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ゴミの散乱に残置テント。これでいいのか? フジロックが世界一クリーンなフェスだと胸を張って言うために
2017.08.03 Thu
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
21回目のフジロックが終わった。GORILLAZ、APHEX TWIN、BJORKをヘッドライナーに、前夜祭の1万5000人を含め、4日間でのべ12万5000人もの人が、苗場という自然の懐で行われた音楽の祝祭を楽しんだ。
4日間を通して曇が苗場上空を覆い、土曜にいたっては一日中雨が降り続き、強くなった時間帯もあった。APHEX TWINでは強くなった雨がライブを演出しているのでは、と思ってしまう瞬間もあったほどだった。フジロックでしか感じ得ないものがやっぱり存在しているし、唯一無二のものであるし、総合力において日本を代表する野外フェスであるということをあらためて実感した。
しかし、今年のフジロックはひどかった。フジロックは「自然と音楽の共生」をめざし、20回の歴史のなかで「ゴミゼロナビゲーション」をはじめとした様々な環境保全活動をフジロックに集うファンと共に行ってきた。そのことによって、「世界一クリーンなフェス」として国内外から高い評価を受けているが、今年は「クリーンなフェス」という称号を返上しなければならないほど、ゴミが散乱していた。
入場時に渡されたゴミ袋を雨よけに使った人が多かったのかもしれないが、ゴミはそれだけではない。ライブが終わった後には、紙コップが落ちていたし、フェス飯を食べた器も、ゴミ分別のブースに持っていくのではなく、そのまま置いていく始末。これじゃあ、ライブを気持ちよく聞くことができない人も出てくる。
ライブだけではなく、キャンプサイトも同じような状況で、残置されたテントやシュラフが例年以上に多かった。今年の特徴は、海外からやってきたファンが多かったこと。アジアだけではなく、ヨーロッパやオーストラリアから遊びに来たファンも多かった。海外の人が多かったことを汚くなってしまった原因のひとつとするのは容易なことだけれども、ひとりひとりのモラルの低下が、フジロックをひどいものにしてしまった一番の理由だと思う。例えば、立ち入り禁止が掲げられた場所やハンディキャッパー用のプライオリティサイトでテントを張る人たち。自分だけがよければいいという甘えがそこにあったはずだ。ある人は、ここに張っちゃいけないと注意すると、自分でポップアップテントを収納できなかったのか、そのままテントとシュラフをサイトに残置していった。
参加したすべての人が「フジロックって最高だね。これだけ人が集まっているのにきれいだね」って感じたいはず。なぜフジロックが、苗場という自然豊かなところで開催されているのか。フジロックを愛する人たちはそれをもう一度考えるべきだ。そしてその考えを人に伝えていくべきだ。ゴミを捨てないってことは、簡単なこと。その簡単なことをひとりひとりが実践すればいい。ひとりひとりの行動が、海外から来た人たちにも伝わり、自然と共生する真の「世界一クリーンなフェス」になれるはずなのだから。日本のフェスが世界のフェスをリードしている。そんな時代が来たら、僕らも誇りに思えるじゃないか。
写真=伊藤郁