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東北の小さな町から届けられる文化伝承。10回目の森波がまもなく開演!

2017.07.12 Wed

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

宮城の北部に位置する登米。この東北の小さな町で10年続いているフェスがある。森波だ。当初はキャンプインフェスとしてスタート。数年前から能舞台を会場に変更された。どんな思いを持ってこのフェスを続けているのか。文化を継承していくとはどういうことなのか。オーガナイザーのmitchさんに聞いた。

–––– 登米はどういう特徴を持った町ですか。

 会場である登米市登米町は宮城県の北東部にあり、町の中央を北上川が流れ、東に北上山地、西にはササニシキ・ひとめぼれのふるさとである田園地帯が広がります。過疎地の最先端といっていいほどの高齢化が進んでいる典型的な東北の農村地帯です。その中でも登米町には武家屋敷や明治期の西洋風建築なども残っていて、観光地として「宮城の明治村」と呼ばれています。

–––– 今年で森波は10回目の開催を迎えます。どんな思いで、森波をスタートさせたのですか。

始めた頃はただただやりたいだけでした。野外で大好きな音楽を存分に浴びたい、そしてこんな田舎でも何かはやれる、ということを示したかった、ま、そんな程度でした。今もその気持ちはさほど変わりませんが、回を重ねるごとに予想もしてなかった繋がりや協力者、支援者、同志、そして身内の存在がありここまで続けてこれました。10回目ということもあり、しみじみこれまで関わってきていただいた皆様に対する感謝の気持ちでいっぱいです。ここまで続けてこれたこの多幸感はなかなか言葉に尽くせませんね。

–––– 小さな地方の町で10年もフェスを続けるのは、並大抵ではない思いがあるからだと思います。続けるモチベーションは、どんなところから生まれているのですか。

 ただやりたいだけで始めてしまった、残念なイベントですが、ここまでやってきて継続すること、あるいは時間を蓄積させることこそが意味を強化するのだということをやっと知りました。短年の動員ももちろん重要です。興行であることに間違いはありません。正直、お金はめちゃくちゃ欲しいです。ですが今やっていることの意味はおそらく10年後ぐらいにしかわからないのではないかと思ってます。その10年後の自分から見た今年がどんな風に見えるか、あるいは子供達がその時、おっさん、おばちゃん達がやってきたことをどう見るのか、そんなことばかり考えるようになりました。そしてその中で偶然にも次の世代に継承されていく何かが残れば幸運かなと思ってます。そんな感じで動機自体も変化し続けてるかもしれません。

–––– 会場が能舞台だということも珍しいと思います。どんな会場ですか。

 登米町では能の文化が約230年前から継承されていています。家元や世襲ではなく一般市民がその文化を守り、全国的にも稀有な継承の仕方で今日まで続いております。この能舞台は東京オリンピックのメイン会場、新国立競技場のデザイン案が採用された隈研吾さん設計の作品です。97年に日本建築学会賞を受賞した隈建築の代表作のひとつとも言われています。このような建築物が地元にあること、そして我々のようなイベントにも理解を示してくださる地元の謡曲会の皆様に深く感謝しております。

–––– ホームページのタイトルに「能×音×食」とあります。食はどんな特徴を持っていますか。

 毎年フードの出店はこちらから依頼してます。募集をしたことはありません。演者同様にブッキングしているという感覚でお誘いしてます。音楽で繋がった東北の飲食店がほとんどで、単純にこちらがファンであって、食べたい!!っていつも思ってるお店ばかりです。森波のほとんどの出店者が東北各地で自分でもイベントを企画したり、いろんな音楽の現場で出店していたりと、音楽とともに食の領域で活動なさってます。そんな尊敬するみなさんにお集まりいただきます。必ずその味の奥底に音楽が流れていると感じてしまいます。その倍音もまたお楽しみください!!

–––– 開催が近づいています。森波ではどんなことを体験してもらいたいと思っていますか。またどんなことを持ち帰ってもらいたいですか。

会場の構造や設計、能という文化、そして僕たちが信じる音楽、そして人…それらがクロスする特別な時間と空間はこの森波でしか体験できないと思ってます。その体験をぜひ未来へお持ち帰りくださいませ!!お待ちしております!!

森波-WOOD VIBRATION-

開催日時:7月16日(日) 11時
会場:伝統芸能伝承館 森舞台(宮城県登米市)
出演:cro-magnon、ズクナシ、ROOT SOUL-4piece- feat.Keyco & 椎名純平、Caravan、ラビラビ、白石才三+沼澤尚+内田直之、TOKIO AOYAMA

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