- フェス
Keep On Fuji Rockin’ フジロック2020最終日。この熱さは2021年に、そしてそれ以降の未来にバトンタッチされて行く。
2020.08.23 Sun
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
ケミカルブラザースやSIAといった今の時代を象徴するヘッドライナーのステージはもちろん、世界の音が3日間に苗場に集結することがフジロックの一番の魅力だ。ライブだけではなく、いろんなことを体験させてくれる。生きるための学びがある。
出演するミュージシャンにとっても、フジロックへの思いは大きいのだろう。それを感じさせてくれたのが、toconomaのギタリストの石橋光太郎さんの演奏中での涙だった。ステージの上から見えて笑顔がいっぱいの幸福な光景。
忌野清志郎さんのスピリットは、今もフジロックに宿っている。そんなことも感じられた2日目の配信だった。
3日目はオススメのアーティストが重複した。OASISをあげたのが、フェストティバルライフの津田昌太朗さんとオフィシャルカメラマンの宇宙大使☆スターさん。
「日本での最後のライブになってしまった2009年のOASIS。その年はサラリーマン1年目で、金曜が休めなくて、会社が終わる17時に友達に車で迎えに来てもらって苗場に向かったんですよ。ギリギリにOASISのライブに間に合いました。テントも張らず、雨のなか大きなバッグパックを背負い続けて見たライブ」と津田さん。
「写真を撮っていることも大きな要因なんだろうけど、あの時はこんな光景だったなっていうことを覚えているんです。雨のOASISの時はあのあたりにいたとか」とスターさん。
ふたりはTHE HIGH-LOWSも見たいアーティストにあげている。THE HIGH-LOWSはブルーハーツ解散後の1995年に結成。2005年に活動を休止した。ふたりともTHE HIGH-LOWSのライブをフジロックでは見ていないという。
「(甲本)ヒロトさんのことは何度もフジロックで見ているんです。ヒロトさんって前のバンドの曲を新しいバンドでは一切やらないじゃないですか。多くのファンはそれも期待しているんだろうけど。昔の映像を見て、その時の歌を聞くと、当時のことを思い出す人も多いんじゃないかなと思って」とスターさん。
Beastie Boysを見たいと話してくれたのがフジロック・コンシェルジュでMCを務めている長谷部敦さんと津田さん。
「ロック調でもありヒップホップでもあり。ここ数年はケンドリック・ラマーに代表されるように、ヒップホップが世界的に全盛しているけど、2007年にはBeastie Boysが中心にいました。2007年のBeastie Boysは特別な存在なんです。アダム・ヤウクが亡くなったことで、もうBeastie Boysを見ることができないわけですし」と津田さん。
「フジロックでBeastie Boysを見ているんですけど、はっきりとした記憶として残っていないんですよ。どういう演奏をしたのか、映像を見て記憶を呼び起こしたいんです」と長谷部さん。
タワーレコードの坂本幸隆さんがあげてくれたのがGary Clark Jr.とThe xx。
「ルーツ系のアーティストの単独での日本ツアーが少なくなっているなか、フジロックでそんなアーティストを見られることがありがたい。The xxはところ天国で涼みながらずっと聞いていたんですよ。それがとても気持ちいい時間でした。ステージを実際には見ていないので、見てみたいんです」
ドラマーの沼澤尚さんは、ステージと音楽(アーティスト)の関係性を語ってくれた。
「2日目のWILCOも、3日目のJAMES BLAKEも、ホワイトステージでのライブを熱望します。ステージが持つ個性やスケール感とアーティストの音の性質がマッチしてこそ、そのアーティストの良さがもっとも引き出されると思う。その意味ではRadioheadもグリーンよりホワイトがマッチしていると思う」
最後にこの3日間で配信されなかったもので、もう一度見たいそれぞれの思い出のをあげてもらった。
「2009年のディスコビスケッツですね。3時間というロングセットだったけど、気がついたら3時間が過ぎていた。その倍の時間をやってくれたとしても、きっと音にずっと入り込んでいたと思う」と沼澤さん
「99年のPHISHと2013年のスクリレックス。99年のPHISHはいわば伝説。去年、PHISHを見るためにフジロックの後にアメリカに行ったんですけど、そのライブが大雨で中止になってしまったんです。スクリレックスは2011年にコーチェラに行ったんですけど、その時の感覚が蘇ってきた時間でした」とスターさん。
「2001年のホットハウスフラワーズ。これが、フジロックでの自分のなかでのベストアクト。このライブを見て、毎年フジロックに行こうと思ったんです」と長谷部さん。
「そもそも映像として残っていないんでしょうけど、ピラミッドガーデンやパレスオブワンダーでのライブ。ピラミッドガーデンのハナレグミの『オリビアを聴きなが』の弾き語りは、心にしみましたから」と坂本さん。
フェスおじさんは、1999年のPHISH、2002年のストリング・チーズ・インシデント、2011年のワイドスプレッド・パニック、2014年のフィル・レッシュ&テラピン・ファミリーバンド。どれもヘブンでのライブだ。
2021年はどんな体験をフジロックはもたらしてくれるのだろうか。1年が待ち遠しい。
(写真=宇宙大使☆スター)
FUJI ROCK FESTIVAL'20 LIVE ON YOUTUBE DAY3
8月23日(日)18:00〜(約5時間)
8月24日(月) 7:00〜 ※リピート配信