- フェス
今年のフジロックはこれを見なきゃ! 第1回 アーネスト・ラングリン
2016.04.09 Sat
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
50年代から活動を続けるジャマイカ人ギタリスト、アーネスト・ラングリング。スカ、レゲエというジャマイカ音楽の誕生、そして成長にはアーネストの存在が欠かせなかったという。62年に公開され、ジャマイカが舞台となった映画『007ドクターノー』のサウンドトラックのアレンジャーもアーネストが務めている。ジャズとジャマイカ音楽の融合にも貢献するなど、アーネストをリスペクトするミュージシャンは多い。
ジミー・クリフの初来日にも同行するなど、数多く来日を果たしている。2012年にはフジロックのフィールドオブヘブンに立っている。Caravan、アーネスト・ラングリン、ロス・ロンリー・ボーイズ、トゥーツ&ザ・メイタルズいう流れの気持ち良さは、今も身体に残っている。
今年、60年に及ぶツアー生活に終止符を打つことを決め、フェアウェルツアーが行われることになった。そのツアーのために集ったのが、ジャズやコンテンポラリー・ワールドミュージックのトップクラスのミュージシャンたち。簡単に紹介すると、コートニー・パインは87年にソロ・デビューを果たし、ジャズ/ソウル/レゲエ/ヒップホップなど幅広い分野で才能を発揮しているサックスプレイヤー。トニー・アレンは、ナイジェリアの国民的ヒーローであるフェラ・クティのアフリカ70に参加し、アフロビートの礎を築いたドラマー。ピアノのアレックス・ウィルソンとベースのアイラ・コールマンは、ヨーロッパ・ラテンジャズを代表する存在だ。ボーカルのジェイク・ローはセネガル音楽を世界に広めた人物で、昨年は富山のSUKIYAKIフェスに来日を果たしている。
アーネストは1932年6月生まれだから、フジロックにやってくる時は84歳になっている。「最後の」という言葉が使いたくないけれど、アーネスト・ラングリンのフジロックのライブは、歴史に残るような時間になるに違いない。これだけのミュージシャンと同じステージに立つアーネストも幸せだし、それを見られる僕らもまた幸福だ。