• フェス

【青空campインタビュー】自分たちの未来スタイルを、キャンプインフェスのなかに宿す。

2016.05.11 Wed

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

東日本大震災をひとつのきっかけにスタートした<青空camp>。かつては緑のなかで思いっきり遊んでもらおうと福島の子供たちを招待し、昨年は福島の猪苗代でも開催した。キャンプやフェスを通して、自分たちは何ができるのか。キャンプをしながら、音楽を楽しみながら考える未来。小さなフェスだからこそ実現可能なスタイルが、ここにあるのかもしれない。オーガナイザーの山口純司さんにインタビュー。

—— <青空camp>は、いつ、どんなきっかけで始まったフェスなのですか。

 2012年に、東日本大震災をきっかけに始まりました。不謹慎な発言かもしれないけれど、人って簡単に死んでしまうんだなと。いつ死ぬかわからないんなら、自分のやりたいって思ったことをやったほうがいいなと。それまではなんとなく流されて生きてきて…震災後に気付かされました。
 天災だけではなく、福島の事故も大きかったです。あの電気は東京の自分たちが使っていた電気だと知り、自分のこれまでの無関心さが本当に腹立たしかったです。そこに対しても何かできないかと。自分たちのやりたいことをやって、それが支援につながればいいなと。そのふたつの思いがあって初めたのが<青空camp>です。

—— かつては、福島の子どもたちを招待して、この<青空camp>で思いっきり遊んでもらうということを行っていました。今回は、このようなことは行わないのですか。

 今回は招待は行いません。招待を行っていた当時と比べて、今は状況が変化していると思っています。あとは朝霧までの距離が遠いので、参加者もそれほど多くないこともあります。
 いろいろ考えた結果、もっと近いところで、かつ安心して遊べる場を提供できればと思い、昨年は猪苗代湖でのイベントも行いました。それは支援という形ではなく、単純にイベントを行っているだけです。当初の支援という目的は、今はなくなってしまいましたが、何かしらでずっと関わっていくことが、大切なことだと思っています。
 静岡でやっているイベントに来た人が、<青空camp>が猪苗代でやっていることを知って、「何で福島でやっているのかな?」という疑問を持ってもらうことだけでも、意味があることだと思っています。

—— 二日目の日曜はライブが行われません。この意図は?

 都市型の電車で行けるフェスと違って、<青空camp>は車じゃないと来られない場所なので、基本はみなさん「キャンプ」なんですよね。そうすると、キャンプをして次の日にキャンプ道具を片付けてという中で、ライブをやってもゆっくり楽しめないのかなと。
また、仮に二日目にライブをしたとして、途中で帰らなければならない人もいると思うんですよね。たっだら、もう二日目のライブはなしにして、せっかくキャンプに来ているのだから、ゆっくりしてもらった方がいいのかなと。
 音楽だけじゃなくて、「キャンプ」+「音楽」というところが<青空camp>なんだということで、今はこの形で落ち着いています。

—— 今年は、昨年までと比べ、出演するバンドが多いように感じます。

 今年は「バンド」にこだわったかもしれないです。「キャンプ」にこだわっているくせに、アコースティックなアーティストが全然出ないという…。
 いつも出演してもらっている光風&GREEN MASSIVEが、今年はレゲエ界の重鎮PAPA U-Geeさんと共演するので、ラインアップが昨年より多くなっていると感じるのかもしれません。個人的にはこの共演は非常に楽しみです。あとは初出演のMuffも楽しみだし、最近アルバムをリリースしたばかりのOKI DUB AINU BANDも楽しみです。前述の質問の答えと矛盾しますが、ライブは1日だけなので、毎年、試行錯誤してます。

—— 5月のハートランド朝霧には、どんな装備、どんなスタイルがマッチしそうですか。

 これは、非常に難しいです。晴れたら昼間は、半袖、半ズボンで行けちゃうし、かと思ったら夕方以降は、真冬並みに寒くなったり。「朝霧」というくらいですから、「霧」も出ますし…というと、厳しい環境かと思われてしまいますね。
 普通に、春の山へキャンプに行くイメージで、一枚、厚手のものを持ってきていただければ安心かなと。台湾でフェスに似合う服などを販売している「saibaba ethnique」や他にもアウトドア系の商品をあつかっている出店者もいますので、そういった出店の中で、お気に入りの一着を購入するっていうのも、楽しみの一つですよね。
 あとは直火はNGですが、焚き火をみんなで囲んで語り合ったりとか、そんな「キャンプ」らしいこともしてもらいたいですね。

—— ここでどんな時間を過ごして欲しいですか。

 レジャーって言葉がありますが、そういった時間を消費するために<青空camp>に来るのではなく、家族や仲間とのリラックスした時間をつくるために来てほしいですね。
わざわざたくさんの荷物を持って来るのだから、時間を無駄にするのではなく、何にもしない無駄な時間を作りに来てほしいです。キャンプってそういうことなのかなと思っています。
 ある知り合いのミュージシャンが「音楽で、世界は平和にならない。でも音楽を聴いて、隣にいる家族とか恋人とかを大切にしようって思ったら、世界は平和になる」って言っていたのだけれど、そういう音楽の力を信じたいですね。東日本大震災だって、まだまだ復興はこれからだし、福島のこともあるし、熊本のこともあるし、音楽を通じて時間を共有したみんなの思いがつながっていけたらいいですね。
 その一歩として、その日は一緒に来た人たちと、とことん楽しんでほしいです。そして当日は熊本支援の募金箱も設置しますので、楽しんだ気持ちを少しでもいいから、お返しいただければ幸いです。

photo by Akiko Sato 

青空camp2016

会期:5月14日(土)〜15日(日)
会場:ハートランド朝霧 中島酪農場
出演:光風&GREEN MASSIVE feat.PAPA U-Gee、OKI DUB AINU BAND、SAIRU、Muff、SARATOGA、他

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Keyword

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント