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入場無料のフリーフェスとして11年。地域との関係を構築し、地域の魅力を伝える三条楽音祭。

2019.08.29 Thu

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

 稲刈りを間近に控えた田んぼを見ながら里山の緑豊かな公園へ。決して交通の弁がいいとは言えないここで、入場無料のフェスが開催されている。新潟県三条市の「三条楽音祭」だ。今年で11回目の開催となる。

「昨年の10周年を終えた直後も実感はすぐに湧いてこなかったんです。初代の実行委員長・実行委員から数えて僕らは3代目になるので、常にバトンをつなぐことに意識が向いている気がします。10年目だから特別というよりも、毎年、周りの協力を得ながら三条楽音祭に向けて動くということが日常生活の延長線になっているので、いつもどおりを続けてきたらもう10年だった、という感覚でした。ただ開催を終えて、冬を迎え、じっくりと考える時間ができてから、この土地に支えられて10年も音楽イベントを続けられたってことは、すごく恵まれて幸せなことだなぁ、という感覚はじわじわと染み入ってきました。節目を超えて11年目に入り、次の10年を続けるにはどうしたらいいだろう、ということをよく考えるようになりました」と3代目実行委員長の大橋賢太さん。

 三条楽音祭の開催地である下田地区は、市内中心部から離れた過疎地域だ。その地域を活性化させるという目的でフェスがスタートした。フェスに行くことで、その地域の自然や味などの魅力を知る。地元の人たちもフェスに協力することで、魅力は深さを増しているのかもしれない。

「『手作り感満載の雰囲気で居心地がいい』と言ってもらえることが多いのですが、そう感じてもらえているのは、下田に住むおっちゃんやおばちゃんが、村の竹を切らせてくれたり、資材置場を提供してくれたり、事前準備から本番当日まで親身になって手伝っていただけていることも影響していると思います。20代のスタッフから70代〜80代の地域の大先輩方までみんなで作り上げる手作りのお祭りが三条楽音祭です」

 入場無料にこだわり続けているのは、フェスや音楽のファンだけではなく、どんな人でも気軽に遊びに来て欲しいという思いからだ。その意味では、フェスというよりも地元の夏祭りを作っているような感覚なのだろう。

 高速道路からも、新幹線の駅からも遠い。本来であれば、車でなければ行きにくい場所だ。ただ駐車スペースがないことで、参加する人はシャトルバスでの移動を余儀なくされている。それでも3000人もの人が、三条楽音祭に集う。フェスは本来何をめざすべきものなのか。その問いかけの答えのひとつを三条楽音祭は教えてくれる。

写真 = アリモトシンヤ
 
三条楽音祭
開催日:9月1日(日)
会場:中浦ヒメサユリ森林公園(新潟県三条市)
出演:NABOWA、思い出野郎Aチーム、HEI TANAKA、TAMTAM、英心&The Meditationalies、GOOFY KINGLETS、他

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