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都市型フェス・シンクロニシティに聞いたジャンルをクロスオーバーさせることで見えてくる現在と未来。
2016.04.16 Sat
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
渋谷という都会の真っ只中で開催されるフェス、シンクロニシティ。今年で11回目の開催を数える。様々なジャンル、様々な人が、シンクロすることから見えている「今」と「未来」。今年は30以上ものバンドやアーティストが集結する。プロデューサーの麻生潤さんに聞いた、シンクロニシティの本質。
—— シンクロニシティは、今年で11年目の開催となります。どんなきっかけで立ち上げたのでしょうか。
シンクロニシティを立ち上げた2005年当時はちょうどライブカルチャーとクラブカルチャーのクロスオーバーが起き始めている時で、ジャンルや世代に関係なくそれぞれの素晴らしい音楽やカルチャーを皆に知ってほしいという思いで立ち上げました。「素晴らしい音楽をたくさんの人に」というのは、今でもシンクロニシティの変わらないコンセプトです。
—— 一回目は、どんなラインナップで、どんな雰囲気でしたか?
ライブにDogggystyle、Dachambo、サヨコオトナラ、Tegwonなどジャムシーンを中心に、Kaoru InoueさんのライブユニットRiders On The Storm、さらに、思いっきりロックなズボンズっていう、幅広いというかなかなかカオスなラインナップでした。DJでは、HIKARU、Kentaro Iwaki、SHIRO THE GOODMAN、DJ YOGURTなど、クラブミュージックだけど、幅広い音楽性と柔軟性を持ったDJに出演いただきました。
2005年11月25日が初開催だったんですけど、実は唯一のオールナイトだったんです。時間もそうだし、出演アーティストも今よりずっとクラブライクでした。ズボンズは唯一のストレートなロックだったんですが、凄まじいテンションのライブにお客さんも引き込まれていました。それはクロスオーバーっていう言葉を意識した最初のシンクロニシティの瞬間で、ライブカルチャーとクラブカルチャーがミックスした象徴的な瞬間でもありましたね。
また、この日はエレグラと同日ってことでも話題になったんですけど、DachamboのAOくんが、MCで「エレグラへようこそ!」って言ったのは今も忘れられないですね(笑)。
—— この10年で、フェスは進化を遂げていると思います。シンクロニシティはどんな進化を遂げていますか。
シンクロニシティを始めた頃は、純粋に素晴らしい音楽をジャンルを越えてたくさんの人に届けたいっていう衝動だったんです。今となっては普通なことになってしまったけれど、2005年当時はまさにライブとクラブのカルチャーが交わろうとしている時で、それが本当に刺激的だったんですよね。だから、それぞれのカルチャーを有機的にミックスしたいと思った。純粋に音楽というものにフォーカスしていたんです。
そこから徐々に一過性なものにはしたくないなと思い始めて、シンクロニシティとして社会性を意識するようになりました。グリーン電力は分かりやすい例ですが、でもそれだけではなくて、「未来へ繋ぐ」ということを意識したトークセッションやブッキングの姿勢にも現れていると思います。フェスという空間を通してそれぞれのライフスタイルにつなげていくこと。今ではそれをすごく大切にしています。自分でやっているので進化っていうとちょっとおこがましい気もするんですけど、少なくともシンクロニシティにおける大きな変化だと思いますね。
—— グリーン電力を使うことにこだわっています。それは「未来に繋ぐ」というメッセージが込められているからなのですか。
そうですね。ただグリーン電力を使うということはひとつの手段であり、あくまでも「未来へ繋ぐ」という目的が大切だと思ってます。だから、こだわっているというよりも、今はその手段を選択しているっていう感覚ですね。
人間は持続可能なエネルギーに対しての答えというのは見つけられてません。ただ、僕らが生きていくためには、何らかのエネルギーを選択しなければいけない。何となく生きていてもエネルギーは必ず使います。電気というエネルギーに対して「未来に繋ぐ」ということを考えたとき、シンクロニシティにとっての選択がグリーン電力だということです。
僕らの人生にとっても、子どもたちにとっても、未来が見えるって素敵ですよね。僕らは今グリーン電力を使うということを選択してますが、一番大切なのは「未来に繋ぐ」ということを常に考える意識だと思っています。
—— 今年は4会場を同時進行させています。今年の特徴、オーガナイザーが考える見どころを教えてください。
今年はenvy、MONO、downyが主催する『After Hours』というフェスのキックオフも兼ねてます。その3バンドとは常に熱いミーティングを重ねてきたので、O-WESTは特にその熱を感じることができると思います。また、O-nestは『New Action!』というイベントチームに入ってもらっていて、今の現場感のあるアーティストに多数出演いただいています。今の若手の音楽って面白いし、その温度も見どころですね。
—— 都市で開催するフェスであるシンクロニシティ。目標、あるいは到達点というものは設定しているのですか。
シンクロニシティは、実は昨年の10周年を機にウェブマガジンを立ち上げたんです(https://synchronicity.tv/)。今年明けてから徐々に更新して、ようやく見てもらえる状態にもなってきました。まだイメージの10%くらいですけどね(笑)。シンクロニシティは「素晴らしい音楽をたくさんの人に届けたい」というのが2005年から変わらないコアなコンセプトで、それを形にする手段はウェブマガジンでもフェスでもいいと思っているんです。
これからはウェブとリアルを連動して、規模を拡大し日本の素晴らしい音楽を世界中の人に届けていきたいです。アフリカの人に渋さ知らズオーケストラってかっこいいなってウェブマガジンやフェスを通して届けられたら、ひとつの到達点かもしれませんね。
—— どんな時間をシンクロニシティで過ごして欲しいですか。
『SYNCHRONICITY』はクロスオーバーというのをすごく意識しています。音楽のクロスオーバー、人のクロスオーバー、カルチャーのクロスオーバー...。そのクロスオーバーを感じるためにも、新しい音楽、新しい空間に触れてほしいです。そうして自分の違う扉を開いてもらえたら嬉しいですね。
開催日時:4月24日(日)15時〜
会場:TSUTAYA O-EAST, duo MUSIC EXCHANGE, TSUTAYA O-WEST, TSUTAYA O-nest(4会場連結開催, 往来自由)
出演:クラムボン、渋さ知らズオーケストラ、BRAHMAN、在日ファンク、envy、MONO、rega、jizue、toconoma、YOGEE NEW WAVES、never young beach、D.A.N.、ほか