにかく種類も多いので、お友達と一緒にいろんなビールを楽しんでいただければとも思います。
ライブも、ジャンルを超えた最高のアーティストが集まっています。会場では、そのアーティストたちも一緒にビールと音楽を楽しんでいると思います。三部にわかれていますが、二部、三部と複数の部に参加できるチケットもご用意していますので、ゆっくりお気に入りを見つけてください。
そして、会場の志賀高原は、もちろん日本最大級のスキーリゾート。また、湯田中渋温泉郷も車で20〜30分。期間中は、会場と各エリアを結ぶ無料のシャトルバスも運行します。音楽・ビール・フードはもちろん、非日常の空間でスキーやスノボ、そして温泉もあわせてお楽しみいただきたいと思います。
開催日時:3月19日(土)17時30分〜22時30分、20日(日)11時30分〜16時30分、17時30分〜22時30分
会場:志賀高原総合会館98ホール
入場料:各部券<特性グラス、ビールチケット5枚付き>4,500円(前売)5,000円(当日)
全部券<特性グラス、ビールチケット15枚付き>9,200円(前売)9,700円(当日)
出演:Nabowa、韻シストBAND feat.ルンヒャンand BASI、ホテルニュートーキョー、toconoma、never young beach、GEBO & DJ NAO-K、GOMA
meets AFRA、A Hundred Bird Orchestra、他