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街の魅力をさらに発信する。街なかフェス「結いのおと」の新たな挑戦。
2019.02.05 Tue
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
茨城県北部にある歴史ある街、結城。ここで開催されている街なかフェスが「結いのおと」だ。ふだんではライブとは無縁の寺院や酒蔵が一日限りの会場になることもあって、ライブハウスやコンサートホールでもなく、キャンプ場などの野外フェスとも違う音楽との接し方ができるとして、年を数えることに人気を獲得してきた。
この「結いのおと」が、今年クラウドファンディングに挑戦している。人気も出て、県外からも多くのお客さんも増えている現状で、なぜクラウドファンディングという手法をとったのだろうか。
「街なかの特徴的な建物がライブ会場となる『結いのおと』では、収容キャパが決まっており、極めて小さいということが難点です。どんなに人気が出ても収容キャパを大きくすることができません。チケットの売上を今以上に増やすことができないんです。来ていただく方が増えたことでトイレなどのインフラを整えなければならなくなったということもあります。そこで街の物産品などの地域資源をリターンの品とすること、クラウドファンディングにチャレンジすることで、資金繰りとしてはもちろんなのですが、それ以上に多くの人に結城という街を知ってもらう機会の創出やこうした地域の活動に加担してくれる仲間を増やしたいと思いがあるからです」と実行委員会の野口純一さん。
「結いのおと」は今年で6回目。同じ結城で秋に開催されている「結い市」は10年の歴史を持っている。このふたつのイベントは、着実に地元に根付いているという。結城という地方都市の魅力を外に発信するとともに、そこに住む人たちの大きな楽しみになっているに違いない。
「音楽一辺倒ではなく、ゆるく街のヒトやモノなどの素材も楽しみながら2日間を過ごしている方が多いと思います。出演者もケータリングがないのでフードブースに現れる機会が多く、お客と撮影や声をかけられたりなど交流があります。このように地方ならではの旅先での様々な人とコミュニケーションも『結いのおと』の楽しみ方のひとつだと思っています」
結城の物産品をクラウドファンディングのリターンの商品にすることによって、街とフェスがさらにつながる。フェスによって街に住んでいる人の意識も少しずつ変化している。街なかフェスというアクションは、観光とも違う地方都市の方向性のひとつを示している。
結いのおと
開催日:4月20日(土)21日(日)
会場:結城酒造、武勇、称名寺、奥順(つむぎの館・新座敷)、喜興の湯、御料理屋kokyu. 、Cafe la famille
出演:Caravan、T字路s、U-zhaan×環ROY×鎮座dopeness、Shing02、mabanua、C.O.S.A.×KID FRESINO、MOROHA、折坂悠太、SANABAGUN、Port of Notes、SIRUP、田我流、他