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新嘗祭(勤労感謝の日)に開催される農民ダイナマイトは、地元に住む農民たちが立ち上げたフェス。
2018.11.22 Thu
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
11月23日は勤労感謝の日。そもそもは新嘗祭の日として、その年に収穫に感謝する日だった。この収穫祭の日に、農民たちが自分たちの田畑がある場所で主催するフリーフェスが開催される。今年9回目となる「農民ダイナマイト」だ。場所は山梨県の山梨市塩山の神金地区。甲州盆地から大菩薩峠に向かって徐々に登って行ったところにある中山間地域だ。
「農業の魅力発信とお祭りを通して農業や里山カルチャーへの意識拡大をはかって、自分達なりの表現でお客さんを呼び込もうと思いスタートしました。ダイナマイトのごとく農民主体のムーブメントで爆発していこうという思いは今年も変わりません」と農民ダイナマイトの中心メンバーである雨宮陽一さん。
新嘗祭の日に開催する理由は、秋の収穫の時期が終わり農作業がひと段落することと、天気の良さがあるという。そもそも晩秋から初冬にかけて雨の少ない山梨にあっても、特にこの日は天気が崩れすことが少ない。
「『農民は寒さなんて全然平気』と言いたいところですが、11月の神金は畑に霜も降りるからやっぱり寒い(笑)。だけどお祭りもはじまる時間帯の秋の空気は心地よくて、晴れて神社境内に陽が射せば、お祭りの終わり頃までは暖かく過ごせる気候です。音楽に合わせて踊ったりホットワインなどの温かいお飲み物で体を温めて共に楽しみましょう。薄着はやっぱり厳禁かな(笑)」
農民が主催しているということもあって、地元の密着度も高い。猟友会が捕獲した鹿や猪料理のふるまいや小学生が作った野菜の販売などは、この地域ならではのものだろう。けれどそれだけではなく都市的とでも言えばいいのか、センスのあるファッションや雑貨、フードの出店もある。
自分たちの暮らす里山をどう盛り上げていくのか。どう魅力的な地域だと発信していくのか。そのために自分たちで等身大の祭を作っていく。そんなことが農民ダイナマイトでは感じられる。地域の人が楽しみ、遠くからも参加したいと思ってもらえるフェス。日本の各地で夏祭りが行われているように、こんなフェスが当たり前のように開催されることを願っている。
農民ダイナマイト
開催日:11月23日(金/勤労感謝の日)
会場:神部神社(甲州市塩山)
出演:奈良大介、Monoural mini-Plug、EL CARNAVALOW、他