6月に行われる予定だったTHE CAMP BOOK（TCB）。このキャンプインフェスも、コロナ禍によって今年の開催は中止となってしまった。

「このコロナ禍において、特にイベントに関しては現状の維持や復元ではなく新たな形でのアプローチが必要だと感じています。まずは各ガイドラインを基に小規模からできることをと考えました。リアルだから味わえること、野外だから安心できることはたくさんあると思います。フィジカルの距離と共に離れてしまった音楽や大切な人への思いと心の距離を少しでも近くに感じられるイベントにしたいと思っています」とTCBオーガナイザーの樋口大貴さん。

　フェスではなく、キャンプイベントとして8月に「CAMPus（キャンパス）」の開催を決めた。会場はTCBと同じ長野県・富士見高原リゾート。

　夏フェスも開催の中止が相次いでいる。「今年の夏はどこに行こうか」と考えていたキャンプフェス・ファンも多かっただろう。そんな人たちに対しても、CAMPusの開催発表はうれしいニュースだ。基本スタンスとしてはあくまでもキャンプイベント。けれどT字路sとキセルの２組のライブと夜には野外シアターで映画が上映される。

「私もいろいろなフェスに行かせてもらうのですが、野外だからこそ起こる奇跡がやっぱりあるんです。アーティストとお客さんが織りなす空気感と温度、時間帯や景色、天候などによってその瞬間しか味わえない奇跡が体験できるのが野外の魅力ですね。しかも今回の8月の富士見高原は非常に過ごしやすい気候なので、涼しくなった夜に星空の下でゆっくり映画を楽しめると思います」

　ソーシャルディスタンスを保つために100組限定。フェスのひとつのコンテンツと言っていい飲食ブースの出店はない（富士見高原リゾートの飲食のみ営業）。逆から考えれば、富士見高原リゾートの広大なエリアの中に、100組限定というのは本当に贅沢な空間になる。

「とにかくゆったりとキャンプをしながら贅沢な限定ライブと映画を楽しんでほしいですね。しかも会場に隣接している温泉もあり最高な環境ですので、思い思いの2日間を満喫してください。ただしコロナ禍ということを忘れずにみんなで意識しながら新しい野外イベントの在り方を我々と一緒に模索してくれたらうれしいです。また、この開催がライブエンターテインメントを支える多くのお客様、アーティストや関係者の皆様、全国の主催・オーガナイザーの皆様たちの、何か明るい兆しとなれることを願っています」

　コロナ禍のなか、野外フェスというフィールドで何が可能なのか。その中でどう楽しみをみんなで共有していくのか。そのためにどう一歩を踏み出すのか。TCB、そしてCAMPusの挑戦に注目したい。

CAMPus
開催日：8月1日（土） 〜8月2日（日）
会場：富士見高原リゾート
出演：T字路s、キセル