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【ハイライフ八ヶ岳レポート】コロナ時代の野外フェスの楽しみ方の一歩を記す。
2020.09.18 Fri
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
新型コロナウイルスによって、多くのフェスが開催中止となった2020年夏。人数をかなり限定してのダンスミュージックをメインにした野外パーティーや車の中から楽しむドライブインフェスは開催されていたけれど、バンドをフィーチャーするキャンプインフェスは、ほぼ行われなかった。7月中旬からの第二波とも言われる感染確認者が増加する状況のなかで、9月に延期して開催発表したのがハイライフ八ヶ岳だった。
ハイライフ八ヶ岳をオーガナイズするのはアースガーデン。代々木公園でのアースガーデンや日比谷公園でのピースオンアース、山梨県道志村でのナチュラルハイなど、数々のフェスを主催してきた。コロナ禍でも、東京あきる野市のキャンプ場でライブフォレストを不定期に開催。8月上旬には、キャンプ泊はなかったものの3日間のライブフォレストフェスを開催した。
コロナ感染確認者は8月上旬から、緩やかに下降線をたどっている。どのようにこのウイルスに向き合えばいいのかも、多くの人が少しずつ理解を重ねている。そんななかでのハイライフ八ヶ岳の開催だった。
飲食や物販の出店は無料エリアに並んでいる。体温チェックがあったゲートから先が有料のライブ&キャンプエリアだ。会場はスキー場。野外の広大な場所にいたのは、マックスで1500人。それでも、ステージの近くは「蜜」になってしまうこともある。それをオーガナイザーからの強制ではなく、参加するそれぞれの意識によって、ソーシャルディスタンスを守っていく。
ハイライフ八ヶ岳が、2020年のフェス初めという人も多かった。それはファンはもちろんのことミュージシャンも。フェスで楽しむことを、ファンもミュージシャンも、出店している人もみんなが同じ思いで共有している。そんな感覚に会場が包まれていた。
野外でフェスを楽しむこと。キャンプインで自然とともに時間を過ごすことが、こんなに幸せなことなんだということを、改めて感じさせてもらった。
1日目のハイライフステージの最後でのPolarisのときに天を覆った天の川、深夜の焚き火ステージがクラブのような空間に変容したnego、2日目の朝にリフトで登った標高1900メートルで響いたstarRo、流れる雲の中でのライブになったclammbon、暮れていく時間のなかで自然のなかでライティングもシンクロしたROVO。どのライブも、ハコで体験するものとは違う、自然のなかだからこその時間をもたらしてくれた。この体験は、自分のなかにいつまでも映像として刻まれていくだろう。
ハイライフ八ヶ岳は、野外フェスが与えてくれるものの大きさを感じさせてくれた。2日間、明るい時間は晴れることがほとんどなく、雄大や景色を眺めることはできなかったけど、いろんな自然の色を見させてくれた。長い時間を多くの人と過ごすことになる野外フェス。だからこそ野外フェスはいろんなことを教えてくれる。様々な感情を呼び起こしてくれる。新しいクオリティを築いていくための一歩が、ハイライフ八ヶ岳で踏み出されたと思う。フェスの灯火は消してはいけない。