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TURTLE ISLAND永山愛樹インタビュー。ここだけにしか存在しない世界観を発し続ける橋の下音楽祭

2017.05.22 Mon

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

愛知県豊田市の「橋の下」で開催される入場無料のフェス、「橋の下世界音楽祭」。今年も開催されることが正式にアナウンスされた。このフェスに参加した人は、異口同音に「ここには特別なものがある」と口にする。何がこのフェスを他にはないものにしているのだろうか。6回目の開催を目前に控えた「橋の下世界音楽祭」のオーガナイザーであるTURTLE ISLANDの永山愛樹さんに、なぜフリーでフェスを続けるのかを聞いた。

–––– 愛樹さんは豊田をベースに活動を続けています。その豊田市の「橋の下」というのは、愛樹さんにとってどんな場所なのですか。

 俺らが練習していたところなんですよね。焚き火をしながら、みんなで練習したりする場所。いつかここで、盆踊りみたいなことをやりたいなって話していたんです。

–––– 橋の下音楽祭をスタートさせたきっかけとはなんだったのですか。

 2011年の東日本大震災です。東北へ支援活動に行っていたんですけど、自分たちに根性がないのか、東北に行き続けることが辛くなってきたんですよね。モチベーションも低下していく。そこで、支援することも大切だけど、自分たちのことをやろうという話になったんです。例えば原発事故でも、それに至る流れのなかで、俺たちは何でこうなっちゃったんだろうって思う瞬間がある。ならもっと自分たちの根っこを見つめ直したほうがいいなと思った。自分たちはどんな民族で、どんな暮らしをしてきたのか。東日本大震災によって、みんなの心が動いた。その心の動きを風化させないために、地に足をつけてやっていくことを再確認する祭りをやりたいなって思ったんですよ。昔から続いている祭りではなく、今からはじまる祭りがあってもいいし、むしろそんな祭りを必要としている人もいっぱいいると思う。自分たちの村とか、そういう地域コミュニティとは別の意識で繋がっているコミュニテイもあるじゃないですか。橋の下って豊田の祭りというわけじゃなくて、今の時代の、俺らの時代に生まれた祭りなんですよ。

–––– 去年から出店者にも電源を供給しないで、電力を持参することが義務付けられましたね。

 ステージなどで必要な電源はすべて太陽光発電。当たり前にあることを、一度考え直してみようと。みんなで話し合って、会場で使う太陽光電源のバックアップを取ることもやめたんです。雨が降ったとしたらアコースティックでやればいい。そこにいる人すべてが祭りを作っているという意識を共有すること。町でも社会でも、実は自分たちが作っているんだということを、みんなで理解することが大事なんだと思う。

–––– 今年は「橋の下世界音楽祭 SOUL BEAT ZERO」というタイトルです。ZEROにどんな思いを込めているのでしょうか。

  橋の下を見て、「あ、できるんだ」って思って、自分の場所に持ち帰ってもらいたいんですよね。別に大きな祭りじゃなくてもいいじゃんって思う。みんなが勝手に、自分たちの祭りや生活を作ればいいじゃんってことが、一番伝えたいこと。自分のことくらいしかわからないけど、自分ひとりを見ても、そうそううまくいかないじゃないですか。仏陀みたいになりたいけれど、そうそうなれるもんじゃない。いろんな感情があるし、その感情がパンと外れるときが祭りだし。そうなることによってはじめて自分と違うものと話ができたり、いろんなことをフラットに考えたりすることもできたり。だから俺らのやれることをやっているだけ。背伸びをしたってしょうがないし、自分たちの根っこをみんなで再確認できればと思っているんです。

ポートレート写真=宇宙大使☆スター

橋の下世界音楽祭 SOUL BEAT ZERO 2017

開催日:5月26日(金)〜5月28日(日)
会場:豊田大橋 橋の下 千石公園(愛知県豊田市)
出演:TURTLE ISLAND、TAMIKREST(アフリカ/Tuareg from Azawad)、九宝/Nine Treasures(北京/内モンゴル)、Tenzin Kunsang(チベット伝統音楽)、OKI DUB AINU BAND、切腹ピストルズ、T字路s バンド、鎮座DOPENESS、AO YOUNG、他

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