• フェス

朝霧JAMタイムテーブル発表。今年の朝霧はこう歩け! 世界の音楽に注目せよ。

2019.09.24 Tue

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

 フジロックが終わって、まだ2ヶ月が経過していない。テントが水没してしまった、あの土曜の豪雨はずいぶん前のことのようでもあり、鮮やかに記憶に残っていることからちょっと前のことのようでもある。

 フジロックの前夜祭で公開された朝霧JAMの第一弾アーティスト。そして開催前3週間になって、タイムテーブルが発表された。7月のフジロックから10月の朝霧JAMまで、毎週末、どこかで野外フェスが開催されているけれど、海外のアーティストを招聘するフェスは少ない。富士山の裾野という日本を代表する開放的なロケーションの中で、海外のアーティストと日本のアーティストを楽しめることが、朝霧JAMのいちばんの魅力だろう。参加するほぼすべての人が同じ場所でキャンプインすることで、朝霧JAMという場所と時間を共有していく。この感覚が、さらに朝霧JAMの楽しさを深くしていく。

 CARNIVAL STARを含め、RAINBOW、MOONSHINEと朝霧JAMのステージは3つ。フジロックほど悩まなくてもすむけれど、それでも、ここはどっちにしようかと迷うことも出てくる。それだけ「ここでしか味わえないライブ体験」が朝霧JAMにはある。オープニングからクロージングまで、いろいろな音楽が楽しめるのも朝霧JAMの魅力だ。

 まず最初に外せないと思っているのがホットハウス・フラワーズ。昨年フジロックに来日し、さまざまなステージでライブをした。そのひとつひとつが、そのステージにマッチしたライブになっていたという。フジロックでのライブは見られなかったけど、渋谷クアトロで開催されたアフターパーティーでのライブを見ることはできた。ライブすることを心のそこから楽しんでいるメンバー。それが会場の隅々まで伝わっていく。今回は、ルーツに戻ったオリジナルメンバー3人によるトリオ・フォーマットだという。3人だからこそのシンプルでありながら無限に広がっていくライブに期待したい。

 コーネリアスのライブも、今年の朝霧JAMのトピックのひとつになるかもしれない。10年以上の月日を経て、久しぶりにオリジナルアルバム『Mellow Waves』がリリースされたのが2017年。その年にはフジロックに出演を果たしている。日本のみならず、北米やアジアなど、2年近くに及ぶツアーを敢行。朝霧JAM直前にも、ロサンゼルスからバンクーバーまでの6都市をめぐる西海岸ツアーが予定されている。映像と音がシンクロしたステージが展開されるのだろうか。もしくは『Mellow Waves』ツアーとはまったく別のステージングになるのだろうか。クレジットされているメンバーが、現状では小山田圭吾ひとりになっているのがポイントだ。

 初日の最後を締めるのが、HOT CHIPかKIEFER。どっちにするか迷うところ。HOT CHIPのエレクトリックなポップさはブリティッシュの系譜と言っていいだろう。KIEFERはヒップホップを通過したニュージャズとも言える音楽を聞かせてくれる。パーっと盛り上がりたいか、それとも音の深みにはまりたいか。雨が降っていたらHOT CHIP、晴れていたらKIEFERかな。

 ザ・ぶどうかんズ from シャキーン!で幕を開ける日曜。MOONSHINEでは、幾何学模様を挟んで、SAFEPLANET(タイ)Bohemian Betyars(ハンガリー)、TAMIKREST(ツアレグ from AZAWAD〔Mali, Niger, Algeria and France〕)と続いていく。世界のごった煮感は、今までの朝霧JAMより、さらにグツグツとミックスされているように感じる。3つのバンドの中でライブを見たことがあるのはタミクレストだけだけど、知らなかった音楽、未知との世界に触れるチャンスがここにある。幾何学模様と同じ時間帯にやっているのがJAMILA WOODS。シカゴを拠点にするR&Bシンガーで、今、もっともアメリカで未来への期待を集めている女性アーティストのひとりだ。JAMILAはファーストアルバムをフリー・ダウンロードでリリースするなど、発表方法も制作方法も音楽はボーダーレスになっているけれど、だからこそ個々のルーツも重要になってくる。なぜ音楽という手段を取っているのか。4つのアーティストのライブから感じられるはずだ。

  2019年の朝霧JAMも、残すところわずかのバンドになってきた。ここで個人的にはもっとも注目しているBADBADNOTGOODがRAINBOWに登場する。カナダ・トロントを拠点にするバンド。カニエ・ウェストをカバーするなど、ヒップホップ系のバンドだと思っていたけど、ジャムやジャズを取り入れるなど、ライブでより真価を発揮するバンドなのだろう。それは数多くのフェスに出演している実績からイメージできる。ヒップホップ、ジャズ、ファンクなどを自分たちのインストゥルメンタルの中に組み込んで、自分たちの音として放出していく。それが朝霧JAMのRAINBOWというステージなら、開放される気持ち良さがさらにましていくだろう。

 もちろん、ハナレグミ、cero、OGRE YOU ASSHOLE、くるりなど、日本のアーティストも見たいライブが満載だ。けれど、こうした歩き方を考えると、どうしても朝霧JAMでは海外アーティストが中心になってしまう。エリアが変更となるCARNIVAL STARも、野外フェスならではの独特なアンダーグラウンド感を演出してくれることは間違いない。どこでどのライブを見るか。もしくはライブを見ていなくても、すべてが朝霧JAMの過ごし方としては正解だ。

 チケットの残りは少なくなっているという。駐車券に関してはすべてソールドアウト。新宿、横浜、名古屋、京都、大阪など7地点からの直行バスツアーの申し込みは9月30日まで。他にも新幹線新富士駅と東海道線の富士駅を発着するアクセスバスも用意されている。野外フェスは、そこにいるみんなと自然が演出するものだと思っている。体験することによって得られる喜びが、朝霧JAMには必ずある。

写真(朝霧JAM)=宇宙大使☆スター

Camp in 朝霧Jam 2019
開催日:10月12日(土)13日(日)
会場:富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱら

 

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Keyword

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント